Friday, August 17, 2007

Lawrence>>Denver>>Salt Lake City

7月28日、Lawrence, Kansas

Adamは今日を最後にOlympiaに戻る。彼と移動中、色々と話していた。Adamは売店で色々なことを客から聞かれたと言う。その中で面白かったのが「BBのギターの奴はMelt Bananaのギター(あがた氏)だろ?」と聞かれた事が何度かあったそうだ。アジア人は皆同じに見えるアメリカ人に対しての嫌味を込め、自分は「今度から"いや、違う。あいつはジャッキー・チェンだ!"って答えろ」と言うと車内は大爆笑。そんな話をしているうちに会場へ到着。機材を降ろし、サウンドチェック。開場後、出番まで時間があり、楽屋があまり綺麗ではなかったので、自分とJaredはホテルへ行き休憩を取ることにした。

ホテルから戻ってくるとAdamが「君等は今までで最も酷いオープニングバンドを見逃したよ」と言う。少し後悔。次のバンドはWhiskey Bootsと言うギターとドラムの女性2人組のバンド。ドラマーが1曲ラップ・スティールも弾くし、2人とも演奏がしっかりしている。かなり楽しんで観れた。客数はLittle Rockの時より少ないと思われる。自分の演奏は最初の2、3曲がいまいち。やけになりビールをがぶ飲みすると気分がよくなってきた。後半は最高の出来と言っていいほど良かった。数少ない観客も大喜び。公演後の反応で演奏の良さは分かる。多くの客が納得してくれたようだ。


7月29日、移動日。

Adamをシャトル・バス(空港行き)の停留所で降ろし、3人は今日の内に次の開催地Colorado州Denverに向かう。自分が運転をし始めると強い雨が降り始める。しばらく走るともの凄い音で数台のバイクが高速に入ってくるのが分かった。Hells Angels。アメリカでもっとも崇拝者(とでも言うべきか)の多いバイク・ギャング。1970年、The Rolling StonesがAltamont Speedway(無名バンド、Altamontの名前の由来でもある)で開いたコンサートにHells Angelsが警備員として雇われ、一人の男性客を刺し殺した事件はロック史上最悪の出来事とも言われている。自分はHAを肉眼で観るのは初めて。運転しながら写真を撮ると一番後ろにいたごっつい兄ちゃんが親指を立てて"Yeah!"のポーズ。20分くらい彼等の後ろを走る。8時間でDenverに到着。宿を抑え、飯を取り就寝。


7月30日、Denver, Colorado

当初は"The Simpsons Movie"を昼過ぎに観に行く予定だったが、Coadyが幾つかの用事を抱えていた為、それを諦め、残されたJaredと二人でホテルで映画を観る事にした。観たのはコメディー映画"Blades of Glory"。 映画を観終えた自分はホテルのベットで昼寝ならぬ夕方寝。Jaredに起こされ開場に向かう。サウンドチェックを済ませるとDeaf NephewsがプロデュースしたバンドAction Friendの連中が来ていた。CoadyとJaredはあまり腹が減っていないと言うのでAFの連中と夕飯を撮りに行く。会場の近所はあまり治安の良さそうな場所ではないが、会場から車で約2分くらい車で走るとかなりお洒落な街並みとなる。洒落たメキシコ料理屋でサラダなど軽い食事を取る。AFのベースのSは自分と同じ釣りキチ(自分は最近やっていない)。昨日あった事を自分に聞いて欲しいと言い出す。最近、昼間の仕事を釣具屋に転職したらしく、新しい竿を試して来いと上司に言われたらしい。山深く入り、人の気配すらなくなってきたと言う。ビーバーが多く見られる川を見つけ、そこでマス釣りをし始める。するとビーバーの群れからやたら大きい一匹がSの方に向かってくるといる。Sのところから30mくらいの所で泳ぎを止め川岸の岩に腰を降ろしたと言う。それはビーバーではなく熊であった。熊はしばらくするとSの反対方向へと消えていった。あたりが暗くなる前に山を降りようと帰宅し始めるS。大きな物音とともに自分の目の前に乗馬をした女性がSの前に立ちふさがる。馬が何かに驚いたらしい。Sが何があったのかと辺りを見回すと、Sの後ろにはクーガー(アメリカライオン)が草薮の中から顔を出している。前を振り返ると馬はいなくなっていて、女性は馬に放り出され地面にしりもちをついていた。そしてまた後ろを振り向くとクーガーはいなくなっていた。女性は立ち上がり携帯電話で馬が逃げたことと自分の安否を伝えると一人で山を降りようとする。Sがクーガーを見て馬が逃げたのではと伝えると彼女はSとともに山を降りることを決心した。と、滅多に見れない獣を2種見たと言う話であった。

会場に戻ると一つ目のバンドが終わっていた。多くの客が集っている。グッツ販売がいないのでBBの二人が交代で担当している。何故かロースト・ビーフ・サンドイッチが売られている。出番になるとAFの連中は最前列を占拠。自分がギターから変わった音を作って出すと、その弾き方をじろじろ見るAFのギターのJ。自分はそれに気付き後ろを向いて隠すように弾く。振り向くとJは笑っている。数曲が終わるとCoadyが「このツアーの終わりが近くて自分達はかなり疲れている。悪いな、半分くらいの力で演奏して」と冗談を言うとか弱いブーイング。男性客が「一番面白い冗談を言え」と言うとJaredが「...冗談...あるんだけど...日本人についての冗談だからな。今、制限されているんだよ」と言い自分を指差す。すると客は大笑い。続けてJaredは自分を紹介する。「(何に付いてかは分からないが)geniusだ!」とまでの誉め言葉に自分はふかぶかと一礼。その後調子にのって弾いていると最後の曲でタイミングを間違え大きなミス。直ぐにJaredの方を見ると自分を見て笑ってる。そして最前列のJを見るとJも笑っている。公演後2人にその間違えは酷かったか聞いてみると2人とも気付いてはいなかったようだ。自分が2人を見て間違えたのだろうと思ったと言う。知らん振りをするべきであった。自分はミスを隠す天才ではなかったようだ。


7月31日、移動日。

Colorado州を北上してWyoming州を抜けUtah州に向かう。Wyomingは人口が最も少ない州でその分大自然が広がる。高速以外は山と草原。空と山のコントラストが素晴らしい。自分はそれに見とれていながら運転。我に帰りバックミラーを見ると警察があとをつけていた。丘を下る時かなりのスピードが出ていたらしい。罰金$120。その女性の警官は「何をしにWyomingに来た?」と言うので、バンドで各州を回っている事を伝えると「Nice!」と言う。彼女は「バンドと言っても3人しかいなかったじゃない?誰か他に後で来るの?」と"ロックバンドは5人編成だ"とか決め付けて考えていたらしい。怒られているのか何だか分からないままチケットを切られる。その後、過ぎた事は気にせず安全運転でUtahに向かう。Utahに着いた時は真っ暗であった。


8月1日、Salt Lake City, Utah

昨日の内にSalt Lake Cityに入って為、時間が余っている。一行はバンのオイルを取替えに行く。オイル交換中、近くに楽器屋を見つけそこで時間を潰す。自分は$1でノーズホイッスルを購入。これがまた面白い。吹き口を鼻にあて、その穴は口の方へと繋がっている。つまり鼻で笛を吹き、その笛の音を口の開け閉めでコントロールしてノートを作っていく。見た目が凄く間抜けで良い。

そして2回の機会を逃した末ようやく観ることが出来る"The Simpsons Movie"。バンを取り戻した後、ネットで調べておいた映画館に向かう。待ちつづけたこの映画。最高だ!はしゃいで映画館の飾り物と記念撮影。大満足で映画館を出る。

夕方になり会場に向かう。プロモーターのJが挨拶に来る。Jは楽屋に夕食を用意しておくと言っていたのだが、それが用意されていない。とりあえずサウンドチェックをしようとすると、しなくて良いと言う。「サウンドエンジニアのEはいい奴だから大丈夫」と言う。早めに来た意味がない。それに人を紹介する時に"悪い奴"と紹介する事はなく、経験上"サウンドエンジニアは良い奴"と言う時に限ってろくな奴でないときが多い。それに初めて会ったのだがJの様子が何かおかしいと感じた。あまり腹は減っていなかったのでコンビニエンス・ストアーでサンドイッチを買ってきて、楽屋に戻ると、案の定、JとBBの二人がもめている。金銭的なもめごと。開場された後に客が入ると思わなかったのか、BBへの報酬を減らしたいと言ってくる。勿論、それはありえない話。Coadyがエージェントに電話をしてその件は片付いたものの、公演前に何とも険悪な雰囲気。

2バンド目のバンドが遅れていた為BBの出番が早くなる。Jの予想を裏切り、会場は多くの客が集っていた。機材を運ぶとき始めてサウンドエンジニアと対面。自分の予想は当たった。嫌な人間ではないかもしれないが楽をするタイプ。Coadyはいつものようにドラムをステージの前、つまりはベース、ドラム、ギターが横一線になるようにしようとすると、「ドラムは後ろに置いてくれ。音が悪くなる」と言う。ケーブルやモニターが後ろに置かれているから、それを動かすのが嫌なのだろうと自分は思った。BBと自分とはお互いを見てタイミングを取ったりする。Coadyが後ろにいては非常にやり難い。それにサウンドチェックを行っていない為、モニターからどう聞こえるかが分からない。案の定3曲目のエンディングで大きなミス。Jaredは「ああ~間違えたよ。まぁこう言う時もあるさ」と客に伝える。それでも客はのりまくっている。一人の中年っぽい(老けているように見えた)男性客が、最前列で曲が終わるごとに自分にビールでの乾杯を求め、自分に飲ませようとする。勿論自分はその度に飲んだ。モニターが聞こえ難い上、Coadyが醜かったものの、客とビールと”明日の夜にはLA"と言う気持ちが楽しいステージにしてくれた。

2バンド目のバンドがBBの後になったので早めに機材を片付けバンに詰め込む。多くの客が楽しんだと自分に声をかけてくれる。その中の一人が「2ヶ月ツアーだったんだって。自分のベットが恋しいだろう?」と言うので、冗談半分で「自分のコンピューターが恋しい」と言うと大笑い。ホッとした表情を浮かべるJに「心配しすぎたんじゃないの(嫌味)?」と言うとJは苦笑い。全ての公演が終了してグッスを詰め込みホテルに向かう。ホテルのテレビを付けると総合格闘技の番組がやっていたのでそれを観て就寝。

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