8月4日、Chicago, IL,
数日前、Denverを出て北に上った頃から雲行きが芳しくない。この日も会場に向かう途中の雲は今にも泣き出しそう。会場に付き荷物を降ろし、セッティングを終える。ちなみにそとの看板には”Bi Business"となっている。昨日と同様、公演の全てを録音するよう手配する。ハウス・エンジニアのJに指示をすると、あまり気乗りではない様子。嫌な予感。
サウンドチェックを済ませると、会場が野球のチケットを用意してくれると言うので慌ててDaleとタクシーを拾いWrigley Fieldに向かう。公演まであまり時間がないので1時間強観る予定でいた。Cubsは歴史が長くファンが多い上、今年は乗っているので球場にはものすごい人の数。チケットを係員に見せると席まで案内してくれる。三塁側ダグアウト近くで前から2列目。こんな良い席に座った事が今までない。Daleと二人で大興奮。カメラを持って行かなかった事が悔やまれた。5回の裏、福留選手の打席から観る事が出来た。10分くらいしてDaleが空を観て、「雨が降らなければ良いけどな」その後5分くらい経ち、大雨が降り出した。帰る客、屋根付きの場所で待ち始める客とごった返す。自分等は20分くらい球場内をぶらつき待ったものの、雷もなり始め、ラジオではトルネードの恐れもあると言っている。とても止みそうにないので会場に引き返す事に。1イニングしか観れなかった。
外に出ると大雨の中、多くの人が行き来している。タクシーを待っている者も少なくはない。知らない町なので自分等はうろうろするだけでタクシーを見つけるタイミングを失っている。暫くすると雨はもの凄い勢いになって来た。たまらず近くのバーで待機。通りには人が一気にいなくなった。これがチャンスと思い、思いきって外に出ると2台目でタクシーを抑える事が出来た。二人ともずぶ濡れ。陸橋の多いこの町。陸橋下の道路には川の様な洪水も出来ていて、回り道しなくてはならなくなったり、風か雷でかなぎ倒されている木も目に入る。それでもなんとか会場に到着。
ずぶ濡れの自分を観てBuzzは「Melvinsの(グッツ・)シャツを着ろよ」と良いアイディアをしてくれる。ようやく落ち着くものの開演まで時間がない。急いで録音の準備をしにサウンド・ブースに向かう。前売りの時点で完売。この大雨の中多くの人が来ている。サウンド・ブースではバックグラウンドミュージックの為、Totimoshiの曲が流されている。つんつん頭の兄ちゃんに「これ俺がミックスしたんだ」と言うと、「へー、そうなんだ。これ良いよね。つい来ないだHelmetがこの会場へ来た時もかけたら、Page (Hamilton/Totimoshiのプロデューサー)が俺の所へ来て、”良い曲かけるね〜”って言って来た」と笑いながら話す。準備を終えると間もなく一番手のノイズジャムが始まる。また人を切り抜けこんどはステージに向かう。続くBBともに公演は納得の行くものとなった。
Melvinsの公演の前に録音の機材のチェックのためサウンド・ブースへ向かおうと、地下のバックステージから観客の方へ出向くと、多くの客が自分の事に気付き歓声が起こる。昨日の客とは大違い。照れながら手を振って答える。Melvinsの公演でも客はそれほど乱れない。暑さが以上なためBuzzも我慢できなくなったようで、休憩を取り、しゃべり始める。相変わらずの毒舌。Billy CorganとCourtney Loveの悪口。
公演は無事終了。ステージに上がろうとするものもいないし、酔っぱらった勢いで話してくるものもいない。ステージ前で待っている者が数人いた。その中の一人がBuzzの使ったタオルをくれと言う。ちょっと不気味に思えたが丁寧な尋ね方だったのでそれを渡すと大喜び。やはり不気味だ。
荷積みをすることには雨は止んでいた。ホテルに着き録音をチェックする。やはり予感通りあまり良い録音ではなかった。ハウス・エンジニアはあまり気にかけていなかったようだ。DaleとTimは今回のノイズジャムが一番気に入っていただけに誠に残念。昨日とは正反対で後味の悪い就寝となる。
