Monday, January 30, 2006

Glendale - お客あってのロッケンロール ツアー日記(vs. the Sermon)

1月21日 8時に現地集合と言う事で各自が運転して会場に向かう。自分の家からGlendaleは30分弱と考えていたが土曜の夕方と言う事で車も少なく15分あま りで早く着いてしまう。車を止め会場のバーを見つけるとまだ開いていない。そこからから10㍍くらいの歩道に,なぜかベンチがあったのでそこに腰掛け ボーッとする。これまでの3公演のことを思い出し暗くなっていく。"今日も大して客こないだろうと"とどうでも良くなってきていた。DaleとDanが着 き荷物を降ろす。ちょうどバーの人間も来て中に入るとステージの小ささにまたやる気が薄れていく。とりあえずドリンクのただ券をもらい言葉少なめにビール を飲む。

ビールを飲み始めて直ぐにDaleとDanの知り合いらしき人が来る。とりあえず紹介される。取材の連中だった。Danの知り合 いがインタビューに来ると言う事を聞かされていたがすっかり忘れていた。MTV系列の番組,”Jackass"と言う番組がある。そのインタビューアーの Daveは,以前"Big Brother"と言うスケートボード雑誌の編集をしていて,そこで取材の為に変なビデオを取っていて,それが面白くなったからMTVに持っていった。そ こから Jackassがスタートしたらしい。Dave本人も映画版で少し出ているらしい。そのDaveが今度もMTV系列の,"In the Future"と言う雑誌を創刊するにあったて,その記事の一つとしてAltamontのインタビューを載せると言う話が持ち上がった。そこで今晩のイン タビューが実現したのである。なかなか面白いインタビューになり気分もかなりほぐれて来た。

インタビューをしている時,the Sermonの連中ともう一つのバンド,がやってくる。Year Long Disasterのボーカル兼ギターはDaniel Davesと言って,そのオヤジはthe KinksのDave Daves。どうせお坊ちゃまでツンケンしていると思い話す事など期待していなかった。すると向こうから話し掛けてきた。どうやらMelvinsが好きら しく,自分が録音したCDのドラムの音をかなり気に入ってくれて「スタジオに来て何かアドバイスもらえないか?」とまで言われた。家も直ぐ近くらしく「今 度一緒に曲でも作ろう」とまで言われた。話は少しそれるが大御所の息子と言う事で,以前Geroge Harrisonの息子に会った(?)事がある。その時はあまりにもオヤジに似ていて,彼の(若造が)発するオーラに緊張してまい,目の前にいたのにもか かわらず無視してしまった覚えがある。そのことも頭によぎりDanielには"メチャクチャいい奴じゃないか"と思うと同時に"俺が遊びに行くのは良いけ ど,お前のオヤジとおじさん(Ray Daves,自分にとっては神的存在)を連れて来い"とも考えていた。ちなみにDanielはオヤジと叔父にそっくり。しゃくれあごも,輪郭も。それとや たらと背がでかい。190㌢㍍はあった。

Year Long Disasterの演奏が始まりかなり客も入ってきた。来るといっていた自分の知人達の1/4くらいが来ていた。間違えなくブッキングは4公演中最高。全 く問題がない。Year Long Disasterもなかなかゴリゴリのロックをぶちかましてくれてよかったが,調子にのって20分オーバーしやがった。その後,the Sermonのセッティングの時にギターアンプが壊れると言うハプニング。彼等とは機材を貸し借りしていてそのアンプは自分が借りているものでもあった。 でも自分はギターに一台,キーボードとウクレレに1台と計2台のアンプを使っていたため,1台のアンプで全てをこなせば良いことに気付いた。Daleのア ンプを貸しthe Sermonの演奏は無事終了する。

YLDの20分オーバーとギターアンプの故障で時間てきに押されてしまった。客も 遅くなってしまたので若干減っている。それでも良い具合は入っているのでとにかく暴れた。多くの人がクビを振ったり体で乗っている。まさにバンドと客との 相互作用。かなり乗ってきた。心配していた自分にとっての新曲"Saint of All Killers"も乗ってきて,その曲の後半に6秒のオルガンソロがある。それを終えた瞬間客からの大きな(大袈裟)歓声が聴こえた。鳥肌が立った。完全 に乗ってきた。またお決まりのサーキットベンディングを使ったノイズジャム。今回はベースキャビネットから頭を離し寝転びジャムは5分くらい続いた。雑誌 のカメラマンがステージ横から自分とベントキーボードの写真を何枚も取っている。それに気付いた自分はドラムにビートの合わせて"取ったら載せろよ!取っ たら載せろよ!"と頭の中で歌っていた。

事終了して片付けをしていると何人かの客が成功をたたえてくれた。中にはMyspaceを観て着 てくれた人もいた。数日後にAltamontのMyspaceにコメントが残されていて,「Altamontほど楽しんで演奏してお客を楽しめバンドは久 々に観た」とまで書いてくれた。そのカメラマンも自分の所へ来て,「久々にライブ観て興奮した。12歳の時に戻った気がした。ありがとう」と言われた。今 までの世辞でもっともインパクトがあって説得力のある言葉で素直に嬉しくなった。

4日間のツアーを終え,明日San Franciscoに戻るthe Sermonに別れを告げる。自分の車に荷積みをして2週間離れるDanに別れを告げそれぞれが帰路に着く。荷積みをしていると時に気付いたのだが今回ブ ラを使わなかった。ジンクスは消えていた。自分は帰り道車の中でAltamontがthe Kinksのツアーのサポートを勤めると勝手に決め付け(まず無いだろうな)ニンマリしていた。

食いしん坊,万歳!Long Beach ツアー日記(vs. the Sermon)

1月20日

一人Paulのオフィスを寝床にしていた自分は尿意で目が覚める。あたりを見てPaulの家に来ていた事を確認して,その尿意を無視してまた眠りにつこうとした。とその時,誰かがドアを叩きその音で完全に目が覚める。元々スタジオとして使っていたその部屋は外からの音が遮断されていて寝るには最適。時計を見てみるともう午後の1時。ここ4年近く風邪をひいたとき意外はここまで遅く寝ていたことはなかった。幾ら静かな場所とは言え長い車での移動等がかなり疲れとなっていた事を実感する。本来Anaheimで行われているNAMMショーに行く予定だったがとても時間がありそうもなく諦めた。

朝食,昼食をSan Diegoで取るのを諦めとりあえず出発する事に。世話になったPaul達に別れを告げ,2時半頃その家を出た。40分くらい高速を走るとさすがに皆腹が減ってくる。とりあえず高速を降り店を見つけることに。降りたところはSan Clementeと言う小さなサーファインで賑わっている町。レストランが2軒見える。Tacosと書かれたところがあったが,昨晩,皆メキシコ料理だったのでそこはパスした。その先にブレックファースト・ランチと書かれた所に行く事にした,が2時半までの営業だったので諦めてそのメキシコ料理の店に入る事にした。Pedro's Tacos。ドライブスルーも有り,ファーストフードなのでとても期待は出来ず,しぶしぶタコスを注文する。フライドフィシュタコとカーネアサダタコ。これが美味いどころか今まで食べた事ないほどの衝撃が走る。いくら腹が減っていたとは言えあの美味さはLAでも食べた事は判断できた。たれが美味い。車に戻った後も手についたたれの香りを嗅ぎ余韻に浸っていた。

Anaheim付近の大渋滞の影響で結局Long Beachに着いたのは7時ちょっと前。LAからSDに行った時以上に時間がかかっている。会場を見つけ荷物を降ろし昼食から3時間しか経っていなかったが,その会場の近所に有名なレストラン・バーがあるからその場所を会場の人間に聞く事に。そこは会場から徒歩2分の所にあった。7時過ぎでレストランの中はお客で溢れている。たまたま出て行く客がいたのでそのテーブルを取る事にした。Joe Jost'sと呼ばれるその店には4つの名物があるらしい。いつも温度を測って冷やしているビール,平たいパンで挟まれたホットドッグ,ピクルスのたれで漬けたゆで卵,そしてその店のTーシャツであった。テーブルを抑えているとDaleが注文を済ませてくれて,とりあえずビールとそのホットドックが来る。確かに美味い。ビールもホットドックも味はしっかりしているがさっぱりしている。その次に来たのが例の卵であった。これはいまいちと言うか,Danにあったては「とてもじゃないけど食えない」と残したほど。酸味が強すぎるのか塩ッぱいのか,とにかくしつこい。なぜこれが流行っているのか理解できなかった。そんなもんでとてもそこのTシャツを買う気になどならなかった。

