Saturday, August 11, 2007

Milwaukee>>Grand Rapids>>Huntington

7月4日、Milwaukee, Wisconsin

ここ2年ほど、朝早く起きる(早くない、音楽業界の人間としては早いと思う)習慣をつけていたため8時半に目が覚める。シャワーを浴びコーヒーを飲み外を歩くことにした。すると直ぐそばにショッピング・モールがある。まだ開いていない店が殆んどだが歩き回っているうちに10時を過ぎ殆んどの店がオープンし始める。大手電気製品店Best Buyに入るとデジタルカメラがいい値段で売っている。生まれて初めてデジタルカメラを購入。ホテルに戻り早速写真を撮りまくる。

約2時間で会場に到着。Summerfest(http://www.summerfest.com/) と呼ばれるこのイベントは今年で40回目。この11日間のイベントは遊園地や出店が並んだりフリーコンサートがいたるところで行われている。Tool、 BBが公演を行うMarcus Amphitheaterはメインステージで他のイベントとは別料金。7月2日にはRoger Watersが公演を行った場所でもある。ちなみに3日がJohn Mayer。5日がBon Jovi。会場は2万人を収容できるほどの大きさ。1万4千枚が既に前売りで捌かれていた。

楽屋は景色の良い3回。直ぐ隣にはAdamの楽屋が。AdamがBBの楽屋に入ってくる。自分を捕まえ、出店を見に行こうという。AdamとツアーマネージャーのMJと3人で20分ほど敷地内を歩き回る。かなりでかい。
準備があるので会場に戻りサウンドチェックを行い、食事、そして出番となる。2万人規模、全ての席が埋まってはいないもの凄い数の人が集っている。ショーはまあまあの出来で無事終了。客も喜んでくれた。一度ステージを降り、忘れ物をしたのでまたステージに戻ると何故か大歓声。アンコールをするとでも思ったのであろうか。上機嫌で楽屋にもどる。しかも楽屋にはBB単独のChicagoの会場で飲んで気に入っていた地ビール、Great Lakeが用意されている。ますます上機嫌。

他の会場ではオリジナルメンバーのAsiaやBlack Crowsが公演を行っていると聞き少しづつ覗いてみた。メイン会場に戻ると凄い数の人。Toolの専属警備員で巨漢のJTが、Maynardの格好を真似したベロベロに酔っ払った客を猫のクビをつまむようにして会場から追い出している。その男は会場の門から追い出されるとそこに立ち止まり「なんでだよ...俺はなんも悪い事していないのに...」とかなりいじけている様子。ToolのコンサートにはTool専属の数人と会場専属の多くの警備員の他、救急救命士までがいつも忙しくしている。どのショーでもステージの裏近くに担架等が置かれていて、1公演平均3人ほどが運ばれてくる。怪我をする者、失神する者、酔いつぶれる者と理由はそれぞれ。自分はステージからもっとも遠い場所で芝生の立ち見エリアからToolを見物。すると酔いつぶれた若者が自分の直ぐ隣で寝ている。会場の警備員が他の客に呼ばれやってくる。警備員達の声に「寝ているだけ」と言いかえすが起き上がれない。彼もおそらく救急救命士の世話になった事であろう。


7月5日、Grand Rapids, Michigan

Chicagoを抜けまたMichigan州に戻る。3日から今日までが運転の面でこのツアーでもっとも厳しかった。何とか会場に着き、いつも通りのことを行う。今日がローディー兼グッツ販売のDustyが付き添う最後の公演。彼のために燃えた公演は大盛況と終わった。ちなみに今日のビールは Chicagoの会社Goose IslandのHonkers Ale。好んで飲むかはわからないが口当たりが良くあと味も悪くはない。そしていつものようにビールを持って会場へ、と行きたかったがコップが見つからなかった為手ぶらで会場に。良い席がなかなか見つからない。一般席とは区画されたVIP席のような所を見つけそばにいた係りの者に入ってもいいのかを尋ねる。パスをみせると少し間のあいた返事でOKが出る。そしてそこに入り間もなくすると、横にいた数人の若者の中の一人がじろっと自分を見て「お前はどこから来たんだ」と言う。説明しようとすると曲の盛り上がり部分と重なり、大声で言っても何を言っているか分からない様子。諦めてそこを出て行くとその係員が自分を止め彼等に説明する。「この人は前座のバンドのメンバーだ!」すると若者達は「なんだよ。そう言ってくれよ。さぁ入った、入った」数回断ったのだが無理やり連れて行かれる。ビールまでご馳走になる。この中の一人が会場の関係者を知っていてこのVIP席を抑えてもらったと説明された。「何とかしてバックステージに行きToolの面々に会いたい」とまで言ってきたので、この場所で最後まで観ていては面倒になると判断して1曲を観終えてその場から去る。 DustyをOhio州Columbusの空港まで送るのでそこからそれほど離れていないAnn Arborまで運転して宿を取る。


7月6日、移動日

Dustyを空港で下ろした頃は2時を回っていた。そこから次の公演地West Virginia州Huntingtonまでたったの180km。2時間ちょっとで着くため今日はColumbusでのんびりする事にした。しばらく一人で街をぶらつきホテルに戻ってくるとCoadyが寿司屋を2軒見つけたのでどちらかに食いに行こうと言う。1軒目はスタッフを入れ替え中でメニューが少なくなっている。2軒目に移動。生まれて初めて回転寿司。寿司はまあまあ。ビールはサッポロ。今、アメリカではサッポロ生、アサヒスーパードライ、そしてキリン一番搾りがスーパーなのでも簡単に手に入る。だがサッポロとアサヒはカナダで作られ、キリンはバドワイザーが製造している。日本産に比べると明らかに味は落ちる。

