
日本の大手ロック雑誌、Rockin' Onに自分のインタビューが載った。1時間ほどインターネットを利用してダラダラと喋ったものをベテラン・ロック・インタビュアーの鈴木 喜之氏(http://www.e-vol.co.jp/hardlistening/)が格好良く纏めてくれ、自分でも納得の行く内容。しかもパンク30周年号ともあり、表紙も素敵だぜひ読んでほしい。
Recording Projects. Music Production, Deaf Nephews, Altamont, Serce, Big Business, Circuit Bending, etc...
Photo by Shiya Aoki
Jaredとその友人Sとレストランで待ち合わせをして、食事を取り帰路に着く。いつもは5番高速を使っていくのだが、今日は少し遠回りをして海の見える101番を使ってLAに向かう。自分の最も好きな町Venturaに近づくとやっと見慣れた景色が広がってくる。3人はIn-N-Outのことを考えている。自分はVenturaに行く時必ず行くIn-N-Outがある。そこへ寄りちょっと早い夕食。ツアーの最初と最後の食事がIn-N-Outであった。そこから約40分で自分のアパートに夜の8時に到着。こうして約25000km、2ヶ月に及ぶ28州での38公演の旅は終了した。
アメリカでもっとも崇拝者(とでも言うべきか)の多いバイク・ギャング。1970年、The Rolling StonesがAltamont Speedway(無名バンド、Altamontの名前の由来でもある)で開いたコンサートにHells Angelsが警備員として雇われ、一人の男性客を刺し殺した事件はロック史上最悪の出来事とも言われている。自分はHAを肉眼で観るのは初めて。運転しながら写真を撮ると一番後ろにいたごっつい兄ちゃんが親指を立てて"Yeah!"のポーズ。20分くらい彼等の後ろを走る。8時間でDenverに到着。宿を抑え、飯を取り就寝。
グッツ販売がいないのでBBの二人が交代で担当している。何故かロースト・ビーフ・サンドイッチが売られている。出番になるとAFの連中は最前列を占拠。自分がギターから変わった音を作って出すと、その弾き方をじろじろ見るAFのギターのJ。自分はそれに気付き後ろを向いて隠すように弾く。振り向くとJは笑っている。数曲が終わるとCoadyが「このツアーの終わりが近くて自分達はかなり疲れている。悪いな、半分くらいの力で演奏して」と冗談を言うとか弱いブーイング。男性客が「一番面白い冗談を言え」と言うとJaredが「...冗談...あるんだけど...日本人についての冗談だからな。今、制限されているんだよ」と言い自分を指差す。すると客は大笑い。続けてJaredは自分を紹介する。「(何に付いてかは分からないが)geniusだ!」とまでの誉め言葉に自分はふかぶかと一礼。その後調子にのって弾いていると最後の曲でタイミングを間違え大きなミス。直ぐにJaredの方を見ると自分を見て笑ってる。そして最前列のJを見るとJも笑っている。公演後2人にその間違えは酷かったか聞いてみると2人とも気付いてはいなかったようだ。自分が2人を見て間違えたのだろうと思ったと言う。知らん振りをするべきであった。自分はミスを隠す天才ではなかったようだ。
これがまた面白い。吹き口を鼻にあて、その穴は口の方へと繋がっている。つまり鼻で笛を吹き、その笛の音を口の開け閉めでコントロールしてノートを作っていく。見た目が凄く間抜けで良い。
ステージでもかなり気楽に演奏をしている。その雰囲気に流され自分も曲の間にキーボードでThe Whoの"Heinz Baked Beans”を弾くとJaredが"What's for tea, mom?" Coadyが”What’s for tea, darling?”とのってくる。女性客の一人が"今日は私の彼、Bの30歳の誕生日なの。バースデーソングやって!"と言うと、Jaredが嫌そうに"ハーッピバースデェートゥーユー"と歌いだす。自分がThe Beatlesの”Birthday"のリフを弾きだすとそれに続いてJaredが歌いだす。しばらくしてCoadyがドラムで続く。客は大喜び。BBの演奏に戻りしばらくすると自分の背後に数人いることに気付いた。ステージの上にいるので会場の者かと思いきやただの客であった。Coadyは迷惑そうにその連中をちらちら見る。自分も最初はやりにくかったが(ステージの前にいる)観客の雰囲気が自分を楽しませてくれ、ステージの上の連中のことをどうでもよく思うようになっていた。公演後ステージの上にいた連中に「なんでステージの上にいたんだ。今日の前座のバンド(観ていない)のメンバーか?」と言うと、ただ近くで見たかっただけだと言う。地元のバンドに入っている為BBの前座をやりたかったらしい。かと言いステージの上に上がるのはどうかと思った。