会場に戻るとすでに何人か客が来ている。その中にSan Franciscoの公演にもわざわざArizonaから来てくれたSteveの姿があった。早速彼に来てくれたお礼も兼ねて話を始めた。この4日のツアーで唯一来れるのがこの日だったらしい。$200.00かけて飛行機に乗って来てくれたのであった。これは酒をご馳走してあげなくてはと思い,店からバンドに配られる酒のただ券を使って彼に数杯飲み物を渡した。それと数人の知人も来てくれ,彼等と話を始める。

そうこうしているうちに1つ目のバンドの演奏が始まる。テロリストが使うような覆面をかぶっている。やな予感...的中。デスメタル。どう考えてもAltamont,the Sermonとのつながりがない。ステージに上がり準備が整ったそのバンドのボーカル(????)がマイクを握り挨拶(????)を始める。「このショーには21歳以上だけが来ているんだよな。なんだ...俺は13,4歳くらいの子を見つけてその子たちにいたずらを...」見た目にも品のなさが無ければ言う事はそれ以下。一気にやる気をなくしてしまった。またブッキングでメチャクチャだ。彼等のパフォーマンスを聴く気にもなれないし,それ以上に考えた事が客が逃げていくのではと言う事。案の定,駐車場に車を止めたものの中をのぞいて帰る人の姿を何度か見た。

次のバンドは1つ目のバンドとベーシストが同じらしい。この時点で自分は家に帰りたくてしょうがなかった。ボーカルが入ってくる。カーリーヘアーでDioの真似でもするのかと思ったら,皮ジャンの後ろには大きくDioのロゴが...カバーバンドか?しかもギターリストが二人,袖が肩のところで切れている半そでともタンクトップとも言えない,80年代に流行った何と呼ぶのか分からないシャツを着ている上,黒のピチピチのジーンズに真っ白のスニーカー。完全に時代をさかのぼっている。演奏の前にちょっとしたサウンドチェックをしている際,ギターの二人はハーモニックマイナースケールを練習している。しかも胸のところで弾いているし。大きな骸骨の仮面をかぶった死神のコスチュームを来た者が準備をしている。今度はIron Maidenか...そんな時,来てくれた知人達が腹が減ったとのことなので,それを理由に外へ避難する。

さすがに自分は今度は食べなかった。知人達と一緒に行ったレストランから会場に戻るとthe Sermonの演奏が始まっていた。楽屋に戻り,ギターを取りウォーミングアップを始める。The Sermonの演奏が終わりに近づいた時,Sashaが楽屋に慌てて入ってくる。目を丸くしたSashaは何かを言いたそうだったので尋ねると,「Steveが連れ出された」と言う。詳しく聞くと,Altamontの公演を待ちきれく酒の入ったSteveはイスをステージの方に投げたらしい。その後,2度注意されたのにもかかわらずその行為を続け,3つ目のイスを投げた時警備員に追い出されたらしい。あと2曲我慢すればAltamontのステージになったのだが...

肝心のパフォーマンスの方はいまいち乗る気ではなかったのだが,知人や他の客の声援で次第にやる気を取り戻し,自分自身はまあまあの出来だとは思った。でもDanとSashaはかなり納得が行っていなかった様子が伺えた。Sashaに限ってはオーストラリアからアメリカに移って5年,その中でもっとも納得の行かないパフォーマンスであったことを告白。片付ける時に気付いたのだが例のブラが掛かっていなかった。やはりジンクスなのか。

Bakersfieldの失態から学んだ自分は酒を控えていた(?)ので,帰りの運転を任される事になった。40分あまりの運転だったが後部座席に乗ったDanとSashaの言葉が少ない。前にいた自分とDaleのみが会話をしていて,相当疲れていたのか落ち込んでいたのか,他の二人は会話に参加してこない。Daleの家に着き荷物を降ろして終えた時,Danは「明日はこんなに酷くはならない,絶対に取り戻す」と言い切り,それぞれの帰路に着いた。

San Diego - Les vs. Wuss ツアー日記(vs. the Sermon)

1月19日

1時にSashaを拾ってDaleの家に一旦集合して,Daleの家に泊まっていたDanのメンバー全員でそこからDaleの車に荷物を積め出発。途中で2日連続でInn-'n-Outバーガーで昼食(?)を済ませ,4時半ちょっとすぎに無事会場到着。中身はなかなかのもの。ステージもちゃんとある!昨晩とのギャップとかなり大きいステージで興奮を抑えきれない。荷物を降ろしサウンドチェックまで多少時間が残っていたのでとりあえず会場の近所をSashaと歩き始める。何か物静かな工業地帯で若者が集まるようなところとはとても思えなかった。そんな不安を残し会場に戻りサウンドチェックを始める。

今晩のバンドは自分等を含め4バンド。多すぎで不満には思っていたもののMyspaceでの反応や会場の広さを考え大丈夫であろうと高をくくっていた。サウンドチェックはショーでの順番とその逆で始まり,つまりはヘッドライナーのAltamontが最初に行う。昨晩の失敗の中の一つにエレクトリックウクレレを置く場所に困った事があり,それを克服するために金ハンガーを曲げて作ったウクレレ掛けが大活躍する。それと忘れてはいけなかったのが前回のJello Biafra with the Melvinsとのツアーの始めの方で投げられた縁起物のブラジャーをキーボードスタンドに掛けてサウンドチェックを行う。なかなかのモニターの良さに満足は行くものの,自分の声が聴こえすぎで,自分の歌の下手さを改めて確認させられる。なので少し自分の声をモニターから落としてもらう事にした。

The Sermonも無事に終え,その他の知らない2バンドのためにステージを開ける。後で気付いた事なのだがショーのオープニングを勤めるはずのRunHoneyと言うバンドがその次のバンドBrilの前にサウンドチェックを行っている。Brilが遅れているらしい。女性だけのバンドRunHoneyはドラマーがモヒカン頭で,残りの二人が普通の格好をして,見た目がアンバランスのバンドであった。しかもステージ横から見ているとモヒカンネ―ちゃんの半ケツが見えている。「まぁいいか」とか思っていると,Brilが到着してRunHoneyのチェックを中断させてまで準備を始める。しかもBrilの専任の坊主頭のサウンドマン(ウンコ生意気な野郎)が来てドラムステージを使わせろと言ってくる。本来前座はドラムステージを使うはずではないのだが,The Sermonのドラマーがあまり気にしていなかったため,よしと言う事になった。でもこのBril何かが違う。若いし,格好もお洒落だし。なんと言っても機材が半端じゃない。「こいつ等~!お坊ちゃまバンドだな~」どう見ても20歳そこそこ。ギターペダルの数と質が半端じゃなかった。その一つ一つのペダルの値段が自分の全てのペダルの値段と一致していると言っても過言ではなかった。しかもCold PlayやPhantom Planetのウスロック(Wuss Rock,the Simpsonsからの引用)を腐らせたようなバンドだし。バラードまで弾き始めやがった。しかも座ってキーボード弾いていやがるし。どう言うブッキングの仕方だか...しかもどのペダルを踏んでも"ポアンポアン"といったトレモロの音だし。"トレモロ一個持ってりゃ良いじゃね~か~"と嫉妬している自分がいた。

寝不足と疲れの所為か食事を終えたら眠気がさしてきて,楽屋で転寝をしてしまう。そうしている間に開場され,お客が入ってくる。RunHoneyの演奏が始まる。客の声援も聞こえてきて,興味本位でステージを除いてみるとかなり客が入っている。RunHoneyの演奏もまたAltamont,the Sermonとはかけ離れており,何かが違う気がした。エレクトリックアコースティックギターを使いバラードが演奏される。クビをかしげながらとりあえず飲み物をもらいにアリーナを横切ってみる。すると以外にも女性の姿が客の中にも目立つ。心の中では「ヨシャ~ッ!」と思いジントニックをバーでもらう。かなりの女性の数40人近くはいる。でも何かがおかしい。目を細め周りを見渡し気付いた。40人全ての女性がレズビアン!RunHoneyはレズビアンによるレズビアンのためのバンドであった!またもすばらしいブッキング・テクニック(皮肉)。後でSashaに聞いた事だがRunHoneyの売店を勤めていた可愛い女性はそのモヒカンネ―ちゃんと付き合っているらしい。しかも観客の女性達にもレズビアンにしておくにはもったいないくらい可愛い子や綺麗な子ばかり。今度はむなしくその悔しさにこぶしをかんでいる自分がいた。

その一大事に気付き慌てて他の客に目を向ける。Altamont/Melvinsファンと言えば男性が9割以上。おかしい,少なすぎる。と言うか女性が多すぎる。一大事というのはRunHoneyが終わればレズビアンたちは帰ってしまう。そんな時,目に入ってきたのが数人の年配の方々。良く分からなかった。しかもその中の2人は松葉杖をついてきている。普通,足を怪我していればライブには来ないのではと疑問にも思った。どうやらお坊ちゃまバンドRunHoneyの保護者か,そうであったかは確かではないが,彼等を観に来ていた事は後で明らかになった。

案の定,RunHoneyの演奏が終わるとレズビアンたちは次々に帰って行ってしまう。Brilが演奏をし始めると開場の客は半分以上帰っていた。「ざま~ね~な~,お坊ちゃま方!」と一瞬喜んだが,自分たちはこの2つ後であると我にかえり焦り始める。そんな事お構いなしにBrilのギターは相変わらず"ポアンポアン"言っている。Brilがバラードを弾き始めた瞬間,自分の中で何かがはじけた。どうでもよくなってきた。思いっきり楽しみたくなってきた。楽屋に戻りギターを掴みウォーミングアップを始める。

The Sermonの演奏が終わり準備に取り掛かると,お客が少し増えている事に気付いた。でもその時の自分にお客の数は関係なかった。昨晩の失敗の原因の一つにモチベーションの低さがあったが,今晩は高かった。ステージも高いし,もしかするとステージの高さとモチベーションの高さは比例するのでは...昨晩Danと話していてブラが自分の使う機材に引っかかっているとDanと自分は調子がよくなると言う事にも気付いた。BakersfieildではDaleのマイクスタンドに掛かっていた。それもジンクスなのであろうか?そのブラが掛かっている事も確認して演奏を始める。かなりステージから離れていた客達も次第に近づいてくる。数人の客たちはセットが進むごとに頭の振りが大きくなって乗ってきているようだ。自分も最後のノイズジャムへの流れも昨晩とは大違いでスムーズに行く。あまりに興奮していたのかベースキャビネットの目の前に横たわって演奏してしまう。演奏が終わった時,あまりのベースの音の大きさで自分の耳が変になっている事に気付いた。調子に乗ってしまった。でも少ないながらも来てくれたお客は喜んでくれたようだし,自分の演奏にも納得が行ったし,大満足でステージを降りることが出来た。

その後,片付けを終えバンに荷物を積んだ後,Daleの友人で会場から5分くらい車で行ったところに住むPaulの家に一晩厄介になる事になる。その後4時ごろまで飲みながら話し込む。一番盛り上がった話がPaulの彼女MelodyがRedwood(http://toshimanaki.blogspot.com/2006/01/blog-post_113668545470213011.html)の近くの出身と言う事もあり,Paul Bunyanの雄牛Babeの青ダマの話であった。

Bakersfield... ツアー日記(vs. the Sermon)

1月18日

2時にリハーサルスタジオにてDale,Sashaと自分の3人が集結。今回はヘッドライナーと言う事でステージの時間もあるため1曲増やしその1曲,"Sain of All Killers"を練習する。実際に自分がバンドに入ってから,5回も弾いた事のない曲だったので少々の不安があり数回ながした。その後,Sashaが先に去り,Daleと2人で荷積みをはじめる。そこへBuzzがちょっとしたギターを試しに来た。自分の買ったOvation Breadwinnerを見せるとしつこく「ぼられたな」と言い,「どうでも良いけどお前のGibson J-40売ってくれ」と訳のわからないことを言われつづけた。荷積みを済ませ一旦家に戻り,4時半頃Daleが自分を迎えに来る。BassのDanはSan Franciscoから今回のツアーを一緒に行うバンド,the Sermonのバンに同乗して現地集合。

途中で食事を済ませ2時間半くらいの運転が続く。牧場の臭いが車の中に充満する。"Bakersfieldが近づいてきた!"そう思わせる瞬間だった。高速を降りると4台のパトカーが自分等の先を行く。非常に嫌な予感。7時半に会場に無事到着。町並みはそれほど酷くは見えないが数人のホームレスの姿や,店じまいをして次のテナントを探している建物も目に付く。自分が荷物番をしてDaleとSashaが偵察に行く。しばらくすると二人が苦笑しつつ戻ってくる。「どうした?」と聞くと,二人は声を揃え「行けばわかる」と言い返してきた。その言葉に疑問を抱きつつ荷卸をはじめる。するといかにもパンク風の青年とその彼女らしき人物がバンの上に乗っている自分に話し掛けてくる。青年は「カバーしなくちゃ駄目だよ」と,雨もやみしかも荷物を下ろしている自分に言ってくる。重い荷物を下ろしている自分を見てかその彼女が自分の所に来て「ソーダを飲みなよ」と彼女が飲んでいたソーダを自分に差し出す。最初は断ったものの「駄目駄目飲まなきゃ」としつこく言われしぶしぶ手にする。勿論飲んではいない。荷卸が終わると一人のホームレスが小銭をせびりに来る。

恐る恐る会場に入るとなんとなく彼等の言っていた事が分かった。まずはじめに気付いたのは地元の酔っ払いが屯している。その中にはやたらガ体のいい小人さんもいた。その小人さんはテレビに向かって大声で文句を言っている。そして次に気付いた事はステージがないこと。一気にやる気をなくしてしまった。これじゃ人も集まらないであろうし,来てもステージがないためメチャクチャになる事が予想できた。

しばらくするとSan Francisco組が到着する。彼等の荷卸を手伝う。Danはベースアンプ,キャビネットをAltamont以外の2バンドのべーシストに貸して上げる約束をしていたらしい。一番最初のバンドとは面識はなかったもののEメールでやり取りをしていて貸すことにしたらしい。するとそのバンドの女性べーシストは「DanにはBl◎w J◎bをしてあげるかりが出来てしまったわね」と返事をしてきたらしい。勿論冗談とは分かっていたもののDanはじめほとんどの男性人が彼女に会う事を楽しみにしていた。そしてそのバンドが到着するとべーシストの姿が見つからない。送れてくるのかと思い残りのメンバーに聞くと,出発する直前にクビにしたらしい。Danはとても悔しがっていた。

人は意外なほどに集まったものの,やはり久々のライブで興奮して来ていたため,かなりの落ち込みが皆から伺えた。思わず酒が進んでしまう。一つ目のバンドがべーシスト無しで演奏をはじめる。ベース無しでもなかなかいい演奏をしている。自分は楽屋,といってもビールの倉庫,でギターを握りDaleとともに軽く練習をする。しばらくするとMelvinsのTシャツを来た背のデカイやせ男が勝手に楽屋に入ってきて,「Altamontttttttttttttttttttttttttttttttttttttttttt!」と大声で叫び出て行った。ますますやる気がなくなっている自分がいた。酔っ払いや訳のわからないMelvinsファン何かやな予感がしてきた。2バンド目のthe Sermonが演奏をはじめる。4時間あまりの運転の疲れかは分からないが彼等の演奏もいつもより冴えがない。彼等の演奏が終わって一瞬静まり返った時一人の男が大声で「You suck(お前等へタッピだ)!」と罵声を発する。自分のやる気は底辺に...

何とかやる気を取り戻そうと準備にかかるが何せステージがない。何処にキーボードを置くか迷ってしまう。案の定自分が配線を終わらせキーボードの音のプログラムを確認していると反対側からキーボードを弾く真似をしてくるガキがいた。自分のやる気は底なし沼状態。客ももう何でもありと思っていたのか,例のやさ男はDaleとDanが演奏しているその間に入ってピースサインをして写真をとっている。不機嫌かつやる気なさそうに弾いている自分の周りには誰もいなかった。悪いことは重なると言うが自分の落ち度でもあった。まず自分はただでさえタイトなミュージシャンではない上に酒を飲みすぎ演奏もだらだら。間違えも過去最高。狭さゆえちょっと後ろに下がった時DanのBossのチューナーを踏んでしまい演奏中Bassの音を閉ざしまった。セットも後半に近づくと観客の一人が電源スイッチを踏んでしまいDanのベースアンプと自分のキーボードの電源が落ちてしまった。もう笑うしかなかった。最後にサーキット・ベント・キーボードを使うときもペダルエフェクトの電源が一度切れたため,インプットジャックがオフになっていたのに気付かず,その原因を見つけるのに時間がかかり,いざ音が戻った瞬間にはDaleは「サンキュー・グッドナイト」と客別れを告げていた。

セットが終わって楽屋に戻りクビを傾げSashaに「過去最低の演奏だった。高校生の時の方がまだまともに弾いていた」と告げると,「ウォーミングアップ,ウォーミングアップ」と慰められる。「あったまるどころか冷めてしまうよ」と言い返し「演奏している時バンドを辞めようかと思ったくらい,今日は下手だった」とも告げた。同じ事をLAに帰っている車の中で話したら皆大笑いして,結果的には決して良いライブではなかったが面白い経験になったと皆気を取り直していた。明け方4時頃家に戻り明日のSan Diegoに控え,自分にとって過去最悪のショーを忘れながら床に着く。

