Tuesday, January 08, 2008

Tempe>>Palm Desert>>Coasta Mesa

10月23日, Tempe, AZ

ようやく風邪が治って行くのが分かり始める。コンディションは70%と言った所だろうか。早く着いたので先にホテルに行き荷物を降ろしてから会場に向かう。ホテルの目の前には大好きなIn-'n-out Burgerがドンと構えている。”帰って来た(AZ, CA, NVのみに存在する為)”と言う衝動にかられる。
会場は広いが客の入りはまあまあ。完治していない風邪の影響かあまり印象に残るショーには思えなかった。公演が終わり慌てて片付けをしてJohnとTimとIn-'n-out Burgerに向かうが10分遅く閉まっていた。渋々Tac Bellに変更。


10月24日, Tempe>>Palm Desert

昨日の夜の借りを返すかのよう昼飯はIn-'n-out Burger。6週間ぶりに食べる味は快感以外のなにものでもない。
4時間くらい走り、Palm Desertに着く。今日はDaleの40歳(!)の誕生日。夫人Mの両親の家でそのパーティーが行われる。頭の弱いMTともそこで合流。親戚、近所の友人等が集まり50人くらいは来ていただろうか。食事にはタコス・トラック用意されている。庭にあるプールの横にタコスの屋台が置かれ,プールサイドにそれを待つための列が出来る。この時,BuzzからSan Diegoでの最終公演が山火事のためキャンセルになった事を伝えられる。
この時,咳がようやく治まり始め久々に酒を飲む。ピンポン・テーブルが置かれていたのでCoadyと卓球で軽く汗をかく。自分のラケットの握り方を見ていたMの兄,Tが相手をして欲しいと言ってくる。この後、20分くらいTと自分はDaleの誕生日を忘れ、黙々と打ち合う。
Daleがプレゼントを開け始める。MTは自分が買って来てくれるよう頼んでおいた雑誌、大人の科学17号(http://otonanokagaku.net/magazine/vol17/)をDaleにもプレゼントとして買って来ていた。付録は小型テルミンのキット。それを見たDaleは「(日本語なので)トシ、早速組み立ててくれ」と大興奮。組み立て始めると数人がそれを見に集まってくる。

食って、飲んで、動いて,作って、楽しいパーティーになった。体調を考え早めにホテルに向かい就寝。明日の最終公演に備える。


10月25日, Coasta Mesa, CA

MTとGarethとホテル周辺でショッピング。楽器屋、セカンド・ハンズ・ストア、そして自転車屋をまわる。自分は自転車屋でベルを二つ購入。ホテルに戻り、ホテルの駐車場で道順を説明するTimの横で自分はそのベルを使って騒音妨害。マジで怒るTim。
自分はMTとMTがレンタルして車で会場まで移動。途中、本屋を見つけ,Daleへの誕生日プレゼントを購入。ここ2日間で4軒の本屋を回ってようやく見つけた。The Beatles Complete Scores。
今日がこのツアーの最終公演となる。気合いが入る。でもCoadyあまり体調が良くないらしい。会場近くのメキシコ料理屋で軽く食べてから腹の調子がよくないらしい。自分も風邪がまだ完治してはいない。が、好きな会場で客のノリも良くなる事を思うと気分もよくなる。開場まで数人で野球が始まる。Buzz考案のバッティングセンター。トラックの扉を開け,その中に入り外から投げ込む。人々はそれを見ると笑いながら通り過ぎる。
公演が始まるのでGuinnessの缶とグラスを持ってステージに上がる。MTは自分がビールを持っているのを知らずにいたらしく、始まる前にビールを1本自分に渡そうとする。自分が持っている事を伝えるとその横にいた客が「んじゃ、俺が飲むよ」とそのビールを手に取る。自分はその客がそれを飲もうとした瞬間「ふざけるな!買って飲め」と奪い取ると、その客は真っ赤な顔をして、周りの客は大笑い。「冗談だよ」とそれを手渡し、演奏の準備に着く。1曲目が終わりGuinnessをグラスに注ごうとするがギターが邪魔でなかなか上手く行かない。グラスを置ける場所を探そうとあたりを見た瞬間,観客の方から一本の手が伸びて来た。MTがもの凄いスピードでやって来てそれをグラスに注いでくれる。また客に笑いがおこる。
数曲が終わるとMTが自分の方に来て何かを言ってくる。良く聞こえないで耳をヤツの顔に近づけ聞き直すと、「いや〜〜〜、カ〜〜〜ッコ良い〜〜〜よ〜〜〜!」と言って人ごみに消えて行く。その訳の分からない行動に思わず吹き出してしまった。また客は笑っていた。
このツアーで内輪で盛り上がったセリフがあった。それは自分が初めてメジャーリーグの試合を見に行ったときの事をDaleに話した事から始まった。友人と観に行った試合で一人の中年がピーナッツを売っていた。普通なら「ピーナッツ!」と大声で言うのだが,その中年男性はただ「ナッツ!」と、もの凄い声で叫ぶのであった。その声に驚く客が多くいたのは言うまでもない。すると一人の男性客がその売り子が「ナッツ」と叫んだ後,「お前がだ!」と言い回りの客は大爆笑となった。”Nuts"とは豆の複数形の他に、俗語で”Crazy"と言う意味もある。だから客は大笑い。その事を皆に話すと、野球をしている時やTVで試合を観ている時,「ナッツ!」と叫ぶ事がこのツアーの冗談になっていた。それを気に入っていたJohnとGarethが自分にステージの上で言って来るように頼んで来た。5曲目でCoadyがカウントをスティックで叩いた時,自分は3と4のタイミングで「ナッツ!ナッツ!」とJohnとGarethに一つづつ、このツアーでの良い仕事をしてくれたお礼としてそう叫んだ。それを聴いていたGarethの方を観るとニッコリ笑い、同時に手を叩いていた。Johnは忙しくて気づかなかったそうだ。
Coadyはなんとか持ちこたえ,良いリズムを刻み、Jaredは相変わらず曲間に冗談を交え、真っ赤な顔で歌いながらベースで爆音をうならせる。Melvinsの公演も大盛況。最終公演にふさわしいショーとなった。公演終了後,皆に別れを告げてMTとともに6週間ぶりの家路に着く。