ダウンタウンまで歩いて行って見る。町自体は決して大きくはない。近くに川が流れていてやたらと橋がある。お洒落な路面電車も走っているし、舗装されているし、町並みも綺麗だ。でも特に観るようなところはない。ホテルに戻ってネットやテレビを観て時間を潰す。夕方になり会場へ向かう。会場のJuanita's Cantinaはバーとメキシカン料理屋とを経営していてかなり広い。楽屋は会場から離れた場所の2階。Coadyがリクエストしていてくれようで、地ビールが用意されていた。ドイツのPaulaner Hefe-Weissbier。
これが苦味が強くあと味が悪い。でも何故か止められない。自分はタバコを吸わないがそんな感じではないだろうか。出番になり会場へ行く。集った客はこのツアーの中ではもっとも少なかった内の一つ。観客の数とは関係なしに演奏は納得の行くものとなった。来てくれた人々は大喜び。客が10人であろうと10000人であろうと喜んでもらえるのは嬉しいことだ。
Little Rockのイメージからまた小さい町を想像していたが、高い建物こそ少ないものの思っていた以上に人の数が多く見える。郊外と言った感じであろうか。Little Rockに比べ色んな人種も多く見られる。サウンドチェックを行い、サウンドエンジニアの勧めでヴェトナム料理やを探しに行く。バンで10分ほど走った所に数件発見。一番近くにあったものを選らぶ。ここを選んだのは良かった。久しぶりに食べる、あっさりとした麺類。皆上機嫌。Adamはスズメのから揚げを注文。自分は何度か日本の飲み屋で食べた事があったが、それらと同じように小さい鳥だけあって食べられる所が少ない。一つもらって食べるとこれが結構いける。日本で食べたものより美味く思えた。勿論、日本にも他に美味い所はあると思うけど...
会場には数人のMelvinsマニアが来ている。その中の一人、TはTの11歳の息子を連れて早々開場された時から待っている。Tは自分に色々と聞いてくる。自分の手がけた作品を気に入ってくれているようだ。ステージの熱気でBBが大汗をかきながらの公演はまずまずの出来。ちなみに自分は昔からあまり汗をかかない。だがそのステージは汗はあまりかかなかったものの息苦しくなるくらいの暑さだった。公演後、一人ステージ横で呼吸を整える為、座って休んでいると数人の客が声をかけてきた。その中に一人の女性客がいた。彼女は自分に向かって「あなたがBBの中で一番のお気に入り!」と言って来る。自分の使っている機材を気に入ったようだ。彼女はCircuit Bending(音の出るおもちゃやキーボードをショート・サーキットする寸前のところまで改造して、それらから変わった音を作り出す方法や楽器のことを指す)にも興味があり、自分も一台持ってきて使っていたので、それについて話をしたかったらしい。自分が作った物がもしあまっていれば売って欲しいとも言われた。頭の中では"カチン!カチン!"とレジスターの音が鳴り響く。彼女との話を済ませると2バンド目、Whiteshipのドラマー、Bが自分の所にやってくる。BBの前座を勤められた事でかなり興奮している。それ以上にMelvinsの大ファンだそうだ。最も気に入っているアルバムがHoudini Liveで、その中でも"Sky Pup"が気に入っていると言う。自分がエンジニアをしたと伝えると、Bは一言「うそだね!」"Sky Pup(Houdini Live版)"の歌詞の内容を伝えると「うそだ~。絶対信じないぞ~」と頑なに自分がMelvinsと仕事してきた事を否定しようとする。「家に帰ってCDのクレジット見てみろよ」と言うとようやく納得し始める。すると「じゃ、それが本当だったら、トシに次のアルバムを作ってもらいたい」と言ってくる。またもや"カチン!カチン!"。自分がツアーに出る理由に、このようにバンドに出会いスタジオの仕事につなげると言う事もあった。"ライブも営業だがライブ後もまた営業"と言う事を再確認した夜であった。
ホテルの駐車場に着くと男が全長1メートル50センチはあろうニシキヘビをクビにぶら下げて歩いている。あやしい。ホテルのキーをフロントからもらい裏の駐車場に回ると2台のパトカーが止まっている。ホテルの階段近くで警官に見つからないよう隠れながらそれらを見ている男もいる。大丈夫であろうか。ホテルに荷物を置き会場に向かう。