Saturday, January 07, 2006

ツアー日記! Altamont vs. the Sermon


11月18日

金曜の夜にBassのDanのサンフランシスコの家に夜10時に着く。 Danの飼っている犬、アルバートは自分になついてくれず、ほえてばかりいた。 犬に嫌われたのは人生初めてのことかもしれない。 11月19日,ライブ当日の午前中に家を出て,おしゃれ商店街Haight Streetに4人で出かけ昼飯とショッピングをする。 昼飯で食べたメキシコ料理やのブリ―トーが後で腹痛を起こす事とは知らず、その大きさ(茶筒くらいある)に構わずたいらげてしまった。

一旦、Danの家に戻り休養を取り、7時に荷積み、そして7時半に現地入り。Bender's Bar & Grillと言われるそのバーは思った以上に狭くJello/Melvinsとのツアーの最後のLAの会場とのギャップを思い知らせる。ステージも床から20㌢㍍あまりで,観客の目線とあまり変わらない。Bender'sの音響担当のSteveが挨拶に来る。奴は「今晩,俺もう一軒と掛け持ちでやらなきゃいけないんだ,悪いけど途中からいなくなるかも」と...皆「OK!」と何気なく答える。しばらくすると今回このギグを用意したもう一つのバンドでJelloのレーベル,Alternative Tentacles所属のthe Sermonの面々が到着する。そのメンバー達と自己紹介を済ませステージのセッティングに入る。

セッティングをし始めると直ぐに開場され(と言っても警備員が一人と窓口のネエちゃんが一人)お客がぽつぽつ入ってくる。LA公演を見てAltamontを気に入って,わざわざPhoenix,AZから来てくれた人もいた。Sacramentoの公演を見てSFまで来てくれた人もいたらしい。その時はまだthe SermonかAltamontのどっちが先に始めるか決まっていなかったので皆で決める事にし,the Sermonが先発する事となる。その晩はSFで他の場所で行われていて,客足もまばらであったことはあらかじめ予想していた。Mad Honeyが同じブロックの違う場所でライブをしていたり,一緒にツアーをしてthe SermonのボスでもあるJelloでさえ,電話をすると「今晩はJames Brownチケットを抑えたからそっちに行く」との事...それでもDanの地元でもあり,Daleが長い間すんでいた町SFと言う事もあって結構集まってはきた。

The Sermonのステージの直前,音響のSteveがバーに姿が見当たらく,the SermonのメンバーのGregとMikeが自分の所に頼みをしに来る。「Toshiはエンジニアをやっているって聞いたのだけど,PAの方頼んでもいいかな」と2人は言う。勿論,"俺がやらなきゃ,誰がやる"とまで大げさではないが"しゃぁ~ね~な~"くらいに思いその頼みを承諾する。The Sermonの演奏が始まる。ステージの目の前にあるソファに4人くらいが座ったまま。ステージ横のPAシステムをいじりながらそれを見ていた自分は"またSFも大都市だから,ただ立って聴いているだけなのか?"と言う疑問を抱き始める。The Sermonの演奏が残り2曲と差し掛かったとき極度の腹痛が自分に襲い掛かる。彼等の演奏が終わると同時にトイレに駆け込む。昼間のブリトーが消化不良をおこした。

トイレから出てくると残りのAltamontの連中はすでに準備が出来ていた。キーボード,ギターそしてウクレレを準備しなければいけない自分が一番最後に準備に取り掛かる。"急がなければ"と焦る自分に気付く。慌てて行う作業は反って時間がかかってします。キーボード,ウクレレの準備は出来たもののギターから音が出ない。Daleが心配して駆け寄る。問題はエフェクターのアダプターが入っていなかっただけ。"ブリトーめ~"と八つ当たりを頭の中でしている自分に気付く。

Altamontの演奏が始まるとさっきまで座っていたお客も総立ちでステージ近くまで寄ってくる。ステージが狭いためあまり大きな動きが出来ないが観客の乗りはきわめて良好。Phoenixからわざわざ来たその日が誕生日の男,(そいつも)SteveがLA公演でステージ最前列に来て,腕を組んでうなずきながら聴いていたのをステージ上から観て覚えていた。その日は曲を覚えたのか,腕をぶんぶん振っておおはしゃぎで自分達の演奏を楽しんでいるのが伺える。Danが読んできた友人達か,女性の声援も聴こえる。演奏も乗って来る。

Haight Streetを歩いていた時の事だが,Daleが「Toshiは今日はステージで何を言うんだ」と聞くので,自分は「そうだな~,サンフランシスコ...(わざと日本人のアクセントを強調して)We built the city, We built the city Rock and Roll(Jefferson Starship)かな」(またも80年代ネタ)と言うと,Daleが大笑いしながら「それやれ,それやれ!」と大絶賛する。でも自分が実際に行った行動とは,まずDaleがあのVaporsの曲とともに自分を紹介する。そしてお客が自分を注目した時,難しい顔をしてポッケトから1枚の白い紙を取り出し,それを読みづらそうに見つめる。人差し指を立てお客に"ちょっと待ってくれ!"の合図を出しながら,しばらく読んで,小声で発音を繰り返すフリをする。そして言った言葉が「どうもありがとう!(日本語)」それだけ。間が良かった。観客にも通じて笑い声も聞こえる。LAまでの帰りの車の中でDaleが「あれは良いギャグだった」と誉めてくれた。その時初めてAltamontに入って「良かった!」と思った。

残り2曲となると自分はギターからキーボードの演奏となる。そして最後から2曲目が始まった直後自分の"社会の窓"が全開であることに気付く。ステージ直前の下痢を処理した後閉めるのを忘れていた。閉める事はできるのだが,あまりにもお客と近いため股間に手を当てることが出来ない。いつもならちょっとしたリフをキーボードで奏でるのだがその時はチャックのことで頭がいっぱいで簡単なコード進行に沿った演奏しか出来ない。姿勢もキーボードで何とか股間がお客から見えなくなるように配慮しその2曲は何とか終えた。最後の曲が終わるといままでのツアーでやってきたMelvinsへの"つなぎ"のノイズ演奏が行われる。その時は縦横20x30㌢㍍の小さいサーキットベントキーボードを使って行うため股間を隠すのが困難となる。いつもはステージにひざまずきキーボードを操るのだが,そうすれば"チャック全開"を皆に後悔するようなもの。その時,ひらめきが...ステージに横たわりキーボードをチャックの上にかぶせそれを寝転びながら演奏した。危機からの脱出とともに新しい"動き"が生まれたことに納得してステージを降りる。

バーに残りビールを飲みながらライブでの成功(?)を皆で祝う。The Sermonの面々がこのラインアップでまたやりたいと言って来る(来年1月のライブの日取りがその2日後に決定する)。それと同時に音楽用/友人集めブログサイトMyspaceを彼等に進められる。その晩はDanの家に泊まり,次の日の朝,興奮冷め止まぬ一行は早速MyspaceでAltamontのサイトを作る。その時Altamontと言う名前のバンドはMyspace内に他に3つあることにも気付いた。ちなみにww.myspace.com/altamontbandが自分達のアドレス。ライブでの手ごたえを少し得てLAに戻る。その車の中でも将来のライブについて語り合っていた。ライブジャンキーになりつつあるAltamontに気付いた。

ツアー日記! ツアー最終日!


11/16 Los Angeles。 Jello Biafra with the Melvins

ツアー最終日。11月11日に日本から小学校の時の幼なじみの隆文がわざわざこの日のために来ていた。奴と二人でアパートにて昼食を済ませ機材を取りにリハーサルスタジオに向かう。スタジオに着いた時,すでに半分以上の荷物が積まれていた。全てをバンに積めそこから約15分で会場のHenry Fonda Theaterに向かう。会場に着き荷を下ろし数十分後にサウンドチェックを行う。機材を積んでもステージには余裕がある。でかい!会場も1200人収容できる今回のツアーで間違えなく一番でかい。気が付くと外はあっという間に日が暮れていた。

この日の売店にはLAに住む自分らの友人Joeが任されることになっていた。その売店の準備だけは済ませ早い夕食へ出かける。自分と隆文はそこから東に2ブロック行ったところにあるタイ・レストランに向かう。そこは以前,オープンしたての頃,Daleとその妻そしてDaveとの4人できたことがあった場所で,Elvisのマネをするタイ人がいる事で有名になりつつある場所である。Elvisのマネもなかなかではあるが,自分にはその人がJames Brownに見えて仕方がなかった。そこでタイ料理をたらふくたいらげ会場に戻る。会場に戻りドアをくぐろうとした時自分の名前を呼ぶ声が聞こえた気がした。あたりを見回すと見知らぬ日本人が。mixiで連絡を取り合っていたKT氏であった。KT氏はBuzzやMikePattonと自分との共通の知り合いを持っていたため直ぐに話が合い,今回写真家として来ていただいた。この後,とても自分とは信じがたいカッコいい写真を撮っていただく事となる。http://www.kaztsurudome.com彼との挨拶を済ませ開場への準備を始める。