Dallas>> Tucson

10月18日, Dallas, TX

夜中,咳で時々起きてしまう。それに加え朝9時からホテルで工事が始まり非常に短い睡眠となる。DaleはTexasに来るとバーベキューを食べなければ気が済まないと言う。だが自分はあまりその気分にはなれない。Jaredが気を使ってくれ、ベトナム料理屋で食べ易い麺類を食べようと言う提案でDaleを説得してくれた。少し悲しそうなDale。でもレストランを見つけ、そこに入り,メニューを見ると気を取り戻し,わくわくし始める。CoadyとJaredはベトナム料理が大好きで,二人ともB?n th?t n??ng(ブン・ティット・ヌォン)のような、スープのかかっていない麺類を好んで注文している。今日も例外ではない。自分とDaleはラーメンのようなPh?(フォー)を注文。Daleはスープをレンゲで吸い、吸うたびに「あ〜」とため息を漏らす。これは勿論”美味しい”と言う意味のため息。結局、バーベキューは逃したものの美味い飯にあり付け機嫌を取り戻したDale。その後は自分もDaleの真似をして”ズズズ〜,ア〜。ズズズ〜,ア〜。ズズズ〜,ア〜。ズズズ〜,ア〜”の繰り返し。笑いとともに喉の痛みも和む。
渋滞に巻き込まれ予定より遅れて会場に到着。ドラマーの二人が同じバンに乗っているため,会場でエンジニア等を待たせていた。ステージに足を運ぶともう既に準備が出来ている。今回もエンジニアの二人は口が少ない。信用してサウンドチェックを行う。
公演も客のノリもよく良いライブになった。片付けを始めた時,Dallasに住む旧友,Mが会場にやって来たと電話が入った。しばらく親友と話しながら片付けをする。片付けを終え,Mに別れを告げる。後で知った事だが会場にマイクの入った箱を忘れて来てしまった。やはり友人との再会で仕事に集中していなかった所為であろう。


10月19日, 20日, Dallas>>Tucson

1327kmと言う距離なので2日かけての移動となる。Dallasを最後に映画担当のTomはツアーを後にした。そのため,2台のバンには3人づつとなる。CoadyがBuzzとTimのバンに同乗する。DaleとJaredは風邪を引いている自分に気を使って運転を交代交代で担当してくれる。
New Mexicoの宿で一夜過ごし,昼前にそこを発つ。ホテルから20分走るとCarlsbad Caverns国立公園がある(http://www.nps.gov/cave/
http://en.wikipedia.org/wiki/Carlsbad_Caverns_National_Park)。一行はそこへ向かう。別のバン組のBuzz、CoadyとTimには会わなかったがトラック組のGareth, Johnと合流。公園の目玉は16種類のコウモリと113個の洞窟。そのほとんどが鍾乳洞である。子供の頃、山口県、秋吉台にある秋芳洞に行った事を思い出した。その経験から”鍾乳洞くらい行った事がある”程度に思っていたが、そのスーケールのデカさに圧巻。Carlsbadは広い上に深い。メインの洞窟から入って40分くらい下って行ったであろう。一番深い所で489mだと言う。日本人観光客も何人かいて、その一人が「インディアナ・ジョーンズのセットみたいだ!」と言っていた。言っている事は分からないでもないが、自分にはそれ以上に感じた。登りはエレーベーターで、数分で地上に出る。
夜になりTucsonに着く。Timから街に飲みに行こうと誘われたが、風邪が治っていなかったため断念。


10月21日, Tucson, Arizona

風邪の所為で夜中何度も咳をして起きてしまった。そんな日が数日続いた。起きると肋骨のあたりが痛む。咳をしすぎて肋骨をおる事は割合頻繁にあるようだ。自分もそうなったのかと思い始める。
自分はこの朝まで今日の予定を把握していなかった。BBのMyspaceですケージュールを追っていて,今日の事が書かれていなかった。その所為で自分はTucsonで公演がある事を朝知ったのである。もともとツアーでの移動日は好きではなく、演奏することに快感を覚えていたのだが,さすがに風邪の所為であまり演奏する気にはなれない。客ののりはいまいち。だが演奏の方は薬やのど飴が効いていたのと、しらふであった所為か,自分としては上出来と言える納得のいくものとなった。

New Orleans>> Houston>> Austin

10月15日, New Orleans, LA

喉の痛みからか咳が出始める。タンや鼻水が出てくるのではなく、ただからからの咳が止まらない。取りあえず飲み物で咳を鎮める。ホテルから会場とは全く反対方向に約20分車で走り,Daleお勧めのケイジャン料理に昼飯を取りに行く。ガンボが喉を落ち着かせてくれる。
ホテルに戻り、夕方まで仮眠を取ったあと、会場に向かう。ハウスエンジニアのJは自分の事を知っていたようだ。Melvinsの大ファンで自分が手がけた作品は全て持っていて、Melvinsと自分と仕事をすることにかなり興奮している様子。こうなると仕事がし易い。サウンドチェックを済ませ,近所の薬局で薬やのど飴を購入。会場の隣のバーでケイジャン料理が食べられる事を知り,今日、二杯目のガンボが夕食となる。

楽屋には小さなバーのカウンターがある。そこに飲み物やスナックが置いてある。さすがに風邪を引いているのでアルコール類は止めておいた。それに気づいたBuzzが「んじゃ、トシにCola Blac(CokaColaの登録商品でコラーにコーヒーが入ったもの)を作ってやろう」と氷をグラスに入れ,冷えたコーヒー、コーラを加え自分に手渡してくれる。Cola Blacは自分の好物でスタジオでもよく飲んでいた。Buzzはそれを覚えていたようだ。数ヶ月前、初めてバーテンダーを経験したBuzzはカウンターでその気になっている。半分くらいになった自分のグラスを見て、コーラを注ぎ足しながら「なぁ、俺は良いバーテンダーだろ?」と言ってくる。「コーヒーの味が薄くなるじゃないか!」と言い返すと,忙しいふりをしてその意見を無視する。