しばらくするとケータリングの飲み物担当のZが楽屋に来て「今日は地ビールもう一本見つけたから持ってきた。俺も後で飲んでみるけど感想を聞かせてくれ」と言い, Pennsylvania州Adamstownの会社、StoudtsのSmooth Hoperatorを持ってきてくれた。これは果汁の味が強くカクテルのようで、自分はこのツアーで飲んだ中、最も好きになれない味であった。せっかくZ が用意してくれたが正直にそれを話すとZも試すのをやめておくと言った。
明日は移動日で休みなため、とりあえず保険会社に電話をしてホテルまで牽引してもらい、明日なってから修理工に持っていくことにした。Jaredが牽引車に乗ってホテルに向かい、自分とCoadyは会場の係りの者に送ってもらう。悩みを抱えて床に着く。

曲はメチャクチャになった状態で終わってしまったが最後と言う事でステージ前に立ち観客にお辞儀をする。Coadyは客席に降り客に挨拶。自分はJaredに頼みスノー・エンジェル(雪の上に仰向けに寝て両手で雪を掻き分け羽に似た模様を作る)ならぬコーン・エンジェルを作っている所をカメラに収めてもらった。この後の片付けは大変なものとなった。
音の出るものには直ぐに反応してしまう自分。それを手にとるとCoadyが「No~!」と自分が何をするか分かっているようだ。戻すフリをした上で購入。バンに持ち込み、それを片手にカズー(ツアーの始めの内に4つ買ってバンの中に置いてあった)を加えて演奏を始める。何故か出てきた曲が the Spencer Davis Groupの"Gimme Me Some Loving"。ベースラインをカズーで奏で鶏のシンバルでリズムを刻む。するとJaredがもう一つのカズーを取り出し、オルガンのパートの前奏を始めメロディーラインへと続ける。ドゥドゥドゥドゥドゥ、パーン。ドゥドゥドゥドゥドゥ、パーン。ドゥドゥドゥドゥドゥ、パーン。ドゥドゥドゥドゥドゥ、パーン。...コーラスに入ろうとした瞬間、運転手のCoadyが「いい加減にしろ!」Jaredは「Coadyおじちゃんが怒った!」と子供のように言う。車内は大爆笑。その後はただもくもくと運転が続く。
Geary's(Maine州) Hampshire Special Ale(写真右から3番目)とSamuel Smith(Tadcaster、英)のTaddy Porter(同5番目)は味が濃く、カクテルっぽくないので気に入った。
サウンドチェックを済ませるといつものように食事なのだが今日はロブスターがメインディッシュ。


好んで飲むかはわからないが口当たりが良くあと味も悪くはない。そしていつものようにビールを持って会場へ、と行きたかったがコップが見つからなかった為手ぶらで会場に。良い席がなかなか見つからない。一般席とは区画されたVIP席のような所を見つけそばにいた係りの者に入ってもいいのかを尋ねる。パスをみせると少し間のあいた返事でOKが出る。そしてそこに入り間もなくすると、横にいた数人の若者の中の一人がじろっと自分を見て「お前はどこから来たんだ」と言う。説明しようとすると曲の盛り上がり部分と重なり、大声で言っても何を言っているか分からない様子。諦めてそこを出て行くとその係員が自分を止め彼等に説明する。「この人は前座のバンドのメンバーだ!」すると若者達は「なんだよ。そう言ってくれよ。さぁ入った、入った」数回断ったのだが無理やり連れて行かれる。ビールまでご馳走になる。この中の一人が会場の関係者を知っていてこのVIP席を抑えてもらったと説明された。「何とかしてバックステージに行きToolの面々に会いたい」とまで言ってきたので、この場所で最後まで観ていては面倒になると判断して1曲を観終えてその場から去る。 DustyをOhio州Columbusの空港まで送るのでそこからそれほど離れていないAnn Arborまで運転して宿を取る。
それに応えると男はこう言った。「I don't know who you are, but you guys KICK ASS(お前達が誰だか知らないが、お前等はかっこいいぜ)!」サンキューと言い返すと"俺は言ってやったよ"といわんばかりに大きく数回うなずきながら男は去っていった。誰だか知らない...BBが演奏する時は何時もステージの背後の高さ10m横幅25mくらいの大きなスクリーンにでかでかと"Big Business"と書かれている。嬉しいんだか嬉しくないんだか...