開場されJoeが到着するが商品の説明等をしなければならないので,結局始めのうちはAltamontが売店を任される。次々に来るお客の数は今までの中では一番。知り合いの数も多い。あまりの忙しさに来てくれた友人達にもろくに挨拶が出来ない。売店にこの忙しさの中話し掛ける人間がいた。勿論,Eugeneの女性の様に突然パンツを脱ぎだしたわけではないが...彼はこの忙しさの中,自分にアルバムについての説明を求めてくる。「どこのスタジオでミックスしたのか?」等であった。なにやら自分のやっているブログを見ていたらしく(http://toshimanaki.blogspot.com自分の顔も知っていて,自分にエンジニアとしてのスタジオでの話等を聞きたかったらしい。ブログを読んでくれるのは嬉しいのだが,何もこんなに忙しい時に質問しなくても...Altamontの演奏の時間が近づいてきたため,売店をJoeに任せる。楽屋に戻る前に来てくれた友人達に挨拶をする。

ついにこの時が来た。初めてのライブ以上に緊張が高まる。と,言ってもステージに上がるときのみ。 曲が始まるといつもの自分に戻っていた。緊張した理由は勿論、LAであること。多くの知り合いが来る事に対してはさほどの意識はなかった。が、LAと言う大都市は常に音楽とそれ以外のエンターテイメントで溢れている所。観客は耳が肥えているのか冷めているのか...一筋縄ではいかない事は分かっていた。観客誰もが評論家のような眼差しでAltamontを体感している。曲を知らないためかそれとも演奏力の欠乏なのかはステージの上からは分からないがお客は冷めているように思えた。知名度の低さをまじまじと実感させられる。それでも何人かの集まってくれた友人たちの声援は自分の耳にしっかりとどき、動機は次第に高まっていった。お客の乗りはいまいちとは言え、開場は人で膨れ上がっている。多くの人にAltamontの存在を知らしめた事には間違えはない。来てくれた友人達からの情報によると、自分の行ったAltamontとMelvinsとのつなぎのサーキット・ベンディング・キーボードによるノイズ演奏では、多くの人が身を乗り出して、「何をしているのだろう?」と言ったような興味を示していた事を確認。コンサート終了後も何人かのアメリカ人が自分のキーボードについての質問をしてきた。 

楽屋に戻りビールを握り締めまたステージ横に着く。Melvinsの演奏になるとお客は次第に動きを見せるようになっていた。それでも他の州の会場に比べるとまだまだのように思えた。Melvinsが数曲を終わらせるとそれにJelloが加わる。聴きなれた曲のイントロが始まる。自分の手がけたJello/Melvinsのアルバムからの曲である。観客はもう手におえない状態に。Mosh Pit,Crowd Surfingが起こっている。「Jelloめ~!」。観客の多くは彼を見に来ている事をまじまじと見せ付けられた。それでも観客が自分の手がけたアルバムから曲を歌っているのをいると嬉しくなってきて,ビールの味がますます冴えわたり,量も次第に増えていく。決して自分が書いた曲ではないがそれらに携わったかと思うと,まさにエンジニア冥利に尽きるひと時であった。正直,レコードの売上うんぬんよりもずっと嬉しく思える。

公演が終わり楽屋に戻ると知人,友人達で膨れ上がっている。元the Jesus LizardのDavid YowやToolのDanny Careyの姿も見える。Daveはビールを片手に楽しそうに友達と語り合っている。と言うか,彼のみが話しまくっている。Dannyは相変わらずデカイ!この男と喋ると見上げなければいけないので首が疲れてくる。自分の誘った友人たちも楽屋に招き雑談にふける。友人に頼まれていたJello/MelvinsのCDにサインをもらいに行く。皆に冗談で「eBayでさばくからサインしてくれ!」と言うとJelloだけが「You Ass Hole!」と...

友人達がぽつぽつと家路につき会場にも清掃係の姿だけが目立つようになってきた。片づけを済ませ荷積みをして会場から出て機材を置きにスタジオに向かう。友人,隆文も荷降ろしを手伝い,皆から感謝され照れている様子が伺えた。片づけを済ませ家に着いた時には午前3時半を回っていた。次の日に極度の筋肉痛に襲われる事はこの時は知らずに,Jello/Melvinsとのツアーの成功(一応)を祝った美酒に酔いしれ床に着く。

ツアー日記! ♪ Domo-arigato-Sacramento♪


11月9日 

キャンセルに終わり後味の悪い夜を越え,自然と朝8時には目の覚める癖が着いている自分は,シャワーを浴び,一人そのホテル近くを歩く事にした。久々に戻ったカルフォルニアとは言えLAから約500kmある。都会ではない。そんな人通りもまばらな道を何気く歩く。なにかギターの臭いが!早速,楽器屋を見つける。たいした事がなかったので直ぐ出てしまうがなんとなく「他にもありそうだ」と言う気がした。予感は的中。100㍍くらいさらに歩くともう一軒発見。そこにはElectraのLPコピーが。なかなかの名器(?!)と知られるそのElectraは状態は良い物の,ちょっと値段が張っていたので諦めた。あさの散歩を終え,ホテルに帰ると一行が出る準備を済ましている。自分はあらかじめ準備をしていたのでそのままバンに乗り次のまちSacramentoを目指す。カルフォルニアの首都,Sacramentoには途中の食事,渋滞等でかなり遅れて着くことになり,その頃にはもう日も傾いていた。

時間も押していたので直接会場入りとなる。会場はBoardwalkと言う名のカントリークラブ系のバー。EugeneのWOW Hall と同じくらいの大きさで,200人くらいの小さな場所だ。中に入ると壁に20台あまりのサインの書かれたStratcasterが。バーのお酒のセレクションも良く,外の印象と比べると悪い気はしてこなくなった。入ってしばらくするとバーの面々が挨拶に来る。遅れて来た店員の一人がかばんから5,6冊のエロ本を取り出す。Timがその中の1冊を取り出し読み始め,それを自分の目の前に持ってきて「持っていくか?」と聞く。その本は"+50"...そう50歳以上の女性が脱いでいる本であった。それを即効で断り他のものに目を向けると,縛り者,ボンテージ,どれを見ても普通の物ではなかった。

そんな事をしているうちに刻一刻と開場時間は迫ってくる。サウンドチェックを行っている時,Daleがなにやら必死にギターでフレーズを作り出そうとして,またそれを練習している。なにか考えている。そのサウンドチェックの後,会場に電話がありAltamontの前にやるはずのバンドが遅れているとの連絡が入った。Timは「会場までに入らなければそのバンドの演奏はなし」。バンド自体は来たのだがギタープレーヤーが送れているとの事で,なにやら教会で演奏してから来るらしい。こんな大事な日にダブルブッキングとは...そのギタープレーヤーの所為で20分近く遅れてのスタートとなる。Altamontはまた売店を任される事となる。客層はEugeneのWOW Hall に比べるとかなりまともであった。と言うかあそこが異常であった。

Altamontのステージになる。1曲目を終えた時点での観客の反応はいまいち。2曲目が始まった瞬間観客の態度が一変する。4公演続いてのMosh Pit。乗ってきた。Daleの話術も冴え渡る。バンドメンバーの紹介をする。Dan,Sashaと来て自分のところで間を取る。「Altamontに新しいメンバーがいる。そいつはギター,キーボード,ウクレレを弾いている奴さ。そいつが何(人)だか分かるかい?ヒントをあげよう」と言い,その練習していたギターのフレーズが...1980年に流行ったthe Vaporの"Tuning Japanese"のイントロであった。そしてDaleが"お前の喋る番だ!"と言わんばかりに自分の方を見る。それに対抗したわけではないが自分の口から出てきたフレーズは「ドモ・アリガト・サクラメント!」。これも1983年に流行ったStyxの"Mr. Robot”からのフレーズに韻を踏んだもの。以外に受けた。 ちょっとした受けも良く,肝心の演奏も上手く行き,かなりの手ごたえを得てステージを降りることになる。

ステージを降りるとJelloがステージ脇で,「Mosh Pitが初めて起きているじゃないか」と...今まで何を見ていたのか?!?! 決して,今回が初めてではなかった。楽屋に戻ると演奏を直前に控えたBuzzがなにかを人のかばんに物詰めている。例のエロ本だ!ツアーの地元LAを除いた最後の公演と言う事もあって,皆が家に着いた時カバンを開けて"ビックリ",と言ういたずらを考えての事。自分はそれを見て大笑いしていた。アパートに戻った時気付いた事だが,カバンを開けると他のエロ本が...奴は自分のカバンにも入れていた。それを知らずに笑っていたかと思うとちょっと悔しく思えた。

公演を終え,片付けが終わるとバーテンダーが皆に飲み物をサービス。BuzzとJeffは機材の積んだトラックをなるたけLA近くまで持っていくため早めに会場をでる。残りはビールと各自の好きな酒のショット(自分はスコッチウィスキー)を軽く頂く。ちょっとした雑談をした後,一行はバンに乗る。Dan,KurtそしてTimがSan Franciscoに戻るため,残りもLAに近くなると言う事でSFに宿をとることにする。運転はKurt。SFまで約1時間半の運転。ホテルに着いたのは4時近くになっていた。相部屋はDave。

11月10日

朝10時頃目が覚め,11時半にSFを発つ。SF組みは9日の晩(というか10日の早朝)に各自の家に着き,LA組みはDale, Dave, Sashaそして自分の4人。LAまでの走行時間約6時間。疲れきった面々はさすがに言葉も少なめ。保険の関係上,そのバンを運転できるのはDaleと自分の2人。残り1時間半くらいのところでDaleが運転をギブアップ。ついにこのツアー初めてバンの運転を任される。LAも近づいてきたため見慣れた景色が広がる。心に油断が...そんな時,頭をよぎったのが小中と学校の先生がしつこいくらいに言っていた言葉,"家に着くまでが遠足だ!"。LAに着てまでその言葉が頭にこびりついていたとは。その言葉の効果覿面,無事に8時ちょっと前に家に着く。Jello/MelvinsとのツアーはLAを残すのみとなった。

*写真はSacramentoのものがないので,SFのツインピークス。画質もいまいち。

ツアー日記! 青玉


11/08

10時,シャワーを終え, Sashaとともにホテルを出てDutch Bros.のココアを買いに出る。10時半に集合がかかり飛行機移動のJelloを残し,肛門に明け暮れたEugeneを後にする。 次の目的地はArcata, CA。このツアー,Altamontはカルフォルニアで初めての公演となる。その間,6時間あまりのドライブを味あわなければならい。約2時間半くらいドライブをした頃だろうか,Timの携帯に着信の音楽が。電話の先にはJelloが...Jelloの抑えた飛行機のキャンセルを知らせる電話であった。

JelloとTimの電話がその後20分くらいの間,4,5回続いた。何とか会場に間に合うよう手配を進めるTim。良い返事が返っている気配が感じられない。嫌な予感。1時間あまりしてJelloの電話を機にJello無しの公演を予測し,プロモーターとTimが電話で交渉する。あまり良い内容には聴こえない。Timによるとプロモーターの言い分が「Jelloが客を集めている,Jello無しでの公演は考えられない」との事。車内に重い空気が漂う。起伏の激しい山道を越えた瞬間,広大な景色の太平洋が見えてきた。これを見て車内の重い空気は薄れていった。 

20分あまり海沿いを走ると"Trees of Mystery"書かれた看板が。Buzzは「もう考えても仕方が無い。ここへ寄ってゆっくりして行こう」と開き直っている。さすがはツアーを重ねて20年,Buzz,Daleともに落ち着き払っている。そこの駐車場に入ると大きな斧担いだ男と青い雄牛の像が。その像はアメリカの昔話として語り継がれている主人公のPaul Bunyanと彼の雄牛Babe。その話の内容は...書くの面倒くさいのでhttp://www.newnorth.net/~bmorren/bunyan.htmlでも行って勝手に読んでもらいたい。日本語は"ポール・バニヤン"で検索して探して欲しい。その像の向こうの建物の中にお土産やと展示物が並べられている。展示品の中には熊や鹿の剥製,インディアンのものやら色々並んでいる。後で調べたらそのほかにも色々あるしいhttp://www.treesofmystery.net/。ちなみに見難いかもしれないが,写真の中の牛のアソコ(最近こんなのばっか,本物の自分は気品溢れる紳士)によっかかっているのが自分である。www.myspace.com/deafnephewsで動画公開中。

4時前後にとりあえず会場入りする。Timとプロモーターの電話でのやり取りはまだ続いている。JeffとKurtが先に会場入りしていたため機材はすでにステージに置かれていた。 楽屋でとりあえず遅い昼食を取りリラックスする。そんなひと時もつかの間,Timが楽屋に入ってきて公演のキャンセルを皆に継げる。下ろして間もない機材を今度は積み戻す。会場の手伝いをしていた人々は「この町は小さいからあまりこういったバンドが来る事はないから楽しみにしていたのに...残念だ」とかなり落ち込んだ様子が伺えた。そして会場を後にする間際に出合った,Altamontの前にやるはずのもう一つのバンドのメンバーもかなり落ち込んでいた様子。あまりにも短い時間話しただけであったので,そのバンドの名前すら覚えていない。勿論,自分達も落ち込んでいなかったわけではない。特にAltamontは公演を重ねるごとに演奏にまとまりが出てきていて,3公演続けてのMosh Pitと,観客もつかんで来ていたためにとても歯がゆい結果となったと感じていたのは自分だけではなかった。 

そのままバンに戻り,なるたけ次の公演の町,Sacramentに近づくため,更なるドライブに入る事となる。荷積みが終わる頃には日も傾き始めていて,高速に乗ったら直ぐに日は暮れていた。山道が続く移動を約3時間。Reddingと言う町に宿を取り,荷物を置き食事に向かう。多くがステーキを食べに行こうと言い出す。ホテルのフロントで近場のステーキや聞き出しそこへ向かう。ステーキ屋の中にはまたも幾つかの動物の剥製が...テーブルを用意してもらい8人が椅子に座ると,その時Dave(写真のPaul Bunyanの左足の所にいるの)がその日が誕生日である事告白。Timが店員にその事を言うと,4人の店員が出てきてちょっと変わったバースデーソングをDaveに捧げる。数年前から肉を食べるのを止めたDaveにとっては願ってはいない場所での誕生日祝いとなった。

ステーキ屋を出てホテルに戻る。相部屋はAltamont。牛尽くしのカルフォルニアの1日が終わり,Sacrament公演に向け色々考えながら床に着いた。

ツアー日記! Eugeneと肛門。



11月6日 空き日

NickとOlympiaをぶらつく。 雰囲気の良いカフェが幾つかあり、中には行列が出来る所もあった。 Nickが腹が減って倒れそうと言うので客の少ない所を選び朝食と言うか昼飯にありつく。 自分の後ろのテーブルに6人組みが入ってきて腰を据える。 その中の一人がJelloの話を始める。 小さい町にいる事を実感した。 なにやら、その話している男の友達がJelloと空港で会った時のJelloの冷たい対応が頭に来たらしい。 

そこを出てホテルに戻ると残りのMelvins/Altamontの一行が飯を食いに行こうと言って来た。 食べたばかりではあったが色々みたいのでとりあえずついて行った。 かなり歴史のあるレストランに着き、Daleの親戚もそこで待ち合わせをしていた。 その中にDaleの母親も来ていた。 飯を済ました後、そのレストランを出て2軒隣にある楽器屋へ足を運ぶ。 DaleがSnarling Dogs Mold Spore, Danがthe VenturesモデルのMosriteベースを購入。 Daleが親戚に別れを告げ、皆でホテルに戻りJello、Buzz等と合流してEugeneに向かう。

6時半頃宿泊先のDays Innに着く。 相部屋は久々にAltamontの2人、 DanとSasha。 3人でテレビを観てゆっくりする。 新しいthe Simpsons、 Family Guyを観た後、 LAではやっていない番組"Sex Talk with Sue"を初めて観る。 これはカナダのSue Johansonと言う, おば(あ)さんがSexに対する一般人の悩みの相談にのるテレビ番組。 その日は、とある女性が旦那とのSexに刺激を増すために、旦那のアナルにバイブを入れようとするが、その旦那が嫌がる、と言った相談があった。 Sueは「無理に入れては駄目。 まずは肛門をやわらかくする事。 周りをなでて暖めたら、その後小指を入れてみる」、と同時に左手でこぶしを作り、その人差し指で出来るしわを模擬肛門にして、その周りを右手の人差し指でなでながら説明(写真)して彼女は続ける。  「そして小指が慣れたら指を二本入れてみる。 それが出来るようになって初めてバイブを入れてみなさい!」と、なんとも具体的な意見であった。 自分にとっては良い勉強になった...のか?

