Saturday, August 04, 2007

Los Angeles >>Portland>>Seattle

6月6日、移動日

昼にリハーサルスタジオで待合、荷済みを始める。自分の機材の準備が終わるとCoady、Jaredの2人はまだ時間が必要だと言い自分は家で待機する事に。車に戻ろうと駐車場に行くとBuzzに出くわす。「まだ出ていないのか?俺だったら昨日の内に発っている」と嫌味を言ってくる。「所でトシは秋のツアーに同行するんだろう?」と聞いてもいないのに既に決定しているかのように話してくる。

Buzzと別れ部屋に戻り待機する。予定よりはるかに遅れ、2人が自分の家に到着して出発となる。皆、腹が減っていたので高速を30分走った後に In-N-Out Burgerで遅い昼食。カルフォルニアをひたすら北上する。3時間弱走った後にトイレ休憩でガソリンスタンドに着く。皆がようを済ませた後、ぶっ通しの運転で疲れたCoadyが自分に運転を頼んでくる。鍵を渡され運転席に座りいざ出発。...何かがおかしい。エンジンがかからない。アクセルを踏みながら鍵を回すように言われ、その通りにエンジンをかけ始める。…かからない。数分、数十分まってかけ直してもかからない。ボンネットをあけ色々調べてみる。エンジンにガソリンが届いていない。典型的なヴェイパーロック現象(日本語版と英語版のWikipediaでは意味が違っている)。砂漠の中のスタンドで車が冷えるのを待つのみ。

車が止まり既に三時間が経っていた。キャッチボールなどして気を紛らわせるものの、個々の表情は硬い。友人、家族の中で車に詳しいものと連絡を取るものの、バンは"うん"とも"すん"とも言わない。諦め牽引車を呼ぶことに。電話でのやり取り。保険会社は一番近い修理工が見つからずCoadyの家に牽引しなくてはいけないと言って来る。それを聞き個々に絶望感がよぎる。保険会社から折り返しの電話があり、牽引車が向かったと連絡が入る。それを聞き皆が必死になり、給油ポンプを開け閉めしたり、オイルを足したり色々し始める。Coadyは半分気の狂ったような顔でエンジンをかけ始める。すると音が変わった。皆が手を止め、お互いの表情を伺う。またかけるとかからない。3度目にアクセルを思い切り踏みながらかけた瞬間、爆音とともにエンジンがフル回転し始める。保険会社に電話を入れ、牽引をキャンセル。北へと向かう。予約していたホテルに着いた時、二日で16時間の運転の予定が一日目で14時間費やしてしまった。


6月7日、Portland, Oregon

悪夢のような運転から一夜(睡眠時間、約5時間)たち、バンは順調に目的地のPortlandに向かう。Portlandまで後2時間と言った所でCoadyの携帯に連絡が入る。「ヘイ、Adam...ウン、ウン...分かった。メンバーと相談してかけ直して良いかい?」と電話を切る。驚いた表情で一つため息をした後、Coadyがその内容を自分とJaredに伝える。電話はToolのAdam Jonesからであった。前座として6月の後半からToolのツアーに参加して欲しいとの要望。CoadyがJaredに相談し始める。Jaredは「って事は自分達の単独ツアーの後半をキャンセルしなきゃいけないってことだよな?期待している人達に悪いよな~」とか金銭面なども気にし始める。しばらくすると「トシだったら、どうする?やるかい?」と尋ねてくる。自分は「Hell yeah!」まだ一公演もこなしていないのに嬉しい悩みが舞い込んでくる。

バンも止まる事なく無事に会場、The Doug Fir、に到着。一回がレストランになっていて地下が会場。機材を入れ、サウンドチェックをしたのち、会場に計らいで上のレストランで食事を取る事に。自分は"Crunchy Trout"と呼ばれるマス揚げを注文。新鮮で品のある味のマスがしつこくない程度に揚げられ、さっぱりしたドレッシングとレモンが合い、ツアー初日からめちゃくちゃ美味いものをご馳走になる。このツアーへの期待が高まる。