ライトビールなので好んで飲もうとは思わないが、この季節と仕事の後と言う事で多少美味しく感じた。明日はWisconsin州Milwaukeeと言う事でまた Chicagoの渋滞を考えなければいけない。そのことを考慮してBBの公演終了のみで会場を発つ事に決めていた。よってドラムバトルは無し。Toolの面々にもその事は伝えてある。彼女達の話をようやく切り上げChicago郊外まで4時間強のドライブに出る。会場を出た瞬間Jaredが「(彼女達の話にあきあきして)あ~たまんね~」Coadyは「これでもましになったんだよ。許してやってくれ」と彼女達を煙たがっていたのは自分だけではなかったようだ。大雨雷の中、バンは無事Chicago郊外のホテルに到着。
ちょっとにがいが飲みやすいので直ぐになくなってしまった。楽屋を転々としているとAdamの楽屋に辿り着く。ビールを飲まないAdamの楽屋にビールがあったので"一本もらうよ"と言うと快く譲ってくれた。Adamは育った場所が近かったので今日は友人が沢山来ると言う。Adamの高校の時の友人、Rage Against the MachineのTom Morelloのお母さんまで来ているという。「Tomのお母さんは凄く優しくて頭の良い人だ。トシにも紹介するよ」と言ったところでAdamの兄、Aが入ってくる。AはAdamに「ちょっと多くの人呼んじゃったんだけど良いかな?」「良いよ、良いよ。その為に沢山の飲み物とか用意したんだから」と言うと Aは廊下にに戻り人を楽屋に連れ込んでくる。10人、20人を予想していた自分にはその人の数に驚かされた。120人は下らない。AdamがTomのお母さんを紹介してくれる事などわすれ、自分はその人ごみから非難するため、ビールをもう一本拝借してBBの楽屋に戻る。
SummitはBBのChicago公演でも飲んだビールだが、苦味がきつくなくスムーズなダークビール。今回の旅のお気に入り。Peteは60年代から80年代に大活躍した、元Redsの名選手Pete Roseにちなんで作られたビールかと思っていたが、Texas州San Antonioのメーカーらしい。ちょっとフルーツっぽい味が強く、薄口なので自分はあまり好きにはなれなかった。今日のCoady vs. Dannyは今の所一番のバトル。Coadyも慣れた来たようでDannyも遠慮をしていない。客も大喜び。
もともとはBaltimoreで作られていたこのビール。今は大手Miller Brewingに吸収されそこで作られている。案の定薄い。ライトビールの好きなCoadyは喜んで飲んでいたが自分には1本終わらせるのがやっとであった。ちなみに名前が近いMexicoのBohemiaと言うビールはなかなか味のこいビールで気に入っている。
苦みと甘さがちょうど良い。夕食後40分あまりで抑えていたホテルに着く。残りの距離は300km。Toolの公演はサウンドチェックが早い時間に行われる為早起きが必要とされる。
荷物をおき廊下に出るとMaynardに会う。自分に向かって中指を立て、Fワード連発で挨拶をしてくれる。歓迎のしるしであろうか(?)。機材を運び込みバンに戻るとそこで今度はAdamとJustinと再会。彼等とは1年近く会っていなかった為、笑顔でハグをしながらの再会。「トシがBBのツアーに参加しているのは聞いていたが、サウンドマンだと思っていたよ。でもギターなんだってなぁ?何して驚かしてくれるのか楽しみだ」と軽いプレッシャーを Adamから受ける。その後直ぐにDannyと廊下で再会。これまた笑顔とハグ。
ちょっと果汁っぽい味が強いがこの食事とは相性がよく味わえた。公演後の夜食は西海岸では決して目にすることが出来ないバーガー・チェーン店 White Castle。"Harold & Kumar Go to White Castle"と言う映画が出来るほど東海岸等の州では根強い人気。"ハンバーガーがメチャクチャ旨い"と言うのが人気の理由ではない。映画を観れば分かるのだが、パーティー等(映画はもっと他の理由)で遅くなって他のレストランが空いていなく、24時間営業のここを選び、それが癖になる人が多いそうだ。バーガー、チーズ、たまねぎ、ピクルスが挟まれた、小さいハンバーガーが30個入っている"Crave Case"を注文した。3時過ぎの空腹にそれがたまらなく感じた。
タブビールだったのでSurly(会社名)のどのビールかは分からなかったが、空腹の自分にはこのスムーズで重過ぎないビールは旨く思えた。この後自分はSummit、Blue Moonと言った地ビールも試してみた。会場の隣が同じオーナーシップのレストランで、会場のはからいで飯が用意される。暑さや疲れであまり重い夕飯は食べたくなかった一行はチキンサラダなどを頼む。
312はGoose Islandと言うChicagoの会社が作っているウィートビール。自分には軽すぎてパンチに欠けるような気がした。Great LakeはOhio州Clevelandの会社。これは旨かった。今の所、このツアー一番の味。
この旅初めての地ビール。ちょっと甘いがしつこくない。まあまあと言ったところであろうか。
好んで飲もうとは思わないが軽くてさっぱりしていて、重いメキシコ料理と疲れている自分にとってはちょうど良い。
こくがあり甘すぎない。注文したパスタともよく合い大満足会場に戻る。
DaveはそのDVDを皆に披露。Ali G. Show, Little Britainと好きなショーが終わってしまい、新しいコメディーに飢えていた時にこの新鮮な衝撃。一つのショーが11分と短く、安上がりなコマーシャルやTV番組を皮肉ったテンポの良いスケッチの数々。作るほうも安上がりだが、ゲストやアイディアが非常に良い。ガス欠に出くわしたものの美味い飯、良いショー、良い客、新しい笑いを知り大満足な一日が終わる。