1月20日
一人Paulのオフィスを寝床にしていた自分は尿意で目が覚める。あたりを見てPaulの家に来ていた事を確認して,その尿意を無視してまた眠りにつこうとした。とその時,誰かがドアを叩きその音で完全に目が覚める。元々スタジオとして使っていたその部屋は外からの音が遮断されていて寝るには最適。時計を見てみるともう午後の1時。ここ4年近く風邪をひいたとき意外はここまで遅く寝ていたことはなかった。幾ら静かな場所とは言え長い車での移動等がかなり疲れとなっていた事を実感する。本来Anaheimで行われているNAMMショーに行く予定だったがとても時間がありそうもなく諦めた。
朝食,昼食をSan Diegoで取るのを諦めとりあえず出発する事に。世話になったPaul達に別れを告げ,2時半頃その家を出た。40分くらい高速を走るとさすがに皆腹が減ってくる。とりあえず高速を降り店を見つけることに。降りたところはSan Clementeと言う小さなサーファインで賑わっている町。レストランが2軒見える。Tacosと書かれたところがあったが,昨晩,皆メキシコ料理だったのでそこはパスした。その先にブレックファースト・ランチと書かれた所に行く事にした,が2時半までの営業だったので諦めてそのメキシコ料理の店に入る事にした。Pedro's Tacos。ドライブスルーも有り,ファーストフードなのでとても期待は出来ず,しぶしぶタコスを注文する。フライドフィシュタコとカーネアサダタコ。これが美味いどころか今まで食べた事ないほどの衝撃が走る。いくら腹が減っていたとは言えあの美味さはLAでも食べた事は判断できた。たれが美味い。車に戻った後も手についたたれの香りを嗅ぎ余韻に浸っていた。
Anaheim付近の大渋滞の影響で結局Long Beachに着いたのは7時ちょっと前。LAからSDに行った時以上に時間がかかっている。会場を見つけ荷物を降ろし昼食から3時間しか経っていなかったが,その会場の近所に有名なレストラン・バーがあるからその場所を会場の人間に聞く事に。そこは会場から徒歩2分の所にあった。7時過ぎでレストランの中はお客で溢れている。たまたま出て行く客がいたのでそのテーブルを取る事にした。Joe Jost'sと呼ばれるその店には4つの名物があるらしい。いつも温度を測って冷やしているビール,平たいパンで挟まれたホットドッグ,ピクルスのたれで漬けたゆで卵,そしてその店のTーシャツであった。テーブルを抑えているとDaleが注文を済ませてくれて,とりあえずビールとそのホットドックが来る。確かに美味い。ビールもホットドックも味はしっかりしているがさっぱりしている。その次に来たのが例の卵であった。これはいまいちと言うか,Danにあったては「とてもじゃないけど食えない」と残したほど。酸味が強すぎるのか塩ッぱいのか,とにかくしつこい。なぜこれが流行っているのか理解できなかった。そんなもんでとてもそこのTシャツを買う気になどならなかった。
会場に戻るとすでに何人か客が来ている。その中にSan Franciscoの公演にもわざわざArizonaから来てくれたSteveの姿があった。早速彼に来てくれたお礼も兼ねて話を始めた。この4日のツアーで唯一来れるのがこの日だったらしい。$200.00かけて飛行機に乗って来てくれたのであった。これは酒をご馳走してあげなくてはと思い,店からバンドに配られる酒のただ券を使って彼に数杯飲み物を渡した。それと数人の知人も来てくれ,彼等と話を始める。
そうこうしているうちに1つ目のバンドの演奏が始まる。テロリストが使うような覆面をかぶっている。やな予感...的中。デスメタル。どう考えてもAltamont,the Sermonとのつながりがない。ステージに上がり準備が整ったそのバンドのボーカル(????)がマイクを握り挨拶(????)を始める。「このショーには21歳以上だけが来ているんだよな。なんだ...俺は13,4歳くらいの子を見つけてその子たちにいたずらを...」見た目にも品のなさが無ければ言う事はそれ以下。一気にやる気をなくしてしまった。またブッキングでメチャクチャだ。彼等のパフォーマンスを聴く気にもなれないし,それ以上に考えた事が客が逃げていくのではと言う事。案の定,駐車場に車を止めたものの中をのぞいて帰る人の姿を何度か見た。
次のバンドは1つ目のバンドとベーシストが同じらしい。この時点で自分は家に帰りたくてしょうがなかった。ボーカルが入ってくる。カーリーヘアーでDioの真似でもするのかと思ったら,皮ジャンの後ろには大きくDioのロゴが...カバーバンドか?しかもギターリストが二人,袖が肩のところで切れている半そでともタンクトップとも言えない,80年代に流行った何と呼ぶのか分からないシャツを着ている上,黒のピチピチのジーンズに真っ白のスニーカー。完全に時代をさかのぼっている。演奏の前にちょっとしたサウンドチェックをしている際,ギターの二人はハーモニックマイナースケールを練習している。しかも胸のところで弾いているし。大きな骸骨の仮面をかぶった死神のコスチュームを来た者が準備をしている。今度はIron Maidenか...そんな時,来てくれた知人達が腹が減ったとのことなので,それを理由に外へ避難する。
さすがに自分は今度は食べなかった。知人達と一緒に行ったレストランから会場に戻るとthe Sermonの演奏が始まっていた。楽屋に戻り,ギターを取りウォーミングアップを始める。The Sermonの演奏が終わりに近づいた時,Sashaが楽屋に慌てて入ってくる。目を丸くしたSashaは何かを言いたそうだったので尋ねると,「Steveが連れ出された」と言う。詳しく聞くと,Altamontの公演を待ちきれく酒の入ったSteveはイスをステージの方に投げたらしい。その後,2度注意されたのにもかかわらずその行為を続け,3つ目のイスを投げた時警備員に追い出されたらしい。あと2曲我慢すればAltamontのステージになったのだが...
肝心のパフォーマンスの方はいまいち乗る気ではなかったのだが,知人や他の客の声援で次第にやる気を取り戻し,自分自身はまあまあの出来だとは思った。でもDanとSashaはかなり納得が行っていなかった様子が伺えた。Sashaに限ってはオーストラリアからアメリカに移って5年,その中でもっとも納得の行かないパフォーマンスであったことを告白。片付ける時に気付いたのだが例のブラが掛かっていなかった。やはりジンクスなのか。
Bakersfieldの失態から学んだ自分は酒を控えていた(?)ので,帰りの運転を任される事になった。40分あまりの運転だったが後部座席に乗ったDanとSashaの言葉が少ない。前にいた自分とDaleのみが会話をしていて,相当疲れていたのか落ち込んでいたのか,他の二人は会話に参加してこない。Daleの家に着き荷物を降ろして終えた時,Danは「明日はこんなに酷くはならない,絶対に取り戻す」と言い切り,それぞれの帰路に着いた。
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