前座の2バンドが終わった頃、会場にはBBの友人達も含め270人の客が来ていたと言う。ツアー初日とあり多少の緊張はあったものの美味い飯、良いニュース(Toolの前座)、そしてビール(PBR)が自分の気分を和ませる。演奏の方はまあまあ。CoadyとJaredの二人が4曲目と5曲目の順番を間違える。が二人同時に間違えそのまま演奏しつづけた為、曲順どうりに弾いていた自分だけがあたかも間違えたようであった。公演終了後2人がその間違えを認める。

寄り道をしたあとCoadyの友人の家で就寝となる。その家の近所はThe Simpsonsの作者、Matt Groeningが住んでいた場所でもあり、そのキャラクター達の名前の元となった道が続く。家に着くと玄関の前に大きな犬の糞が置かれて(?)いた。それに気付かなかったJaredはそれを踏み部屋までそれを引きずってしまった。就寝前に大掃除が始ってしまった。


6月8日、Seattle, Washington

Portlandを経つとJaredの出身地Olympiaに寄り、Jaredの旧友Adamをピックアップする。Adamはこのツアーの後半、グッツ販売件ローディーとして同行する事となる。Coadyの地元Seattleに着くとガソリンがかなり減っていて、運転していたCoadyはそれを気にし始める。Jaredはメーターを見て会場までは何とかなると判断。その直後、ラッシュアワーで交通量の激しい丘の上の通りでガス欠。Adam、 Jared、自分の3人でスタンドを探しに行く。一キロ弱歩いてようやくスタンドに着く。予め携帯で連絡を取っていたJaredの弟でこのツアーのグッツ販売/ローディーを担当するDustyとスタンドで初対面する。ガソリンをプラスティックタンクに入れるとDustyの車でバンの止まっている場所までそれと自分達を輸送。ガス欠から30分立った後に給油。


Dustyは一旦家に戻り会場で待ち合わせする事に。会場に着き、機材を持ち込み直ぐにサウンドチェック。それが終わると家族が来る予定の Jaredを残し、Adam,Codayと自分の3人で食事をしに出かける。数ブロック歩いた所にあったお洒落な寿司屋で夕飯をとる。二日続けて良い食事。レストランの種類の少なさにファーストフードばかりの食事をしていた前回のツアーとはかけ離れている。会場に戻ると2つ目のバンドの演奏が始まっていた。狭い会場に凄い数の人。370人。BBの出番の前に2人からイントロでノイズをしばらく流して欲しいとのリクエスト。自分の機材を使ってノイズをかけ始める。5分以上かけつづけても2人は出てこない。長すぎる。客が飽き、疲れるのではと心配し始める。自分はノイズを流したままアンプの裏に隠れひたすら待機。7、8分が過ぎたころようやく2人が登場。予想を裏切り客は大ノリ。ショーは大成功。

ライブ終了後、隣のバーで数杯飲んだ後、Coadyの旧友で、今のっているバンドThe Shinsのギターリスト、Dave Yanul Hernandezの家にやっかいになる事となる。DaveはBBのファーストアルバムでギターを弾いている。公演直前に彼等からDaveを紹介され、彼がCDでギターを弾いている曲を自分がライブで弾く事を知り、ちょっとした違和感...だがDaveは自分のプレーにかなり満足だったようだ。彼の家に着きしばらくするとDaveがDVDを観ようと言ってくる。ケーブルTVのチャンネルの一つにCartoon Networkと言う物がある。朝から夕方まではアニメを流しているのだが夜になると"Adult Swim"と呼ばれる時間帯になり、大人が楽しめる(助平な意味ではない)アニメやコメディーを流す。その中の一つに"Tim and Eric Awesome Show"がある。DaveはそのDVDを皆に披露。Ali G. Show, Little Britainと好きなショーが終わってしまい、新しいコメディーに飢えていた時にこの新鮮な衝撃。一つのショーが11分と短く、安上がりなコマーシャルやTV番組を皮肉ったテンポの良いスケッチの数々。作るほうも安上がりだが、ゲストやアイディアが非常に良い。ガス欠に出くわしたものの美味い飯、良いショー、良い客、新しい笑いを知り大満足な一日が終わる。

No comments: