Tuesday, April 03, 2007

West Hollywood: あと味のよさ,悪さ(最悪の公演)

3月21日

移動日

LAまでの距離,800 miles(1290km)。Arizonaをまたいでの約14時間の運転が予想される。 Albuquerqueを発ち10分としないうちに砂漠が広がってくる。始めの内は見慣れない地層や岩で出来た山があり良い景色と思うが直ぐに飽きてく る。4時間くらい走りやっとArizona州に入る。かなり風が強くなっている。西部劇の決闘のシーンやコメディー映画等でしらけた時に出てくる転がる 草,Tumble Weed(タンブル・ウィード)が地面を走っている。インディアン(原住民)の土地と書かれたお土産屋やホテル等の看板が多く見られる。北へ2時間も走れ ばグランド・キャニオンが観られるのだが一行は早く帰りたく,誰もそんな事はお構いなし。数度の給油,トイレ休憩を挟みバンは西へ西へと向かっていく。 Arizona州をまたぎ終えると同時に日も暮れ始める。カリフォルニアに入ると皆の言葉数が一気に増えてくる。が街がなかなか見えてこない。高速だけが 長く続きガスが必要になる。ガソリン代が急に高くなる。皆驚きを隠せない。がLAに辿り着くにはガスが必要。直ぐに給油し高速に戻る。カリフォルニアに入 り3時間くらいったちようやく見慣れた街になってくる。そこからが長く感じた。日付変更線をまたぎ昼の10時から夜の12時過ぎまでかけようやく自分の家 に着く。連中に別れを告げ荷物を運び部屋に戻る。シャワーを浴び。ネットをチェックする。60通のメールが来ている。8割以上が迷惑メール。長旅で目がぼ やけているのにも関わらずそれを一つ一つブロックしてコンピューターを閉じ床に着く。残るは3日後のLA公演のみ。楽しかったが"これほど長い間,家に 帰っていなかったのか?"と思わせる旅であった。

3月24日

The Troubadour: West Hollywood, California

この2日間で洗濯,買い物を済ませた後,溜まっている仕事をしようと思いきや,今後のセッションの打ち合わせ,人との連絡等であっと言う間にライ ブの当日となってしまった。午前中も電話やメールで人との連絡が続く。昼を過ぎDaleからの連絡を受け5時に会場で待ち合わせ。久しぶりに自分の車での 移動。土曜日とは言え,地方公演が続いたためHollywoodを抜けていくのに車の数が多く感じられた。5時を少し回り会場に着く。今日のトリ,Red Sparowesがサウンドチェックをしている。

しばらくするとCoadyから連絡が入り渋滞にはまっている事を知らされる。20分くらい待った後,ようやくバンが到着。荷物を降ろすと同時に BBのサウンド・チェックの番となる。このツアー初めてのサウンドチェック。会場のサウンド・クルーが二人。Bobと言う兄ちゃんに自分役割を話すと「そ う言ったことをやる人は5年ここで働いていて3人目だね」と驚くと同時に何だか嬉しそうだ。「変わったことするバンドは好きだな~」ともの凄く協力的。 Hollywood界隈のライブハウスの人間は冷めていて,どのバンドが着ても愛想が悪い印象がある。Bobの積極的な行動を見ていてライブが楽しみに なってくる。

大きな間違えであった。問題はもう一人の方のサウンドエンジニアだった。名前すら覚えていない。と言うか思い出したくもない。"やっぱり Hollywoodだ"と思わせるこの男。今まで色々な嫌な奴と仕事をしてきたが...久しぶりに人を殴りたい衝動にかられた。ステージ上の設定は直ぐに 終了。まず自分の役割を伝えると自分に「音量はそっちで調整してくれよ」と"お前の仕事はなんなんだ"と思わせ,ちょっと腹が立った。そして自分の音を チェックし様とすると音が出ない。BobがDI(ギター等の楽器の抵抗のレベルをマイクの抵抗のれべるに合わせマイクプリアンプなどに注す事ができる機 材。言わばアダプター)を用意しくれて,それにケーブルをつなぎ自分の方は準備が出来ている。でも音が出ない。自分は"完全に向こうのミス"だと思っては いたものの,"もしも"のことを考え自分のケーブル等を換えてみる。その馬鹿は「こっちには問題ない。DIもこないだ使ったばかりだ。君の方の配線の仕方 か何かが悪いに決まっている」と自信満々。心の中では"お前がミキサーの何処かのボタンを押し忘れているだけだろ"と思いつつも「そうか。こないだ使って から何も変えていないのにな~?」と低姿勢。すると「後,2バンドあるからその間に配線調べておいてくれる?」とあくまでも自分を責める。その間抜けは Daleを含めたステージの3人に「キーボードの方がおかしいようだ。君達3人で演奏してくれる」それを聞いてだんだん本格的にムカついて来た。自分を除 いてサウンドチェックが行われる。

サウンドチェックが終了してBobにそのことを話すと「分かったバンドが機材を運んでいる間にチェックしよう」と協力的。Daleに食事に行くよ う誘われたがそれを断り,しばらくしてBobと配線のチェックをすることに。自分にキーボードにはスピーカーが付いているためそれを聴いてキーボードに以 上がないか調べる。Bobがコネクションが悪いのかとかいろいろケーブルなどを試す。低姿勢でいることが我慢出来なくなってきた。「本当にそっちのイン プットはDIに向けられているんだろうな?」と言うと。Bobが何かに気付いた顔をして慌ててミキサーのインプット・セレクト・スイッチを見る。「ああ! インプットBに繋いだのにインプットAが選ばれている!」それを切り替えると直ぐにキーボードからの音がPAから聞こえて来る。Bobはそのアホに向かっ て「インプットBにしていなかったよ」と大声で伝える。

