今回は知人が出版しようとしている雑誌"The Future"の創刊前祝を兼ね,絵画展プラスバンド演奏のパーティーを,その事務所のあるビルを借りて行った。バンドはいつものように直前のリハーサルを行うためMelvins所有のリハーサルスタジオに集合。自分から観て過去最高の出来のリハーサルを終え荷積みをして会場へ向かう。会場はそこから5分くらい車を走らせたところにある。
会場はダウンタウンLAにある。Mel Brooks映画"Life Stinks"の舞台、主題になったこの地域は莫大なホームレスの数でも知られている。一区域は高級ホテル街かと思えば政府の建物,警察署,日本人街,メ キシコ人街と所狭しとみ合っている。その区域ごとのはざ間に多くのホームレスの人々が生活している。場所によっては昼間でも危ないところが多い。よくよ く考えると,昼間の方が危ないような気がする。夜行性のホームレスは少ない。
個々の車に荷物を積み3台でその会場に進む。会場近づくにつれホームレスの数が増えてくる。会場に面している5th Streetは3車線の一方通行となっている。その真中車線のど真ん中を"何故か"ギター(しかもFenderのストラト)を肩に抱えたホームレスらしき 男が車の通行を気にせずのらりくらりと歩いている。警笛を鳴らされようが大声で叫ばれ様がお構いなし,まさにわが道を進んでいた。自分達は右車線を走行し ていたため直接の被害はなかった。が,会場近くの交差点が赤信号。そのギターマンは自分の車の真横にいる。昔からホームレスとは何故か相性が合わない(合 う人はいるのであろうか?)ので"絶対こっち見るな!目をあわすな!"と思っていた。その瞬間,案の定俺の方に向いてきた。その男は車の中で山済みになっ たギターを見て,「お前もミュージシャンか~?」と話し掛けてきたので。かかわりたくなかったので"さあね"と言ったジェスチャーで返事をすると,指で銃 の形をして自分の方に打つしぐさをし,前に向き直し,赤信号を無視してさらに歩きつづけ高速ビル街へと消えていった。
会場のビルの横には20台くらい停められる有料駐車場があり,その裏が機材運びのできるエレベーターへの通路となっていた。その通路に面した路地 に「ホッ,ホッ,ホ~~~ッ!(×∞)」と大声を張り上げラジオ体操らしいことをやっているホームレスがいる。まさに"Life Stinks"の一場面を観ているかのようであった。
会場に入るとL字型に部屋が二つある。一つは絵画展用,そしてもう一つがライブ会場兼給水(ビール,タダ酒)所となっている。またステージがな い。嫌な予感。荷物を運び終え,今日のパーティーのスポンサーであるDos Equisビールを頂く。しばらくすると腹が減ってきた。今回のスポンサーに食事を出してくれるところがない事に気付いた。慌ててメンバーに何かを食べに 行こうと聞き始める。オフィス街の土曜とあって何所も空いていないらしい。仕方なくピザを頼む事に。
ピザを頼んだ後,確認のため向こうから電話を直ぐにかけてくると言うので待っていた。15分経ってもかかって来ない。メンバー達は「悪戯だと思っ て無視したのだろう」と言うのでもう一度電話をする事に。違うオペレーターが出たので最初の注文を取り消しにしてもらおうと尋ねたら「まだ注文を受けてい ない」と言われた。同じ物を頼むと30分かかると言われた。一回目の注文よりスムーズでプロフェッショナルに聞こえた。再注文をして10分くらいすると1つ目の注文の時の女性が1つ目の注文を確認したいと言って来た。再注文をしたからキャンセルして欲しいと頼むと「ちょっと待って」と。しばらくすると 「OK,んじゃ45分くらいで付きます」と言われた。2度目の注文が30分で来ると言われ,はじめに頼んだ方は45分かかると言う。納得の行かないまま, もの凄い空腹で待っていると20分くらいしたら携帯に電話が。ピザがついたようだ。慌てて階段を駆け下りピザを掴み楽屋(the Futureのオフィス)に戻り凄い勢いでピザに喰らい付く。食べ終えライブの準備をしていると,また携帯に電話が入った。「ピザ届に来ました!」やは り...あの受け付けの馬鹿はキャンセルしていなかった。「もう届いて食い終わった」とあしらい,バンドの準備に入る。
本来10時に始まるはずのものが,1つ目のバンドの開始が遅れたこと,2つ目のバンドが予定以上の時間を費やした事で,始まるのが1時間遅れてし まった。それに加えDos Equisビールがそこをついてしまった。ちなみに当初来る予定であったDos Equisガールズの姿は何所にもなかった。どんどん帰り始める客を尻目に着々準備を始める。ステージがないため,自分の演奏する周りの床はビールだら け。自分でモップもかけ何とか準備は整い,演奏は始まった。自分自身の演奏はお粗末なものであった。1曲はエフェクトペダルの線は抜けて,他の一曲は チューニングが違ったまま弾いていたし。なんとも間抜けなショーになったのだが,残っていた客は皆乗ってくれ楽しいひと時を送れた。
演奏後残っていた知人と客の多くが「良かったぞ!」と声をかけてくれた。演奏には満足は行かなかったがいろいろな人と出会えたので,そう言った面 では満足がいった。片付けを終えその荷物をリハーサルスタジオに置きに向かう。解散後Danが自分の所に泊めて欲しいと言ってきたので,Danを乗せ帰路 につく。最近のライブ後の恒例となっているJack In the Boxに寄りバーガーを2つ手に入れ,それをつまみにビールを飲みなおす。
翌日,Danを空港まで送って行き暫しの別れを告げた。考えてみるとこれからDaleはMelvinsの録音で忙しくなる。Altamontのショーはしばらく休むことになりそうだ。録音...考えてみれば人事ではない。それに向けスタジオモードに切り替えなければ...