10月16日, Houston, TX

ハウス・エンジニアはMelvinsの大ファンでやたらと興奮気味。それに加え、その男は良く喋る。自分がマイクの事など話すと「どうかな?」とか「ええ、マジで?」とか自分のやり方に納得の行かない様子。必要のないマイクなどを置いているのを見て、自分がその事を伝えてると”ああでもない、こうでもない”とうんちく(?)を披露し始める。自分の経験上、聞いてもいないのに機材の事などをべらべら喋るヤツに限ってたいした事がない。”俺は凄いんだ!”と言葉で納得しようとしているのがはっきり分かる。気がつくと,自分が意見を言えないくらい喋り続ける。Coadyがそれに気づき自分を見ながら笑っている。なんとか逃げ切り楽屋に戻る。
広い会場に多くの客が来ている。2曲目が終わると一人の客が自分の方を見て,何かを言ってくる。ギターピックをくれと言う。とは言えまだ始まったばかり。だがその客,曲が終わるごとに同じ事をしつこく言ってくる。演奏中も自分も見て,指を自分の方に指し”ピック、ピック”と口が動いている。5曲目あたりで諦めピックを手渡す。非常に嬉しそうだった。公演が終わり、バンにのど飴を取りに行き会場へ戻る。その際、喫煙所を通り会場に入ろうとした時、数人の客から大声で「トシ〜〜〜!」と叫ばれた。正直、まだバンドマンとしの自覚がない為,照れてしまう。急いで会場内へ戻る。
楽屋に戻るとMelvinsの面々が準備をしている。Cleveland Indiansが勝った事を知り,Buzzとハイ・ファイブをしようとすると,Buzzはその寸前で冷静になり、「トシは風邪引いているから、ハイ・ファイブはしない」と言ってくる。「そのかわりタマを蹴る!」と訳の分からない事を言い,自分の股間を蹴るフリをする。それを見て自分も蹴り返すフリをする。ばかばかしくなり大笑いする。と同時に咳込む自分。風邪は治りそうにない。
会場でサウンドをチェックする。やはり、あのエンジニア,口先だけだ。決して良い音とは言えなかった。ギターとボーカルをあげるように指示する。多少はましになったものの、言っても大して直ってはいなかったので、ヤツに指示する事は諦めた。片付けをし始めるとそのエンジニアは自分の所にやって来て,また”ああでもない、こうでもない”と言ってくる。終いには自分のギターサウンドへの指示が間違っているとも言い出す。自分は風邪を引いて,公演を疲れている上,その男は人が話すスキを与えてはくれない。その男の意見などどうでもよく思え、早くその場から逃げたかった。丁度その時、Timが楽屋に入って行くのが見えたので呼ばれたフリをして、「分かった。今、行く」と言い、その男から逃げ出す。とんでもない男であった。


10月17日、Austin, TX

ハウス・エンジニアは打って変わってもの静か。マイク等のセッティングが非常にスムーズに進む。Coadyは自分とエンジニアのやり取りを見ていたので、「昨日のエンジニアと正反対だ。出来るヤツは言葉数が少ないな」と言うと、ニッコリ笑って「本当だな」と頷く。
会場は超満員。700人は来ていたと言う。客のノリも最高。このツアーで最も良い公演の一つである事は間違えなかった。公演が終わり休んでいると、Kornのメンバーが来ていた事を知る。近くでライブをしていたらしい。いくら有名なバンドとは言え、バンドや会場の許可を取らずに来ていたので、会場の係員達は大慌て。ドラマー(だと思う)が自分の目の前をボディーガードを連れ、偉そうに横切る。”挨拶なしか...”などと思い、細い目をしてそれを見過ごす。
公演が全て終わると急いで片付け,楽屋やバーに残って飲まずにJohnの運転するトラックで会場を後にする。この時から咳がやたらと増えてくる。

Knoxville>>Nashville>>New Orleans

10月12日, Knoxville, TN

380Kmの距離をいつものように、Coady, Dale, Jaredとバンで移動。Coadyが運転している時、自分は一番後ろの席(全3列)で音楽を聴きながらボッーとしていた。Jaredは助手席で雑誌を読み,真ん中の席ではDaleがうたた寝をしている。すると高速の反対車線から大きな紙袋のような肌色なものがふわふわ浮いてこっち側の車線に向かってくる。紙袋かと思い目を細めて見る。Coday, Jaredと自分が同時に「ワー!」と大声を上げる。Daleもその声で目を覚まし,その物体に気づく。それは紙袋ではなく鹿であった。反対車線を走っている車にはねられ,横向きに回転しながら3、4m上空を15mほどはね飛ばされた鹿であった。反対車線との間には芝地が20mくらいの間隔で設けられていたため大事には至らなかった。その鹿は即死であろう。衝撃的なシーンで、会場に着くまでその話で盛り上がる。
会場に着き、ある程度準備が出来るとサウンドチェックまで野球で盛り上がる。会場のステージ係を含め大勢が参加。ステージの準備が出来始めると一人一人と抜けて行き,最後に残ったのは自分のJohn。Buzzがステージから観ていて、全力で投げるようJohnに指示する。会場は広いがくらくて球が見づらい。手から球が離れたのは見えたのだが、次の瞬間球は自分の目の前に来ていた。よける間もなく球は自分のこめかみに命中。球が柔らかいとは言え,全力で投げられればさすがに痛い。前から崩れるようにして床に倒れる。勿論それは演技。皆、大笑い。
公演は演奏,客の入り,盛り上がりともまずまず。良い気分でステージを降りる事が出来た。今晩も会場の音をチェックしに観客にまじる。エンジニアに多少の指示をして、納得の行く音が出来ると自分はバーに向かい、好物のジン・トニックを注文。バーにはテレビがあり野球が中継されている。飲みながら、野球を見ながら、音をチェックする。”良い仕事だ”と再確認。いつもMelvinsの最後の曲になると、自分はステージに上がり,終わった時客がステージに上がってこないように見張りをする。今日もいつも同様ギターキャビネットの後ろで待機する。曲の途中で汗を拭うためにキャビネットの上のタオルを取りに来たBuzzと目が合ったので、野球の途中経過を教えるととても嬉しそうだった。
片付けが済むとTimから電話が入り,隣のバーで飲もうと言ってくる。野球の話からなぜかラグビーの話になった。アメリカではラグビーは全く人気のないスポーツ。日本人の自分の英国人のGarethだけがラグビーに付いて知っている。Timがフットボールと比べ、”タックルの違い、あまさ”を指摘された。自分が「こうやるんだ!」とムキになりTimにタックルする。「分かった,分かった」と取りあえず降参したものの、直ぐにまた侮辱して来たのでもう一度タックル。2度目は見事にかわされ、勢いあまり、むき出しになっていた鉄筋の柱に頭を強打。また前のめりで倒れる。この後,たんこぶが3日くらいひかなかった。鹿の事と言い,2度の自分の頭へのアクシデント。なんとも過激な日であった。