11月7日

午前10時半、SashaとDanと3人でホテルの周りを歩く。 コーヒーショップ、Dutch Bros.を見つけ自分はココアを注文する。 EugeneではStarbucks Coffeeは観る事が出来ず、 このDutch Bros.をよく見かけた。 昼食をすませ、Daleが合流して買い物をする。 ホテルの向かいにある健康食品のスーパーでオレゴン州でしか手に入らないジュース、Genesisを購入。 これがなかなか上手い。 Nickがイギリスに帰らなければならないのでそのホテルで皆と別れる。

夕方になり会場に向かう。 Wow Hallと言う300人くらいの開場は今回のツアーで最も小さい場所。 サウンドチェックを済まし、飯を済ませ、NickがいなくなったのでAltamontが売店を任される。 売店の準備を済ませた後、開場される。 いきなり来た男性の客はMelvinsの大ファンではあるが酔っ払いなのか薬漬けなのか、一人で一方的に自分達3人にMelvinsのショーでの思い出話をし始める。 その男が去ったと思ったら、その男が今度はこれまた見るからに薬漬けの40歳前後の女性を連れて戻ってきた。 その女性のタチが悪かった。 もう一方的に「T-シャツをくれ!」だの、「まけろ!」だの。 終いには「お金をよこせ! 寄付する余裕はないのか?」などと自分に言って来る。 自分はいやいやそうに"NO!"の一点張りでその女性は一時撤退した。 

Altamontの出番なので売店はロードマネージャーのTimに任せステージに上がる。 演奏は今までの中で最も手ごたえがあり、客もかなり気に行ったようでPortland、Olympiaに続き3公演連続のMosh Pit。 唯一自分が気になったのはまだ風邪が完治していなかったので、出て来ては止まらない鼻水をどう誤魔化そうかと言う事であった。 演奏もうまく行き満足げにステージを降りる。 が、その時、調子に乗っていたのか? キーボードスタンドを置いた場所を確認せず、それが原となりスタンドを忘れてくる事になる。

ステージを終え、楽屋に向かうとTimがその会場の警備の悪さを指摘し、自分に楽屋に残るよう聞いて来た。 楽屋にはビールが山積みになっているので断る理由はなかった。 Jello/Melvinsも終盤に折りかかった頃、Sashaが自分と売店の管理を変わって欲しいと言ってきた。 売店に戻るとDanが目を点にして呆然としていた。 話を聞くと、例のジャンキー女性が今度はDanを標的にして戻ってきたらしい。 そこで女性が行った行動は、まずDanに彼女が薬漬けであることを告白した後、その証拠であるひじの内側が紫色になっているのを見せた。 彼女はさらに続けた。 今度はその前の晩、クモに刺された場所をDanに見せると言ってきた。 それが肛門だったのだ。 彼女は人通りもあるその売店の前でズボンとパンツを脱ぎ、Danに向かって両手でオシリのホッペを広げて肛門の上の腫物(さすがにその写真はない)を見せたのであった。 Danが目を点にしていた理由がわかった。 Danが言うには「あんなにおぞましい物はホラー映画でも見たことがない」そうだ。

その後一行は片付けを終え、バーで一杯引っ掛けホテルに向かう。 ホテルに着き、まだDanは放心状態。 2晩続けての肛門に尽きるEugeneの夜がふけて行った。 

ツアー日記! Melvins、故郷で叫ぶ! ファンも叫ぶ! Olympia


11月5日 Portland-Olympia

9時ごろ目が覚め、シャワーを浴び終わると、相部屋のDaveとTimが目を覚ましていた。 皆がシャワーを浴びた後Daveの知り合いSahraの勤める楽器屋に自分とその2人にDaleとSashaを加え向かう。 やはりオレゴン州、LA等とは違い楽器の価格がひどくない。 Daleはそこで小さな木魚がスタンドに着いたものと, そこのないタム、ロートタムを購入。 その後メキシコ料理屋で昼食をすませBuzz、NickそしてJelloをホテルに戻って拾い、ワシントン州Olympiaに向け出発。

3時半に予約をしていたホテル、Ramadaに付き、荷物を置き直ぐに会場へ向かう。 会場はそこから300メートルあまり。 Olympia、 ワシントン州の首都だけに会場の名前もCapitol Theater。 泊まっているホテルの前の通りもCapitol Way。 確かに小奇麗な町で雰囲気は良かった。 ホテルから会場い向かう間にバンから見えたコーヒー屋には多くのお洒落を気取った学生達で賑わっている。 会場もこんな感じになるかと思っていた。 それは間違い。 パンク小僧やごっついにいちゃん、酔っ払い。 とても品のある学生など見当たらなかった。 考えてみれば当たり前。 JelloにMelvins...

ステージに上がるといきなり黄色い声が。 「Dale、お帰り~!」 Daleの故郷、AberdeenまでOlympiaから50Km強。 OlympiaがDaleの故郷と言っても過言ではない。 そのDaleが1曲目の途中で何故か歌うのを止めてしまった。 どうやら間違えたらしい。 その曲が終わると、"I fucked that one up. That's 'cause I'm fucked up. But it's ok, 'cause this is a fuck-you kind of world" と言い吹っ切れたように観客にアピール。 さすがは百戦錬磨のライブ男。 その後、Daleは乗りに乗りまくった。

自分の前には観客の中に5、6人狂った男性郡が自分に話し掛けてくる。 かなり気に入ってくれている様子がうかがえる。 3曲目が終わるとDaleがメンバー紹介をする。 自分の所では「日本人で、キーボード、ギター、ウクレレプレーヤーのToshi Kasaiだ!」と紹介してくれた。 にもかかわらず、その男性郡は「ヨシ~!ヨシ~!」と自分の名前を叫びつづける。 中には"Yoshi! You're the mother fucker!, You know how to play those shits!"と、罵声なのか声援なのか混乱させるようなことを言う男達がいた。

ちなみに例のカツラだが、その日はDanにかぶるよう渡した。 Danは5曲目が終わるとそれをその男達の群れの一人に譲ってしまった。 カツラから開放された瞬間であった。 演奏を無事終え、Nickの待つ売店へ。 場所がわかりにくかったためかあまり人は来なかった。 が中に子供連れのMelvinsファンが来て、販売を行っていたAltamontの3人にかなりの評価を与えてくれた。 そのオヤジは彼の子供にMelvinsの20周年Tシャツ(写真)を買ってあげかなり満足そうに売店を去った。 それからしばらくするとその子供が戻ってきて"You guys rock!"と我々Altamontに親指を立てて、売店そばのトイレに入って行った。 トイレから出てくるとその10歳前後の子供はそのオヤジに買ってもらったMelvinsのTシャツを指差し、「君達(Altamont)のサインをして欲しい」と言ってきた。 自分は「俺たちはMelvinsじゃないよ」と言うと。、それでも構わないと言うそぶりを見せた。 自分がサインを終え、Danにペンを渡し、 Danがペンを握って準備をするにもかかわらず、「サンキュー!」と自分に言って、 Danを無視して行ってしまった。

片付けを終え、楽屋にてビールをかっ喰らい、ライブで疲れた喉を癒す。 数十分いたのちKurtと二人でホテルに歩いて戻る。 ホテルに戻りロビーにあるコンピューターを使ってメールをチェック。 時計は3時半を回っていた。

ツアー日記! 雨のSeattle、 曇りのPortland。



11/3 Seattle

AltamontはSeattleに居残り、 カナダでショーを行うJello/Melvinsは9時起き。 自分はDaleのいたずら電話で目を覚ます。 残った3人で小雨降る町を歩き、買い物、食事をする。 途中、喉の調子が悪い事に気付く。 Sashaからもらったに違いない。 夕方、友人で写真家のKevin Willisの知人の飲み屋、Cha-Chasでジントニックを少々(?)頂く。 Kevinは近々、LAに支店を開くらしい。 風邪気味だったので早めに切り上げ、ホテルにて湯につかり、早々ベットに向かう。

11/4 Seattle to Portland

カナダから戻ったクルーが昼12時過ぎに迎えに来て、小雨降るSeattleを後にPortlandに向かう。 Portlandに着いた時は雨はあがっていた。 4時過ぎに会場入りして、6時過ぎにサウンドチェックを行う。 会場はCrystal Ballroomと言って、かなり歴史があリ、ダンス用のホールとしてデザインされたらしい。 そこの開場まで時間があったため、向かいにあるCDストア"Everyday Music"に足を運ぶ。 Altamont/Monkees' Uncle"を見つける。 会場に戻り飯を済ませ、Nickの手伝いを始める。 開場とともに多くの人が出店にやってくる。 その中の一人のガキンチョが"Monkees' Uncle"のCDのディスプレーを手に取り、「俺、多分、Altamont見たぜ! Seatleで! They sucked! (ニュアンス的には"彼等はヘタクソだった"とか"ダサい"言う感じ)」と自分の目の前で言っていた。 自分らがAltamontだということを気付いていないらしい。 そんな小憎らしいガキの意見を受け止めながらAltamontの出番が一刻と近づいてくる。

9時半を過ぎAltamontはステージに上がる。 今思うとそのガキの言葉で「誰も期待していないだろう」と肩の力が抜けていたように思える。 自分のギターの音も多少上げ、聴き取りやすくなり、ステージもNeumo'sよりはるかに大きく、のびのびスタートできた感がある。 期待をしていなかった分驚かされたのが、不安であった2曲目の"Bloodening"の時にMosh Pitが起き始めた。 あの口の悪いガキの友人たちも混じっていたことに気付いた。 カツラも4曲目まで持ち、自分のウケを狙った行動も何人かに観客には受け止められ自分自身満足の行くショーであった。

ステージを降りると数人から「良かったぞ!」と声を掛けられ、Seattleの時よりかなり良い手ごたえを感じた。 勿論、Seattleの時は自分達の失敗によるもので、決してお客を責めているのではない。 ただ、一人の中年男性が自分の所に来て「Acid Kingの奴はどうした?」とAKのイギリスツアーの為参加できなかったJoeyの不参加に不服なお客がいた。 彼は「君達は昔の良かったけど、昔の曲もやって欲しかったよ!」とも続けた。 昔からのAltamontファン。 ありがたいけど自分に言われても... 