寿司屋を出ると3人ともが飲みに行こうと言いだす。ホテル裏にバーを見つけそこに流れ込む。小さなステージでバンドが演奏をしている。ジャムバンドなのか適当に弾いている。客が増えてくるとファンキーなナンバーを弾き始める。Prince、Bill Withers、Stevie Wonder等のカバー。3人はそのバンドなど無視して多く置かれているテレビの一つに釘付け。総合格闘技(STOと呼ばれる団体)の番組がオンエアーされている。多くの客の中で観ているのは3人だけ。すると一人のバーテンダーの兄ちゃんが誰もそれを観ていないと判断して、チャンネルを換えてしまう。 Jaredがすぐにその兄ちゃんにチャンネルを戻すように言う。兄ちゃんは快く承知する。試合をみて興奮してか酒の量が増えてくる。だがその番組が終わるとバーは音楽でうるさかったのでそこを出て次の店を探しに行く。他のバーを探し歩いているとDaleから携帯に連絡が入った。2人は店を見つけそこに入るが自分は通りに残りDaleと話し込む。10分立たないうちに2人は店から出てきて次を探そうとまた歩き始める。かなり歩いたのか腹が減ってきた。目のは前にはWhite Castle。Coadyはもう飽き飽きのようだ。自分とJaredはまたCrave Caseを頼みホテルに持って帰ろうとする。一つ食べると2人ともその味に飽きていた。2人は通りで大声で"スライダー(バーガーの名前)はいかが"と街行く人に配ろうとする。一人の中年男性がやって来て1つくれと言うので手渡した。Coadyは洒落た店でピザを頼むと言う。しばらく待っても出てこないので2人はホテルに戻ることにした。

ホテルの前にコンベンションセンターがある。今日はゲームのコンベンションらしい。そこでJaredは思いついた。「トシ!カメラ回してくれ。潜入するぞ!」と興奮気味でCrave Caseを持ったまま会場に潜入。警備員に声をかけられるがそれを無視してメイン会場まで進入。コンベンションは終わっていたようだが、まだ多くの人が残っていて幾つかのグループのようになって机の周りに座って話し込んでいる。それらのグループのテーブルにスライダーを一つづつ置いていく。ゲームコンベンションと言う事もあり、Jaredは「100ポイント。今度は500ポイント」と大声で叫びバーガーを置いていく。警備員はあきれた様子で追いかけては来ないものの、遠目でしっかり監視している。全てのバーガーがなくなると2人は会場をあとにする。

大笑いしながら部屋に戻るとCoadyがピザを食べている。今起こったことを話すと急いでピザを食べ終え自分も行くと言い出す。もうバーガーがないためホテルの枕を服の中に詰め変装(?)して行くと言い出す。プランはJaredがパフォーマーでCoadyが第一カメラで自分が第二で遠目からのショット。会場へ入ると警備員が「またかよ。勘弁してくれよ」とつぶやきまた警告をうける。Jaredのパフォーマンスはテーブルの上でわけのわからない事を言い、寝そべったり立ったり。Coadyはそれをしっかりカメラに収めている。自分は入り口から会場全体を捉えている。笑いが止まらずカメラがゆれる。警備員が一人増えて3人。Jaredがメイン会場の出口まであと10mと行った所で3人がかりでタックル。Jaredの巨体が崩れ落ちる。Coady のカメラは没収(出口まで)。自分は隠れようと笑いながら走って会場の出入り口も先回りして、彼等がつまみ出されるのをカメラに収めようと待っていた。すると彼等は裏口から追い出され貴重な映像は捕らえられなかった。こうしてColumbusの夜はふけていった。


7月7日、Huntington, West Virginia

高速、一般道の道幅も小さく、山と川に囲まれた田舎町。会場も小さめで6000人規模。だが会場についた時、チケット売り場、入り口には多くの人で溢れている。楽屋を見つけるとその直ぐ隣にはMaynardの楽屋。そこでチーフセキュリティーのTがマットを敷いた上で、道着を着た見知らぬ男2人と柔術の稽古をしている。ちょっと覗くと寝技をかけているTが「よ~トシ。元気か?」と汗だくになりながらも清々しく挨拶をしてくれる。

Tに触発され、運動をしたくなった自分は外に出てストレッチをする。だが暑さでその気持ちも一気に冷める。その代わりに町をぶらついてみる。多くの若者で町は溢れている。多くの人がToolのTシャツを着ている。町の全ての若者がこのコンサートに来るようにも思えた。開演されると既に満員に近い状態。このToolとのツアーではありえなかった大歓声。まるで自分達がヘッドライナーのようだ。大都会とは違いコンサート自体の数が少ないからであろう。観客は知らないBBの曲であろうが大喜び。公演を無事終えいつものようにビールを持って会場に向かう。楽屋からは一度外へ出てから客ようの出入り口を使って観客席に行かなければならない。一番近い出入り口に喫煙所が設けられている。まだそとは明るかったため、そこを通り抜けようとした時、3人組の客が自分の事に気付いた。その中の若いんだか若くないんだかよく分からない女性が「知ってるわよ。あなたの事。知っているわよ」と自分に握手を求めてくる。BBをかなり気に入ってくれた様子。Toolを観たいのでそこから立ち去ろうとすると「口紅でサインして」とバックから口紅をだし、彼女の真っ白なTシャツ(背中)にサインしろと言う。こんなにでかでかとしかも口紅でサインしたのは初めてだ。

Toolの公演でも観客の反応は素晴らしい。Coadyのドラムバトルでも大歓声は止まらない。もっとも小さな会場からもっとも大きな歓声をもらったことで、ショーの楽しさを再確認。

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