10月13日, Nashville, TN

Nashvilleには2時過ぎに着いたので昼食を取っていない数人の為に,Daleお勧めのBBQレストランに向かう。Hog Heaven(http://hogheaven.ypguides.net/)と言う、小屋がキッチンになったテーブルは外に置かれている小さな店。Centennialと言う公園の向かいにあり、Tennessee Titansの試合もその日行われるため、公園はフットボールファンで賑わっている。車を止めるのに一苦労。”そこまでして食べたいのか?”と自分は疑問に思っていた。自分は昼食を取っていたので小さいBBQサンドイッチを注文。”そこまでする甲斐”はあった。ソースが普通と違い,ホワイトソースで、普通のソースのベトベトさが全くない。あまりにも美味かったので夜食の分まで買ってしまった。後に楽屋にケータリングをする事になる。
今日は二日酔いではなく、体がだるい。いまいち体がのってこない。開演まで時間があったのでホテルで休む。ホテルから会場までは歩いて行けるので歩いて会場に向かう。ボーッとしている。赤信号に気づかず歩き続ける。フッと横を見るとバンが凄い勢いで向かって来てる。慌てて歩道に戻る。危うく轢かれるところであった。公演はなんとか持ちこたえた。
会場の警備員の中にMelvinsの大ファンがいた。メンバーとも顔見知りなっている彼は今回は16買いめのMelvinsのショーだと言う。しかも右腕にMelvinsの入れ墨まで入れている。公演が終わるとその警備員は「ステージの横は俺に任せろ!」と心強い言葉をかけてくれる。しばらくするとステージに残されたDaleのドラムスティックを拾い、大喜び。メンバーにサインを貰いにバックステージとステージを行ったり来たり。ステージを見張りながらの片付け。ファンが警備員だと仕事もなかなか進まない。


10月14日, Nashville>>New Orleans

移動日。朝起きると出発まで時間があったのでホテル近辺を歩く事にする。あまり目星い店は見当たらない。20分くらい歩くとようやく本屋らしき店を見つけたのでそこに入る。入ると何かがおかしいと思わされる。本以外にもロウソクや小物,やたら派手なものが多く並べられている。本のコーナーに来てようやく気づいた。ゲイの店であった。慌てて出ると格好が悪いので、まるで探していたものが見つからなかったように店を後にする。ショーウィンドウを良く見なおすとレインボー・フラッグ(ゲイ・コニュ二ティーのサイン)が飾られいる。コンビ二で雑誌と飲み物を買いホテルに戻る。
754kmの距離を走る事になる。自分は半分以上を運転。だが運転が終わる事、披露と共にもの凄い寒気がして来た。完全に風邪をひいたことに気づく。後半はJaredに運転を任せ自分は一番後ろの席で毛布を掛けながら睡眠を取る。

Spartanburg>>Athens>>Birmingham

10月9日, Spartanburg、SC

会場は辺鄙な工業地帯にぽつんとある。中には2つのステージが設けられている。今回は小さい方のステージ。会場が小さいだけに多くの客で埋め尽くされている。前回のツアーで出会ったNorth Calorinaの人々も多く駆けつけている。BBの演奏中,Jaredがかなり疲れているのが分かった。でも自分はいい感じ。
Jaredは疲れからか,いつもはMelvinsの時キチンと着るムームー(女性が着るハワイの民族衣装)をマントみたいに羽織っていた。公演後,”マントみたいに着ていたのは良かった”と言おうとしたら、単語を間違えて”マント”を”カーテン”と言ってしまった。するとJaredは自分がわざと言ったと思ったのか、「両肩にレールを通して、そのレールの両端にカーテンがぶら下がっているところを想像すると面白い」となぜか将来的な案として気に入ったようだ。


10月10日, Athens, GA

AthensはUGAのカレッジタウンでREMやThe B-52'sを輩出した街として有名だ。ちなみに会場の40 Watt ClubのオーナーはREMのギター、Pete Buckの元夫人。学生街のレコード屋を探しに行き,2軒みつけ、数枚のCDを手に入れ会場に向かって歩いていると、REMのシンガー、Michael Stipeが道ばたで何気なく友人と思われる人たちと話している。その事を皆に話すとBuzzが「後ろから殴っておいたか?」ときつい冗談。しばらく会場でキャッチボールをしていると、Timが真面目な顔をして自分に話があるから楽屋へ来いと言ってくる。サウンドマンのKurtが今日の公演を最後に一身上の都合にてツアーを後にすると言う。今後の公演のハウス・エンジニアとの話し合い,音の確認(サウンドチェックではなく、ハウス・エンジニアが作るミックスの確認)、マイクの管理をして欲しいと頼んで来た。自分はそれを引き受け話し合いは終了。
会場まで時間があり、自分は食事をしていると楽屋には自分しか残っていなかった。食事を済ませると、Melvinsの公式サイトを作っているJとその婦人Aが楽屋にやって来た。自分は彼らとは初対面で,二人とも大人しめなので話しづらかった。しばらく話していると楽屋にもう一人現れた。前回のツアーのAtlanta公演で知り合ったMastodonのギターリスト,Brent Hindsであった。Brentはいつも”ハイ”な上、酔っぱらっている。話しだすと止まらない。案の定,JとAの会話を横切って自分に話しかけて来た。彼の携帯に電話が入り、電波が悪く、外に電話をしに行ったので救われた。戻って来る頃には楽屋には皆も戻っていたため、Brentは他の連中に話しかけていた。
公演の時間になると会場は満員。始まる前にBuzzからここがすばらしい会場である事,客も良いという事を聞かされていた。その通り、客の反応は非常に良くとても良いライブに思えた。公演後は多くの客に声をかけられるし、バーテンダーの対応も良く,酒を何杯かごちそうしてくれた。
片付けを終えた後,深夜に会場の駐車場に現れるホットドックの屋台でちょっぴり辛いホットドックを頬張る。最近はその屋台は会場の名物にもなっている。Jared, Daleと自分が今晩のバンドの人間と知ると、屋台のオーナーJDはTシャツと瓶に入ったタレをくれた。JDがTシャツのデザインにまつわる話を皆に話し始めたのだが,彼の南部なまりがきつくて自分には半分くらいしか理解できなかった。おしゃれな学生街の一角で客,店員に恵まれ良い夜になった。