8月5日、Detroit, MI,
睡眠時間が短かったため、バンの中では爆睡してしまった。起きるとDetroitに入っていた。会場は前回のツアーと同じ場所。前回は非常に良いショーだったので気分よく会場に入る。ハウス・エンジニアのCに挨拶をする。前回とは違っていた。Cは自分に名のったあと「俺は”dick(かなりきつい俗語で嫌なヤツ)”だ」と言ってくる。はじめの内は冗談かどうか分からなかった。録音の話等を話し始めるとやる気なさそうに話し始める。どうやら本当にDickらしい。あまりにも態度が悪いので経験上、昨日のショーの様に良い録音状態が得られないと思い、録音を断念。Timにその事を話すと、彼もその態度の悪さに気づいていたようだ。
夕食はJaredがBBQを皆にもてなす。醤油、ガーリックとハイナップルがメインのタレで仕込んだ鶏のもも肉。仕込み中のバックグラウンド・ミュージックには自分のITunesからMotownの曲をシャッフルモードで流す。甘過ぎないタレの効いたもも肉を2切れ食べると久々の満腹感。
思い腹を抱えたまま一番手のノイズジャム。録音がされていな時に限り、良いショーとなる。ステージを降りバックステージに行くとRikkyが何かを皆に話している。ハウス・エンジニアのCがかなり酔ったような様子で友人達とべらべらしゃべっていると言う。CoadyがCDを渡してBBのショーが終わった後にかける様リクエストしたらしいが、彼はいつかけるのかなかなか把握しなかったようだ。そのCDがBBのショーの前にかかり始めた。Timが心配になり会場の者にCをチェックするように言うととても仕事が出来るような状態ではないと言う。急いで、休暇中のエンジニアに来てもらうよう電話を入れる。一度はステージに上がりかけた自分等はバックステージにもどりエンジニアの着くのを待つ事になる。会場からは待たされている客の大声が聞こえる。20分待ち、エンジニア、Sが到着。プロモーターのMは激怒。Cは会場から追い出されたようだ。
長い間待たされたにも関わらず、客の態度は非常に良い。演奏中の会場の蒸し暑さが体力を蝕んで行く。観客は態度が良いだけでなく、暑さであまり動けないようだ。ギターがべとべとして非常に弾きにくい。演奏はまあまあと言ったところ。
あせだらだらのMelvinsの公演も無事に終わり片付けにはいる。いつも通り、ステージ前にはファンが押し掛けている。その中の一人は自分の事を"Mr. Guitar Player"とか”Big Business Guy"などと叫ぶ者がいる。隣にいたファンがたまり兼ねたのか「彼のなまえはトシだ」と渋々教えていた。もう一人のファンは「よお、何かくれよ!俺は遠くからわざわざ来たんだ。観てみろ、俺は黒人だぞ。客の中に黒人は一人だけだろ(他にもいた)!」と叫んでいる。あまりにも必死だったのでBuzzのピックを渡した。
バックステージには多くの人で賑わっている。White StripesのMeg White、自分の最も嫌いなコメディアンの一人、Jimmy Fallon等の有名人も来ていた。Jimmy Fallonは自分に挨拶をしてきたので良いヤツかと思いきや、片付けられたステージにあがり一人で歌い始める。友人達が盛り上げているものの、芸が中学生がはしゃいでいるレベル。やはりこの男好きになれない。バンに荷物を入れている時、自分がどれだけJimmy Fallonが嫌いか話始めると、その言い方が面白いのか、あまり人の悪口を言わない自分に驚いたのか、CoadyとJaredは大笑い。
ホテルに戻ってからもCoady, Dale, RikkyとTimはそれらのゲスト達と飲みに行ったらしい。自分はメールなどをホテルの部屋でやっていた。ルームメイトのRikkyが酔っぱらって帰って来て、一緒に飲んだJimmy Fallonがどれほどつまらない男だったか自分に説明しようとしていた。気づけば4時半を回っていた。
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