Thursday, September 04, 2008

Billings>>Teton Village

7月28日、Billings, MT

5時間強の距離にあるのと、早めの時間の公演なので10時に出発。移動中、いつも通り自分はバンの後部座席でミックス、音楽鑑賞、このツアー日記なんかもやっていた。会場には予定より40分ほど遅れて付いた。一気に暑くなる。機材を運ぶバンに乗っていたBuzzとその友人で、今回のツアーでグッツ販売をやっているDanは既に荷下ろしをしていたようだ。

会場の中に入るとビールが5段になった棚にズラリと並べられている。今日は醸造所でライブ。自分の目が一気に輝き始める。バーではないため音楽の演奏を9時前に終わらせなければ行けない。そのための早めのショーである事をオーナーのGに聞かされる。準備をすませた後、とりあえず一杯。BLACK WIDOWと言うこの店、Yellowstone Valley Brewing Co.(http://www.yellowstonevalleybrew.com/)で作られたスタウトを頂く。ちょっと甘めだが苦みがしっかり伝わってくる。今まで味わったことのない後味。正直、この後味は良いのか悪いのか良く分からないくらい変わっていた。


6時になると早速BBの出番となる。満員とまでは行かないが多くの人が集まっている。反応は今一歩。でもかなり気に入ってくれたようだ。暑さのあまり気が遠くなっていたが納得の行く演奏が出来た。

人口101,876のこの町でMelvinsは初めての公演。ライブの途中でBuzzが挨拶をし始める。メンバー一人一人紹介。Daleの紹介時には、昨日Daleの奥さんが2度目の妊娠をしたのを知った事を皆に告げた。初めてMelvinsを観るファンだと思いリップ・サービスは続く。大手レコード・レーベルの悪口なども飛び出し、残りのメンバーは早く続きをやろうとBuzzを急かす。Buzzは”待て待て”とメンバーをなだめた後、クルーまで紹介し始めた。ステージ裏にいた自分を紹介する時にだけ、Daleが横やりを入れて来る。「トシは日本人だ。皆、日本人見た事ないかもしれないだろうけど...」確かにこの町にくる日本人は少ないであろう。自分を紹介した時、観客から”最高のプロデューサーだ!”と言うのが聞こえたのにはさすがに嬉しく思えた。本当に嬉しそうに聴いている観客の顔を目に残った。



大成功に終わったショーの片付けをしていると、数人のファンが「君はBig Businessのメンバーだから、このCDとは関係ないだろうけど、サインしてくれるか?」と聞いてくる。どれも自分が録音・ミックスしたものであった。一般的に、誰がエンジニアしたとか、プロデュースしたとか、どうでも良い事を改めて思い知らされる。ホテルに向かうバンの中でBrainは、販売をしていてこれほど感謝された事はないと言っていた。確かに自分にサインや握手を求められると同時に”この町にわざわざ来てくれてありがとう”と言葉をかけてくれる者がほとんどであった。中には自分の事をJaredと呼ぶ者もいたし、片付け中でステージ奥にいる自分をステージ前まで呼び出し、自分の使っている手袋(庭の手入れ用)が可愛いとだけ言って来たむかつく客もいたが、確かにこれほど感謝された事はないかもしれない。


7月29日、Teton Village, WY,

7時間の運転を考え、早めの出発。山の高さが高くなっていく。山に囲まれ、川に沿って一般道を走っていく。会場は自然公園/スキー・リゾート地の中にある(http://www.jacksonholetraveler.com/)。建物の裏には大きな山が聳えている。会場の中に入ると既に荷物が降ろされていた。ロッジの様な作りで壁や天井には装飾品が置かれている。その中の一つにヘラジカの剥製が天井から吊るされている。ステージは狭く、ドラムの置き方を考慮した結果、Daleのドラムがステージ奥に前向き、Coadyのものがステージ手前に後ろ向きで、お互いが見れるようになっている。セッティングをすませると、会場はレストランでもあるため食事が用意される。自分はバファッローの肉のバーガーを注文。良い牛肉を食べているようで非常に美味い。



人口約50万人と、アメリカの州の中で最も人口の少ないワイオミングでのショー。客の入りは全く来たいしていなかった。開場されると思った以上の人が集まり、予想を遥かに上回った。ユタやアイダホなどの公演のない他の州から来ている人が話しかけて来た。

Big Businessの出番になりステージにあがると大きな歓声があがる。2年前のツアーではバンの故障のためキャンセルになりMelvins, BBともに今回がこの州で初めてのライブである。そのため客の興奮度はかなり上がっていたようだ。Coadyが後ろ向きな為、自分と向かい合っている。まるでリハーサルスタジオでの練習のようだ。ドラムも聴き易く、非常にやり易くリラックスして演奏が出来た。そんな考えとはうらはらに、客の暴れようは異常であった。何年も待たされた客が多く、2曲目からマッシュピット。ステージの脇の下に置かれていたギター・ラックがマッシュピットの勢いで押される。演奏しながらマネージャーのTimがそれを必死に押さえいるのを見て心配になってきた。

なんとかセットを終えるとTimが「ラックを移動しよう。あそこではいつ壊されてもおかしくない」と言って来たのでMelvinsが始まる前にラックを移動。反対側のステージの脇にそれを置くものの、客の手からそれほど遠くない。Melvinsの演奏時には自分は常時それを見張っていた。やはり異常な盛り上がり。喧嘩寸前に警備員につかまり追い出される者もいた。自分はステージ横でそれを監視していると、一人の客は自分がつまらなそうにしていると思ったのか、肩をポンポン叩いて来て、右手の親指を立て、”Melvinsは良いだろ?お前もロックしろ”と言わんばかりに自分を見つめてくる。最後の曲になると自分の目の前にいたJaredが耳元に顔を寄せ「トシ、屁こいたろ?分かっているんだぞ」と言ってくる。またもや濡れ衣。公演後、Rickyが「多分自分だと思う」と言ってくる。今回は濡れ衣ははれた。

恐ろしいくらい盛り上がった公演後、多くの者が自分の所へやって来て”この町に来てくれてありがとう。また来てくれ”と声をかけてくれる。前公演同様、田舎町のロックバンドをあまり観る機会がない若者達は、自分達の訪問に感激してくれたよだ。片付けの後、Jaredは皆を食事に招待したいと言う。会場と同じ建物のなかにあった酒屋で肉と野菜等を買い、セッティングが終わった後から公演の前まで、ホテルにあったキッチンでパスタを作ったと言う。肉はヘラジカである。ステーキ用の牛肉よりちょっと固めで淡白だが、Jaredの作ったたれと良く合い公演後の空腹感にはたまらなかった。リゾート地での公演は今回が初めて。変わった肉が食え、異常な盛り上がったショーにもなり、久々に変わった経験が出来たように思えた。

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