10月11日, Birmingham, AL

街を発つ前,地元で老舗チェーン・ファースト・フード店、the Varsity(Atlanta店は1928年創業,http://www.thevarsity.com/index.php)で昼食を取る。店の中も外も50年代風の作り。昔のアメリカ青春映画の中で出てくるレストランのようだ。何種類かのホットドック、特にチリドックとハンバーガーがメイン。ともにサイズが小さい。でも値段も安い。自分はのGlorified Burger(ハンバーガー、レタスとトマトにマヨネーズがかかったもの)を2つ注文。あまりしつこくなく,小さいため腹が重くならない。店の雰囲気もあったのか、やたらと美味く感じた。
数時間で次の会場に着いた。着く直前に会場の目の前で交通事故。先に来ていた機材を運ぶトラック組のJohnとGarethは事故の音を聞いたと言う。今日はKurtがいなくなってからの初日。サウンドチェック等でも気合いが入る。会場のエンジニアの二人は非常に協力的でやり易い。Timも「トシはスタジオでMelvinsの作品を手がけている...」のような事を彼らに伝えてくれたようで彼らも自分の意見を真剣に聞いてくれる。音意外に気になる事がある。まずステージが狭いこと。ドラムセットを2つ置いたら、ベースアンプがその横には置けない。JaredはCoadyの後ろで演奏する事になった。もう一つはステージが低い事。観客が暴れれば自分の機材に被害が加わる可能性が高い。エンジニアの一人は「警備員がステージの両脇に一人づつ発つから大丈夫だ」と言うのでそれを聞いて少し安心した。
開演の時間になると会場は満員。一人ドラムの前に立ち、観客との距離の近さに驚く。自分の目の前には3人組の酔っぱらい。ただ酔っぱらっているのではなく、(何かの薬で)かなりハイになっているようだ。その3人組の直ぐ隣にはじっくりと観て聴いている小柄の男性がいた。その男性に数回その酔っぱらい達はぶつかって来て、その度に凄く嫌な顔をしていた。5回目くらいでその男は酔っぱらい達に文句を言っていた。酔っぱらい達の勢いは止まらない。そのうち一人はビールを持ち、両手で乾杯のポーズを取る。その腕が自分の機材の真上にあるので自分はその腕を演奏しながらはらい除ける。するとようやく警備員が酔っぱらい達に注意をし始めた。しばらくは収まったものの数分でまた暴れだし勢いは増し、とうとう自分の機材にぶつかって来た。警備員に目をやるとその警備員はBBの演奏で大興奮。自分と目が合いようやく仕事にもどる。後で知った事だが、その警備員はMelvins, BBの大ファン。協力的だが仕事を忘れ載りまくっていた。その曲終了後,機材を数十センチ観客から離しその場はなんとか乗り切った。
Melvinsの音をチェックするために観客の方に向かう。多くのものが声をかけてくれる。その中に例の小柄の男性がいた。自分は「大丈夫だったか?」と聞くと,実は酔っぱらい達は彼の知り合いだと言う。よく見ると酔っぱらいの一人が直ぐ隣に立っている。「ライブよかったよ〜」と嬉しそうに言って来たので、「貴様〜!」と言いながらヤツの首をしめる。しばらくして他の客と話していると、一人の女性がその話を割って来るように自分の所にやって来た。「トシでしょう?ライブ最高!ところでさ〜。私の胸、40-D(約100cmのDカップ)あると思う?」と聞いてくる。あまりにも突拍子だったので唖然としいると、もう一人の客が彼女の知り合いだったようで、彼女が豊胸手術した事を教えてくれた。彼女はそれを自慢したいらしい。自分は「服着ていたんじゃ分からない。脱ぐか触らなきゃ分からない(分かるはずがない)」と言うと、彼女は「んじゃ、触らせてあげる」と言って来た。触っても分かる訳がないが、せっかくなので...変な客ばかりだ。
その日,変な客はもう一人いた。自分が片付けをしていると一人の男性客が自分の所にやって来た。Johnから自分の事を聞いたと言う。「日本に先日行って来た。トシは日本から来たのだろう?」と言ってくる。忙しい時に”うっと〜しい野郎だな〜”と思っていたが,「そうだ,日本人だ。そうか、それは良かったな。面白かったか?」と取りあえず返事をする。「そうなんだよ。頼みがあるんだけど...」と言って来たので「悪い。後にしてくれるか?」と言うと、「いや、良いんだ。日本語で話してもらって勉強出来ればと思っただけ」と返事が返って来た。”他に日本語を勉強するやりかたはいくらでもあるだろう。日本に行った時友達作らなかったのか? くそ忙しい時に...”とぶつぶつ言いながらステージの片付けを続けた。