Portland郊外のAvalon Hotel & Spaに宿を取り、その晩は風邪を直そうと湯につかりその後、ベットに直行。 TimとDaveが相部屋に。 外は霧雨が降り始めていた。

ツアー日記! アメリカ初ライブ!



11月1日 移動日。 

サンフランシスコを発ち、シアトルに向かう。  そのドライブでは雨が降り昼間も暗く眠気が襲う。 気が付くとマネージャーのTimがI-PodでAerosmithの"Rocks"を流していた。 アルバム最後の曲"Home Tonight"を口ずさみ見る雨の外の景色はなんとも悲しげであった。 初めて使う酔い止め用の薬の副作用か、今まで感じた事のない頭痛に襲われる。 14時間のドライブと言う事で途中のWoodburnなる町で一夜過ごす。 

11月2日 シアトルライブ当日。

Woodburnのホテルを9時半に出て、2時過ぎにシアトルの会場、 Neumo'sに着く。 警察がその場に面している通り、Pike通りに10台弱のパトカー、20台前後のバイクで警備を行っていた。 異様な雰囲気。 地元の大学生が反戦運動を行っていた。

サウンドチェックを済ませ、グッツ販売を行うNickをDan、Sashaとともに手助けすることとなる。 8時に会場が開き次々と客がTシャツ、CDを求め売店にやってくる。 Nickはパニック状態。 前座のドブロギター弾き語りのBaby Grampsが始まり、その後ヘビーなBloodhagが客を暖める。 

9時半を過ぎいよいよAltamontの出番。 Timに長髪のカツラをかぶるよう命じられた自分はしぶしぶそれを付けステージに立つ。 目の前にはいかにもアル中/薬物中毒者なる中年男性が「ウクレレ弾くのか? 聴こえるのか?」と自分に話し掛けてくる。 とりあえず適当に返事をしたが、それがちょっとした間違えになる事に後で気付く。 その後もその男性は曲の合間に「ウクレレ使え!」としつこく自分に話し掛けてきた。 結局カツラは3曲目の始めに口に入ってきたりしていたので投げ捨てた。 マイケルジャクソンが昔MTVアワードでサングラスを取っただけで観客が大騒ぎした事を思い出したが、自分がカツラを取ったところで...

肝心の演奏の方は2曲目の"Bllodening"で大失敗。 後で4人それぞれが他のせれぞれに「2曲目は悪かったな」と誤っていた。 でも犯人はどうやらDaleだったらしい。 新しいAltamontのライナップになってから始めてのライブにしてはまあまあ、と言いたいところだが客の反応を見ても分かるよう、酷いショーになってしまった。

Altamontの演奏が終わり自分とSashaが残り、Sashaはドラムを引き続け、それに合わせて(?)自分が改造したおもちゃのキーボードでノイズ演奏を行う。 一人のごっつい兄ちゃんが自分を指差し"You are the man!"と叫びつづけている事に気付いた。 やっと客が反応してくれた。 ちょっと遅かった... 

演奏の後はまたNickの手伝いをしてその晩のショーを終える。 Pineと7thにあるRosvelt Hotelに宿を取り、Dan、Sashaとの相部屋にて反省会。 Sashaが風邪気味であることを告白。 嫌な予感が...

ツアー日記! サンフランシスコでの暇つぶし


10月30日

12時過ぎにDaleとDanと自分の三人でLAX(LA空港)近くのレンタカー屋にてバンを借り、その足でリハーサルスタジオに向う。 Buzzもその場に機材を運び込むためにきていた。 ドラマーのSashaが来るまで暇つぶしにジャムを行っていた。 Daleがギターを。 Danがベースを。 自分がウクレレを。 そしてBuzzがドラムを。 Buzzがなかなか上手いドラムを弾いたのには驚かされた。 一度調整を行う。 Sashaが着き、一度セットを行い機材運び。 その時DaleとBuzzに「AltamontとMelvinsの間にToshiにDave(Stone)とノイズ演奏を行って欲しい」と初めて聞かされる。 

アパートに戻り荷造りを完了。 ノイズのためのサーキット・ベンディング・キーボードをバックに入れ、バンの迎えが来てサンフランシスコに発つ。 バンにはDale、Dan、Dave、Sashaに加えイギリスのMelvinsファンで友人Nickが同乗。 6時間強の夕方の旅にはDavid Bowie、 New York Dolls等の曲をBGMにドライブ。 何故かSlayerの曲で皆の盛り上がりがピークに。

11時頃、Bush通りのチャイナタウンの門の斜め向かいのホテルに着き宿を確保。 休む間もなく隣の細い路地の奥にあるアイリッシュバーにて飲む。 自分はBassとスコッチウィスキーを少々飲む。 ライブエンジニア担当のKurtが合流。 疲れがほろ酔いに変わった。 いい気分でサンフランシスコの夜を過ごす。

10月31日 

Halloween8時半頃目が覚め、シャワーを浴び、ホテルの朝食を食べ一人町を歩く。 数十分後Daveが合流。 二人でチャイナタウンからフィッシャーマンウォーフまで小一時間ほど歩く。 写真を取り幾つか取っていたつもりが、ホテルに戻ったときフィルムを入れ忘れたことに気付く。 どうしても撮っておきたい写真があったので、チャイナタウンに戻りそれを収める。 それは多分、Harry Potterを真似た銅像。 股間の部分が怪しい(写真)。  

皆で器具の調達にギター屋(Guitar Center)に向かう。 Daleのサインのついたドラムヘッドがあるほど、この店にはMelvinsの顔が効くらしくかなり値切ってもらえた。 その後直ぐにコンサート会場、Great American Music Hallにセッティングに行く。 それを終えSashaとともにホテルに戻り休養を取る。

7時を過ぎチャイナタウンに夕食を取るために出る。 Columbus とBroadwayにあるFrancis Ford Coppolaのビルの向かいにあるレストランで夕食を済ませ、ホテルに向かう。 その途中、トリックオアトリートをする中国系の子供を何人か見る。 チャイナタウンのハロウィンである。 

8時前にホテルを出てタクシーをひろい、会場に着く。 すでに一つ目のバンド、Turn Me On Dead Manの演奏が始まっていた。 楽屋に向かうとBuzz、DaleそしてギターテクのJeffが雑談をしていた。 自分が楽屋に置いてあるビールを飲み始めると人が次々に楽屋へ入ってきた。 かなり良い気分になり色々な人と話し始める。 しばらくしてJelloが到着。 自分の顔を見るなり「Toshi、次のバンドは観ておけ。 Toshiなら気に入るはずだ」と勝手に言われて前から5列目くらいまで連れて行かれた。 そのバンドはMunly & the Lee Lewis Harlotsと言ってカントリーの臭いを前面に出したフォークバンド。 ギター・ボーカル、バイオリン2人、チェロ、ベースそしてドラムからなる6人編成。 曲は暗めだが個性、演奏力があり、なかなか入り込めた。

Zolar X、The Dicksと立て続けにおっさん達のパワーが全快。 若い人たちが食いつけるように観ているのも納得できるほど良いパフォーマンスを行っていた。 そしてもう一人のおっさんJelloがMelvinsを引き連れおお暴れ。 客の反応もピークに達する。 往年のDead Kennedysの曲から新譜"Sieg Howdy"まで約50分のステージは白熱していた。 アンコールで演奏された"Rock 'n Roll MacDonald"はJelloの尊敬した友人、故Wesley Willisに捧げられた曲。 Jelloから彼の話をレコーディングの時聞かされていたので嬉しく思えた。 

この晩はAltaomntの演奏はなく、自分は観客となりただ酒を食らい楽しんでいた。 ショーが終わった後も会場もちでビールを頂き運転の心配もないため思いっきり飲ませてもらった。 

ツアー日記! mixiから

ツアー日記! mixiから
mixiに記載したAltamontのツアー日記をそのままコピーした。

Sorry folks, it's only Japanese!