Monday, September 08, 2008

Houston

8月21日, Houston, TX

New Orleansから560km離れているため、早めの出発。去年と同様にMulate's Restaurant(http://home.netcom.com/~rkiser/Directions/Mulates.htm)
で昼食を取る。ナマズとワニのフライがこの店の名物。値段が他のケィジャン料理屋より少し高め。

Texasに入り、暫くするとJaredが「シートベルト!シートベルト!」と叫んでいる。うたた寝をしていた自分はその声で起きる。どうやらスピード違反でハイウェー・パトロールに止められるらしい。高速を降り、路肩に止める。警察官が助手席の方に近づいてくる。助手席に座っていたTimに窓を開けるように命ずる。開けるといきなり大声で「マリファナを投げ捨てたろ?」Timは「俺のじゃないし投げ捨ててなんかいなません。俺はマリファナは吸いません」と言うと警官はムキになって「どうせ投げるんだったら遠くになげろよな。マリファナやらないって?んじゃ覚せい剤か?」とりあえず運転手であったCoadyをバンから下し、スピード違反のチケットを切るためパトカーに連行する。それを終えるとまたマリファナの話になる。乗員全ての免許を取り、「他に隠している物はないな?」と聞いた後、バンの中をチェックするためバンから出るように命ずる。皆がバンから降りると地元の警官が二人駆けつける。皆がバンの前で地元警官に見つめられながら立ち、バンの後方で警官が皆のバッグの中を検査するのを待っている。皆ナーバスになっている。地元警官はポケットから手を出すように言ったり、きょろきょろしているJaredを見て「何にそわそわしている?何かかくしているからだろう?」などと言ってくる。

「これは誰のだ?」と次々に鞄の中身をあけ調べあげていく。最後のDaleのリックサックを調べていると警官は「お前達は嘘つきだ!」と大声を上げ「これは誰のバックだ?」とDaleをパトーカーに連れて行く。手錠を掛ける音がバンの前方に響く。Timをグループのリーダーと見て、「お前の連れはコカインと武器を携帯していた。これについて説明してもらおう」言ってくる。皆パトカーの前に集まる。Daleは既にパトカーの中に手錠を掛けられ座っている。ボンネットにはDaleのバック。その横には45口径の拳銃、薬莢の箱、白い粉の入ったサラダ・バックが二つ、それに粉の分量を計る計量器が置かれている。これらが全てDaleの鞄から出て来たと言う。それを見て、映画の様な悪徳警官であると思い始めた。警官はTimに質問を続ける。Timは断固としてこれらがDaleの所持品でないと言い張る。警官は「俺が嘘をついていると言うのか?ファンか誰かがこいつ(Dale)の鞄の中にこれらを知らないうちに入れたとでも言うのか?薬をやらないロックバンドなんかいるか。Willy Nelsonだってマリファナ好きだろう」

Daleは身に覚えがないので真っ白な顔で苦笑いをしている。警官は「何が面白い?とりあえずお前は牢獄で一晩は過ごす事になる。他の皆はこいつを引き取りに来るのと同時にもう一度警察署で取り調べだ」Daleに同情する一方、コカイン、拳銃保持とあればこの国に戻ってくる事は不可能だと言う事が自分の頭によぎる。暫くすると、悔いだらけだが、色んな事が起こり楽しいアメリカ生活でもあった、と開き直って考え始めた。警官は「何て言うバンドだっけ?」と続ける。自分を含め数人が「Melvins」と言うと「Melvins? 聞いた事ないなぁ。こいつ(Dale)は何を演奏するんだ?」と警官。「ドラム」と数人がまた応える。「ドラムか。んじゃ今日の公演は中止だな。と、言うかこれからの公演が無理になるんじゃないか?」皆の顔に絶望感が見える。「これから警察署の住所を渡す。ああ。それとロックバンドで思い出したけど、俺はToolのAdam Jonesの親友で君たちをはめる(ドッキリする)ように言われた」...AdamとBuzzが仕掛けたドッキリであった。

皆が大声で何かを言っている。その後、タバコを吸わないCoadyが深く一吸い。Rikkyは吐き気を感じたらしい。自分はバンに戻りカメラを取り、その警官と記念撮影。残る一人の乗員、Jaredはと言うと、この仕掛けに絡んでいたと言う。携帯で一行が何処にいるかをその警官Jに逐一連絡を入れていたと言う。Jの演技(普段やっている事を冗談でやっているだけ)の上手さに誰もがドッキリである事が信じられなかった。拳銃、薬莢と計量器はJの所有しているもので、コカインは小麦粉。マリファナはその日の朝、補導した少年から没収したもの。それらを一行にばれないようにDaleの鞄に仕込んでいたらしい。しかも警察のカメラで一部始終を録画していて、そのテープを渡してくれた。JはMelvinsの大ファンでもあり、Buzzとは顔見知りであると言う。今日の公演に友達を連れ遊びこれるようTimが計らう。

Jに別れを告げると、10分あまりで会場に着く。機材用のバンを運転して別行動であったBuzzはだまされた一行を見ながらケタケタ笑っている。セッティング中はその話で持ち切り。開場されるとJが数人の友人を連れて楽屋にやってくる。Jは自分に指を指し、「Adamは君も存分に罠にはめるように電話で言っていたよ」と笑って話す。自分は取り調べ中、静かにしていたのではめようがなかったらしい。

公演の方はなかなかの盛り上がり。BBの時にまた自分にボーカルが聴こえないと言って来た男がいたので、「俺はギターを弾いていて忙しい。俺に言うな。エンジニアに言え」と言うと男は直ぐに黙り込んだ。同じ建物の中にギャラリーの様なスペースがあり、そこで数人の画家がMelvinsの絵を描いている。バンドとバンドの間にギャラリーに行けるようになっているので客は退屈することはない。粋なはからい。公演後はやはり昼間の話で盛り上がる。いまだに信じられない不思議な一日であった。

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