Brooklyn>>Washington DC>>Spartanburg

10月6日, Brooklyn, NY

会場に着くとBuzzが硬球でキャッチボールをしようと言うので.歩道でキャッチボールを始める。それを終わらせると, 運動した所為か、腹が減ったので目の前のタイ料理屋で早めの夕飯を注文。それを持ち会場に入ると一人のMelvinsのTシャツを来た男性がステージ横に座っている。その男は自分等の会話に何気なく入ってくる。自分は会場の者か誰かの知り合いかと思っていたのだが,Johnが言うには単なるファンで昨日の会場にも来ていて,かなり酔っぱらってJohnを困らせたと言う。男はすぐさまツアーマネージャーのTimに追い出される。追い出される間際、男は「チケットくれないのか?VIPチケットとかないのか?」と追い出されているにも関わらず図々しい事言っている。タイ料理を食いながら横で聞いていた自分は大笑い。その男を追い出し、戻って来たTimは、良い匂いがしたのか、自分が食べているものは何か、何処で手に入れたのかと聞いてくる。そのあとBuzz, Dale, Coady, Jared, Garethの順で1分置きくらいに同じ質問をしてくる。皆腹が減っていたようだ。同じ答えを5度ほどしたのはちょっとおかしく思えた。
ショーの時間まで時間が会ったのでBrooklynに住むBBの親友、前回の公演の一部をともにしたReubenの案内であたりをぶらつく。レコード屋に連れて行ってもらう。土曜の夕方とあり、20人くらいの客でにぎわっている。自分はバンの中で聴くためのCDをあさり始める。CDのコーナーにいたのは自分だけ。レコード人気がまだ根強い事を再確認。
公演の時間になると楽屋はバンドの友人等で満員。自分は少し離れたところで準備運動。ステージに上がると例の男性ファンが自分の目の前にいる。ステージテクのGarethに耳打ちでそのファンを監視するよう伝える。ところがそのファンメチャクチャ態度が良い。自分は勝手に判断していたのでちょっと悪い気がして来た。
Melvinsのセットが終わるとその男は自分の所にやって来てサインをくれと言う。サインをし終えると今度はBuzzのサインが欲しいから楽屋まで連れて行けと言う。前言撤回。働いている上,知らない人間を楽屋に連れて行けばこっちが白い目で見られるのは当たり前。「もう会場にはいない」と言うと「本当か?まだいるんじゃないのか?」と言って来るので、「働いているんだ。まだいると思うのなら出口で待ってろ」と言うとやっと分かったようだ。
片付けを終えると、またTim他の店に飲みへ行くと言い出す。自分は帰りたいとだだをこねる。結局,朝の4時まで飲む。ニューヨーク・スタイルのピザを一切れ食う。遅い時間,疲れている時に食ったのだが,油が強すぎてあまり美味いと思えなかった。NYのピザを期待していただけに残念。


10月7日, Washington DC, Washington DC

前回のBBの単独公演と同じ会場。正直あまり期待はしていなかった。案の定,客は立って観ているだけ。演奏的にはまあまあだとは思ったが客はやたらと大人しい。反応がなく自分の演奏への自信が薄れて行く。その上セットの途中でペダルの一つが壊れ音がでなくなる。壊れたペダルとリンクから外しその場はなんとかしのいだものの、連夜の夜更かしで疲れもピーク。全く良いショーだとは思えなかった。

10月8日, Washington DC>>Spartanburg

昼間から夕方にかけ4時間あまりを自分が運転。コンタクトが乾くので夜は視界がぼやけ始める。真っ暗になったところで運転を諦める。運転を代わってもらうためとトイレに行くのを兼ねて、North Carolinaの中部のどこか,森に囲まれた高速の出口のそばにあるガス・ステーションで車を止める。Daleと連れションをしていると、Daleが何かを見つけそれを指差す。二つの小便器を仕切る壁のDale側に何かが書かれている。”君の地元のKKKを支援しろ!(yourになるところがyou'reになっている)アメリカには君が必要だ!今だ!アメリカに神のご加護を...”。流石は南部。なんか楽しくなって来た。バンに戻りカメラを手にしてはしゃいでトイレに戻る。店員は目を細くして自分を見ている。

後で聞いた話なのだが、その頃,もう一台のバンはMr. Waffle(Waffle Houseではない)と言うチェーン店に入って大変なサービスを受けたと言う。今回のツアーにはBBの前に20分の映画”the Purge of Dissidents(http://www.apurgeofdissidents.com/)”を上映していたのだが、その映画のサントラを担当していたTomがこのツアーに参加してスクリーンのセッティイングと上映を担当していた。そのTomを含め4人は簡単なメニューを注文したと言う。そのオーダーを受けたウェートレスは何度もその注文を繰り返して聞いて来た。その時点でTomは嫌な予感がしたと言う。そのウェートレスは一つのトレーを持ちキョロキョロしている。Tomは残りの3人に「あれは俺のだけど彼女は絶対違うテーブルに持って行くぞ」と伝えると、案の定、彼女はそれを二つとなりの3人のトラック運転手たちのテーブルに置いたと言う。その運転手のそれぞれが個々のものではないと確認するため、オムレツの中身を素手で卵を持ち上げ中身を除いていたと言う。彼らはそれを端によせ注文がそろうのを待っていたと言う。彼女はトレーを持つたびにキョロキョロして、しかも一つづつ運んでいたと言う。何度か間違えをくりかえした後,ようやくTomを除いた3人の注文がそろったと言う。Tomが自分の料理が来ていない事を彼女に伝えると彼女は運転手達の席に置いていた料理がTomのものだと気づき、それを取りTomに手渡したと言う。彼らが手に取ったものは食べられないと伝えるとそれを何もなかったようにさげるウェートレス。ようやくTomの所にトレーが来る。が、また違う料理。彼女とやり取りに疲れたTomは全く注文とは別のものをしぶしぶ食べたと言う。
ホテルに着くとしばらくしてDaleから電話がかかってくる。明日の会場に行きそこで飲もうと言う。自分は数杯飲みたい気分なので取りあえず行く。自分は少ししか飲まず,それに気づいたTimは自分に運転を頼む。しばらく経ち「後、5分待つ!」と言うと連中は「分かった」といい返事が返ってくる。10分経っても連中は話に盛り上がっていたようなのでそれを無視して、ホテルまで約2kmの道のりを歩いて帰る。この後, Coady, Timも歩いて帰ったらしい。残されたDaleとGarethは運転して帰ったのだが、ホテルを通り越し、迷い,たった2kmの道のりを30分かけたと言う。早く帰って大正解。

Baltimore>>New Haven>>New York

10月3日, Baltimore>>New Haven

移動日。距離は386kmと一日で移動する距離ではないが、New Yorkを抜けなければならく渋滞が予想されるため丸一日の移動となった。がNYはさほど込んでいなかった。逆に予想をしていなかったConnecticutに入ってからが霧の所為もあり渋滞。高速の残り30Km弱と言ったところが1時間半近くかかってしまった。
ホテルは都心から少し離れた工業地帯の近く。周りにはコンビニエンスストアー、ガソリンスタンドとファーストフードの店しかない。少し離れたピザ屋のピザを配達で頼み、それを食べながら大勢でホテルの一室で野球観戦。