Dale,Jaredたちとの食事を逃した自分は,ドラムのセッティングをするため残っていたCoadyとインド料理を食べに行く事にする。まだ セッティングが終わらないCoadyを待っていると,そのクソ野朗が自分の所にやって来て顔を近づけ「インプットBだって!ハハハ」と,もし自分が少し若 かったら鼻の形がなくなるまで殴ってやりたくなるような事を言う。CoadyとCodayの友人と3人で2件隣のインド料理屋へ行く。2人はカレーを頼 み,自分はチキン・カバブ。口内炎もほぼ治っていたので久々に美味いものが食べられた。ちなみにビールはTaj Mahal。http://www.stawskidistributing.com/India.htmlこくがあるのにすっきりしている。あと味が非常に良い。会計を済まそうとするとCoadyが「今回,トシにはいっぱい手伝ってもらった。奢らしてくれ!」と食事をご馳走になる。"Taj Mahalもっと頼めばよかった"と思ったり思わなかったり。

会場に戻ると一つ目の演奏が始まっている。William Elliott Whitmore(http://www.myspace.com/whitmorewilliamelliott) と言うブルーグラス,カントリー,フォークが基本のギターか4弦バンジョーでの弾き語り。声もよく,全曲最前列で聴き入ってしまう。CDも買ってしまっ た。後半はRed Sparowesの面々も彼のステージに参加し始め音に味付けをする。Williamの演奏が終わると知り合いも何人か来ていたので2バンド目を聴かずに 友人達と話しこむ。

3バンド目がBB。自分は2階にあるミキシング・ブースからの演奏となる。少しだけ音を確認して直ぐに演奏が始る。自分の音が小さい。カス野朗に 「少し俺の音とJaredのボーカルを上げろ!」と指示すると「大丈夫,下(観客)ではちゃんと聴こえている」と口答えをしてくる。自分が"何言ってんだ "と言うような顔をすると耳打ちで何かを言って来て自分を説得しようとするが爆音で何言っているかさっぱり分からない。"分かったか"と言わんばかりに自 分の肩を軽く叩くと即座に自分から離れていく。再三に渡って「ボーカルを上げろ!」「俺の音が聴こえない!」と叫んで言うが「下では大丈夫だ」「(ヘッド ホンを持ち)ヘッドホンではちゃんと聴こえている」とか言って来て,自分の要求に応えようとはしない。変えたフリだけでもすれば多少は自分の気もおさまっ たが何一つ要望が通らない。"フェイダーを上げる事など猿でもできる"と自分は思いつつも演奏に集中。最後の曲になるとCoadyとDaleのボーカルの 声がはっきり聴こえて来る。それを聴いて"Jaredのを上げろ"と言いたかったが全体の音の酷さを再度確認した時,手遅れだと諦めてしまった。とどめ は,最後に自分の音だけが残りバンドがステージから去っていく演出になっていた。だが自分の音が小さくて良く聞こえてこない。しかも自分の音がまだ流れて いるのにも関わらず,終わったものだと勝手に解釈してCDをかけ始める。

"終わった事だ,怒るな,怒るな"と心の中でつぶやく。怒りをこらえ機材運びを手伝いに行く。Melvinsとは長い間,交友関係にある元 MinistryのPaul Barkerがステージ裏に来て「トシよかったよ!」と励ましに来てくれる。忘れようとしていた自分だが,「そうか?音が酷くて何やっているか分からなかっ たよ。何度もJaredのボーカルを上げろと言ったけど...」と怒りを噴き返し状況を説明する。「確かにボーカル聴こえなかったな。音も酷かった。けど 演奏はよかったよ」と優しいPual。DaleとPaulが「トシがここまで怒るの珍しいな,でも過ぎた事だ気にするな」と自分をなだめてくる。会場では Red Sparowesが始っている。なだめられた自分は冗談で「な~。RB(ボーカルなしのインストバンド)のボーカル聴こえないだろう?」と言うと3人で爆 笑。後で知ったことだがRSの面々もこのイカレ野朗とやりあったそうだ。ちなみに数日前,RSの面々はBBの面々に「LA公演のサウンドエンジニアを探し ていると」聞いてきてBBは自分を紹介した。「前回来た時のエンジニア(違う人)は良かったから大丈夫だろう」とも伝えたそうだ。結局,何も連絡がなかっ たのでやることはなかったのだが,無理やりでもやれば良かったと後悔した。また自分の演奏を止め,ミキサーを乗っ取るべきだったとも後悔した。Paulや 他の来ていた友人と話をして何とか怒りを押さえる。

一人のやる気のない人間の所為で個々まで気持ちの悪いライブがこのツアーの締めとなった事が心に残り。怒りを押さえたものの,その場に残る事が不 愉快であった自分はRSの演奏が終わるのを待たずに皆に別れを告げ帰路につく。家に着き慌ててシャワーを浴びビールを飲み何とか落ち着き始める。老舗と言 う事にアグラをかいている人間が多いこの街のクラブ。完全にクライエントと言う考えがなく自分勝手に働く者が多い。世の中には心のこもった人間と心を失っ た人間がいるなど色々なことが布団の中の自分の頭をよぎる。だが,反面教師。ああならないように,と思わされた日でもあった。

No comments: