19日、休み。とは言っても20日からのTreesの録音を控えて、それに向け機材を移動しなければならない。4時間の睡眠の後、TreesのギターのJHの仕事場に機材を運び込む。JHはギター職人でその仕事場の隣がTreesのリハーサルスタジオになっている。
機材を運び終え、友人の家へ向かう。前から約束していた、フットボールの試合を観る事になる。大学フットボールは観た事があるがNFLの試合は生まれて初めて。駐車場ではテールゲートパーティーが行われている。バスを改造して、BBQのグリルを詰めるようにしたるものや、派手な格好の人々が目につく。見知らぬ人にビアーボング(点滴の用に上から管をたらして一気飲みする)を強制させられる。ホームオープン試合ともあり3機のF16が頭上を一瞬にして遠ざかる等の派手な幕開け。試合もホームチーム、Broncosが一方的に責める。40度くらいの暑さで席が暑い。この試合はBroncos史上最高の暑さらしい。
試合の後は食事を済ませバンドの面々と合流。AFのPA、JM、SkiviesのZとTreesのJHの彼女の働くバーで飲む。黒ビールを数杯飲んだ後、Treesの録音に控え、PAの家で就寝。
20日、Trees録音一日目。残りのメンバー、ベースのMFCとドラムのDJMとこのとき初めて会う。JHとDJMとの付き合いは古く、DJMの完璧主義に昔からかなり気を使って録音や練習をしていた事を聞いていた。この録音もおわらないのではとJHは心配していた。はじめのうちはそれらしき、言い方をしていたが、自分の楽観主義(It's Only Rock 'n Roll, baby)にDJMは次第になじみ始めた。JHもそれが見えて来てホッとした表情。このバンドは全ての曲が繋がっているため、曲と言うよりパートと言っていた。3パートを終えこの日は終了。JHの家に世話になる。
21日、Trees録音二日目。気を良くした、DJMは7パートを予定より早く終わらせる。MFCとDJMはともにバーテンダーなのでこの日は早く引き上げ、JHと二人でギター録りを始める。10時半からLAの友人がたまたまツアーで来ていたのでそれを観にJHと街に出る。それを観終え、MFCの働くバーに飲みに行く。
22日、Trees録音三日目、朝起き、路上駐車していた所に行くと駐車違反のチケットを切られていた、30分オーバーだった。録音はギターがメイン。この夜は彼らの友人の働くバー、Sputnikに飲みに行く。バーで食事も取る。お勧めはタコスとコーンドック。
23日、Trees録音四日目(最終日)、Machinegun Bluesと言うバンドのJHWがJHとともにやって来た。自分の提案でJHの仕事場の外の空き地でDJMとJHWのドラムオーバーダブを行う。JHが一番興奮していた。録音を無事に追え、片付けをして次のバンド、Osyluthの指定するスタジオへ機材を積み移動。OsyluthのボーカルJWの勘違いで彼らの知人のスタジオを抑えようとしていた。ドアマーのDEとベースのAと合流して、そのスタジオに入る。入ると目に入ったのが、マリファナの栽培。数年アメリカの多くの州は免許があれば薬用のマリファナ栽培が可能になっている。とは言え、”患者”と偽り、一般人が買い求めるのは当たり前の事のようになっている。マリファナ栽培自体にはそれほど抵抗がないのだが、こう言った場所には危険が多い。スタジオでは他のバンドの録音が行われている。バンドのメンバーや友人かなんだか知らないが、その場所にいた数本の歯の抜けた女性も含め、皆が薬漬けにしか見えない。自分の機材をこんな場所に一晩置いて行きたくない。それをDEとAに話すと、DEは「自分の家の地下室はこのスタジオより大きいよ」と言うのでなにも言わずにその場から立ち去りDEの家に向かう。機材を運び入れ、ある程度録音の準備をした後、JHの家を向かう。
JHとはMachinegun Bluesのライブを観に行く約束をしていたので急いで会場に向かう。会場は昨日夕飯を取ったSputnikと隣接しているHi-Dive。数人の客が自分の事を知っていると言って来て、酒を持って来る。断る訳には行かず、運転もしなくてよいのでがばがば飲んでしまった。
24日、Osyluth録音。朝起きると久々の二日酔い。なんとかDEの家に着くが、二日酔いと睡眠不足でなかなか仕事に気がはいらない。プロ失格...と思い、気を取り直す、二日酔いを覚ます、それと体を起こさせるため、近所を散歩する。15分ほど歩くとかなり気が楽になり始めた。Osyluthは予算と時間の都合で一日で2曲のみの録音。16時間仕事をした後、機材を今度はSkiviesのオーバーダブをするため、彼らのリハーサルスタジオに移動。荷物を降ろして後、AFの連中とライブを観に行く予定であったが間に合わず、ライブの後に会場前で会う。その後、PAの家に世話になる。
25日、Skivies録音三日目。右足のふくらはぎがひきつりその痛みで目を覚ます。ストレッチをしてなんとか持ちこたえたが、さすがに疲れが溜まって来た事を確認。SkiviesとAFのリハーサルスタジオは隣り合わせになっている為、AFのスタジオに自分の機材を立ち上げ、廊下にケーブルをひき、本格的なスタジオ同様にオーバーダブを始める。スタジオの近所でTreesのライブがあったのだが、録音が大幅に遅れ、それを断念。スタジオから一番近いベースのS家に厄介になる。
26日、Skivies録音三日目(最終日)。9時半にSの家を出て、コーヒーを買ってスタジオに入り、即録音に入る。この夜もTreesのライブがあるのでそれを観るのに早めに終わらせなければ行けないのでペースを上げ、録音が進む。AFのメンバーも合流して、録音を終え、機材を片付け、会場に向かう。この夜も数人に酒を進められたが、機材を車に積め、30分街からはなれたZの家まで運転しなければならないのでそれを断りライブを観る。Skivies、AFの面々もそのライブに圧巻されたようだ。Zとスタジオに戻り自分の車に荷物を積み込み、Zの家へ向かう。
27日、移動日。朝目を覚ますと9時半だった。Zと近所のレストランで朝食を済ませた後、Coloradoを出発。7時間くらい走るとUtahの山が燃えている。その山を廻るように走り、方角を西から南に変える。Las Vegasに入る頃が一番きつく思えた。ガソリンも切れかけたので一時休憩を取る。コーヒーと軽い夜食を買い、コンタクトがかなり乾いていたので眼鏡に換えて運転。Las Vegasを抜ける手前で警察に止められる。テールライトが切れていた。フューズが切れているだろうから、直すようにと言われただけで済んだ。次の出口のガソリンスタンドでそれを直し、再出発。15時間の運転の後、ようやく家に着く。昼間は45度あったらしい。その暑さが残っていて非常に寝苦しく思えたが疲れで暑さも忘れて就寝。15日間のDenver滞在を15時間の運転で幕を閉じる事となった。暫く運転する気にはなりそうにない。
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