10月4日, New Haven, CT

会場のToad's Placeは名門、Yale大学の学生街に位置する。街並も他の学生街より遥かにオシャレだ。その所為もあり、会場には今までのクラブとは全く違うアーティストが足を運んでいる。Rolling Stones, Bob Dylan, B.B.King...それらのアーティストの写真や絵が天井近くの壁に張られている。最大収容人数は750人の場所にこれら大物バンドが来ているか不思議でしょうがなかった。
さすが大物バンドと接しているだけあり、会場の人間の対応は他のクラブとは話にならないくらい良い。開場前まだステージの準備をしている時、バーのカウンターの頭上にあったテレビでメジャーリーグのプレーオフを観ていると,一人の店のものがさりげなく椅子を持って来てくれる。会場のマネージャーはバンドの為に,二階にある大物バンド専用のパーティーバーを野球観戦の為にあけてくれると言う。気分は大物ロックスター。自分は何もする事がないのでバーで一人で野球を観ているとBuzzがそれに加わる。隣に良い本屋があるからちょっと行くと、試合中にその場を離れる。Buzzが去った直後,松井稼頭央の満塁打。戻って来たBuzzにその事を話すとさすがに悔やんでいた。
開場されると決して満員とは言えないがかなり良い数の客が開場を埋めている。自分の演奏は周りの大物スターの写真の所為ではないがちょっと固い感じ。4曲目の前奏で一人だけ5曲目を弾き始めてしまった。Jaredが”何かがおかしかった”ような目で自分の方を見てニコニコしている。自分は演奏しながら”sorry"と口を動かす。観客は静か目。曲が終わると多少の完成をあげるがはっきりのっているのかは分からなかった。だが演奏を終え片付けをしている自分に多くのものから声をかけられた。”何時からBBに加わったのか?”とか”非常に良いサポートだ”とか質問されたり褒められたり。なんとも不思議な観客だ。


10月5日, New York, NY

前回のBB単独のツアーのイメージが残っていて、NYのショーはもっとも期待していた。しかも前売りも売り切れに近いと言う。会場に入るとBuzzと一対一でフィッフルボールの投げ打ち合い。
それを終えブラブラしているとバーに2台のテレビがあるのに気づいた。バーテンダーに野球を映してくれるよう言うと、それらはステージを移すモニターだと言う。ふてくされて楽屋に行くともう2台のテレビがある。バーのものに野球を映してくれと言うと、今度はアート系のDVDを流すだけのモニターでテレビのケーブルは繋がっていないと言う。コンピューターのワイアレスの電波も弱く,MLB.comでの中継(リアルタイムに近い渋滞でピッチングのシュミレーション、カウント,得点等が出るだけ)も観難い。我慢できず通りに出ると幾つかのレストランやバーで野球を流している。バーに入れば注文をしなくては行けなく、飲み物は楽屋に腐るほどあるのでもったいないので、人を待っているふりをして道ばたで野球観戦。コマーシャルの時、横の通りに行くと大きな画面で野球を観ているバーがあった。その向かいの上が楽屋の窓だと気づく。楽屋に戻り、皆にその事を伝える。もの凄い小さな画面であったが4,5人で道を挟んで窓からの野球観戦。勿論、球の動きや選手の顔,得点は全く区別できない。選手の動きで予想しながら延長11回全てを見終える。
公演は、やはりNY、客の反応も良くこのツアーもっとも良いものの一つになった。BB公演終了後,来てくれた友人達に挨拶に行こうと観客の所に行くと、3人の男性が自分に声をかけてくれる。その中の二人はMLB.comの編集部の者だと言う。サウンドのKurtの知り合いらしく,Kurtは自分の事を彼らに話してくれていたらしい。その中の一人が「もしこの公演が二日後にずれていたら,Yankeesのプレーオフのチケットあげられたのに」と嬉しい悔しい事を言ってくれる。でもコネが出来た。来年が楽しみだ。その後、Melvinsが始まるまで他の客も含め数人、大声で野球談義が15分ほど続いた。
Melvinsの公演も大成功。片付けを済ませた後,付き合いもあり朝の4時まで飲む事になる。ちょっと疲れがたまって来た。

Philadelphia >>Baltimore

9月30日, Cleveland>>Philadelphia

さすがに5時まで飲んだので頭の中がフワ〜っとしている。目的地、Philadelphiaまでの途中にPittsburghがある。昼過ぎにPittsburghに着く予定。しかも今日はデイゲームでPirates、St Louis Cardinals公式最終戦がある。それを観るため朝の10時にホテルを出る。二日酔いの自分は一番後ろの席で大いびき。目が覚めるともうPittsburghに着いていた。
Piratesはナショナルリーグ東地区の最下位チーム。人の入りも悪いとみていたが、最終戦で日曜のデイゲームともあり意外に込んでいる。日掛けの出来る内野席側の一番後ろのチケットを買って観覧。一番後ろの席の中に、屋根を支える柱が、座った時足のところに来る席がいくつかある。もしこの席にあたって場合柱の後ろから見なければならないであろうかと皆不思議に思っていた(写真を入手次第、記載する予定)。
試合の方は、両チームともプレーオフ進出を逃していたが白熱した良い試合であった。試合後食事をとってPhiladelphiaのホテルに向かう。ホテルに着いたのは夜10時頃。


10月1日, Philadelphia PA

ツアーが始まって2週間が経ち洗濯物が溜まって来たので洗濯を都心までしに行く事に。Philliesがプレーオフ進出を決め公式戦が終了した翌日で、街中でパレードをやっていて道が込んでいる。予定を大きく上回りコインランドリーに着く。洗濯機を回しながらすぐ隣のレストランで昼飯を食う事に。Philadelphiaと言えば、フィリーチーズステーキ。ここのはあまり美味くなかった。飯を済ませドライアーにかけホテルにもどって直ぐに会場へ向かう。
早く着いたんで会場の周りで時間を潰す。近くのCD屋で移動中に聴くためのCDをいくつか購入。Daleと楽器屋、服屋等をぶらぶらする。Daleは妻のMと娘のSと合流するので、しかもMの誕生日が近いのでいつになくそわそわしている。
公演の方は前回のBBのツアーでのイメージが残っていただけに、予想を裏切る客のリアクションで複雑な気持ちになる。ステージを降りてからも声をかけられるのが少なかった。一人の女性客は、前回の公演に感動して今日足を運んでくれたと言う。反応が少なかっただけに、その言葉は非常に嬉しく思えた。
公演が全て終了したのち、自分は小遣い稼ぎに片付けを手伝っている。作業をしているとBuzzがやって来て、ウィッフルボールでの投げ/打ち合いをしようと言ってくる。会場の係の数人が片付けを手伝っていたので、一人抜けても大丈夫だろうと自分はフィッフルボールを始める。公演の反応が分からなくもやもやしていただけに、飲んで投げて打って気分が良くなった。
楽屋にもどるとDaleの家族が楽しそうにしている。会場からフィリーチーズステーキも用意されていた。会場のすぐ向かいの店のものだが、これはいけた。DaleやBBの連中に絶対食べるよう薦められていた。期待を裏切らない美味さ。食事を済ませると、奥に古いオルガンがあったので皆が自分に何か弾けと言ってくる。Daleがギターを持ち、2歳の娘、SがDaleにリクエストをする。”ホットドック”と言う童謡を弾き始める。自分は全く知らない歌だったがDaleのギターのコード進行に合わせるとSは大声で歌いだす。曲が終わるとSは同じ曲をリクエスト。それが4、5回続く。楽屋で内輪だけのコンサートが20分ほど続く。


10月2日, Baltimore, ML

前回のBB単独公演と同じ会場。前回の公演は客の入り、ノリとも”いまいち”と言ったところであった。そのイメージがあったので、入り、ノリとも自分の予想を遥かに上回った。BBは前座であるものの、BBの単独の公演より客のノリは遥かに良い。昨日の客の公演の手応えのなさから一点して、この盛り上がり。自分は非常に楽しめた。ただ酔っぱらいが多いのが気にはなった。
最後の曲になると最前列にいた一人の女性客がステージに登り、Jaredの所までやって来た。酔っぱらっている彼女はただあがるだけで何もしない。彼女はJaredと目が合うとJaredの横を通り抜け、ステージ横から逃げて行った。その時,彼女の足にマイクのケーブルが引っかかった。その所為でJaredのマイクスタンドが倒れる。曲の途中ともありJaredはかなり頭に来たようだ。気づくと彼女は元の最前列に戻っている。Jaredは彼女を見て「何がしたいんだ?ステージに上がってくるな!」と大声で叫ぶ。
Melvinsの公演になると客は大興奮。5曲目あたりでまた例の女性客がステージに上がって来て、今度は直ぐにその場からステージを降りる。しばらくして、公演の後半に入ると彼女はまた上がって来た。今度はあたりを見回し,Buzzの方にフ〜ラ〜っと近づいて行く。ステージ中央にたどり着いた時、ステージテクのGarethに取り押さえられる。会場でそれを見ていた自分は慌ててステージ横に駆けつける。Garethが彼女を自分に託そうとするとその横にはJaredが曲の途中にも関わらず「追い出せ!追い出せ!」と自分に言ってくる。彼女の二の腕を掴みステージから降ろし出口まで連れて行こうとすると、自分の手を振り払い、とても酔っぱらいとは思えないもの凄いスピードで会場の人ごみに消えて行った。その後,彼女の姿を見る事はなかった。

Chicago>> Detroit>> Cleveland

9月27日, Chicago IL

Chicagoの渋滞は酷い。案の定、今回も渋滞にはまり会場に着いた直後にサウンドチェックとなる。大都市でもあり前回のBBのツアーで数回よった場所でもあり知人も増えてきた。数人の知人が足を運んでくれたのだがとにかく忙しく話す時間がなかった。チケットは1週間くらい前に売り切れ。音はあまり良いとは思えなかったが、客ののりも非常によく良いライブができた。


9月28日, Detroit, MI

会場の裏に丁度いい広さの駐車場があったのでそこでキャッチボールを皆と始める。ギター/ステージテクのGarethはイギリス人。生まれて野球と言うものをした事がない。皆の指示で初めてキャッチボールを体験する。投げる事はあまり難しくないようだが、やはりグローブをはめて球を受けるという事がままならないようだ。しばらくすると意外に上達して不格好だがなんとか野球らしくなって来た。終わった後は”グローブ買うぞ”と意気込むほどキャッチボールで感動したようだ。
今日も売り切れ。会場は人で埋め尽くされ, 熱気(冗談抜き)でステージの上も暑く、息苦しかったが、客ののりに押さ暑さを堪え良いショーとなった。Melvinsの時に久々に写真を撮ろうと思ったが、レンズが曇って、ぼやけてしまうほど”アツイ”公演であった。
ホテルに着くとTimと音響担当のKurtがホテル近所の店(何処だかは不明)で、地域自慢のチリドックを買って来てくれた。チリがさっぱりしていて、真夜中の胃に重くない。燃焼した体にはたまらない。自分は2つ。空腹を避け就寝することも出来た。


9月29日, Cleveland OH

会場に早く着いたので”Rock 'n Roll Hall of Fame(ロックの殿堂)”を観に行った。自分の好きなものや全く知らないバンドの所持品が多く展示されている。バンドのCDかコンサートのアクセスパスを持って行くとただになるのが嬉しい。一階中部はシーンごとに分かれていてその中に”Seattle Scene"のコーナーがありグランジのバンドの所持品、ポスター等が飾られてある。そのディスプレーの右横にFrank Kozik作のMelvinsのポスターがあり、自分の横にDaleがいた事が非常に不思議な空間に感じた。

会場に戻るとBuzzがキャッチボールをしようと言ってくる。会場は都心にあり駐車場のスペースもない。道を挟んだ別々の歩道に立ちキャッチボールを始めた。車が来るたびに止まってしまう上、早くから会場に駆けつけるファンからも声をかけられ、それに応じるBuzz。キャッチボールをしながら自分はポスターの事を思い出したりもしていた。あまり集中して出来なかった(仕事ではないので、別に集中する必要もないが...)。
連夜の満員。演奏も冴え非常に気分良くステージを降りれた。ただJaredのメインスピーカーキャビネットが公演中壊れてしまい、Jaredはご機嫌ななめ。またスピーカーを探すことになるのと出費が嵩むことにも不満が残る。
片付けを終え、バンに向かおうとするとマネージャーのTimから声がかかる。プロモーターのCが普段、バーテンダーとして働いている店に飲みに行こうと言う。2時を回っているため、客としては飲む事が出来ない。そうなればただ酒。だが明日はかなりの距離を運転する予定。あまり遅くまでは飲むつもりはなかっただが、結局、朝の5時まで飲んでしまった。ホテルに行き、久々に二日酔いを予感しながら床につく。