Tuesday, January 08, 2008

New Orleans>> Houston>> Austin

10月15日, New Orleans, LA

喉の痛みからか咳が出始める。タンや鼻水が出てくるのではなく、ただからからの咳が止まらない。取りあえず飲み物で咳を鎮める。ホテルから会場とは全く反対方向に約20分車で走り,Daleお勧めのケイジャン料理に昼飯を取りに行く。ガンボが喉を落ち着かせてくれる。
ホテルに戻り、夕方まで仮眠を取ったあと、会場に向かう。ハウスエンジニアのJは自分の事を知っていたようだ。Melvinsの大ファンで自分が手がけた作品は全て持っていて、Melvinsと自分と仕事をすることにかなり興奮している様子。こうなると仕事がし易い。サウンドチェックを済ませ,近所の薬局で薬やのど飴を購入。会場の隣のバーでケイジャン料理が食べられる事を知り,今日、二杯目のガンボが夕食となる。

楽屋には小さなバーのカウンターがある。そこに飲み物やスナックが置いてある。さすがに風邪を引いているのでアルコール類は止めておいた。それに気づいたBuzzが「んじゃ、トシにCola Blac(CokaColaの登録商品でコラーにコーヒーが入ったもの)を作ってやろう」と氷をグラスに入れ,冷えたコーヒー、コーラを加え自分に手渡してくれる。Cola Blacは自分の好物でスタジオでもよく飲んでいた。Buzzはそれを覚えていたようだ。数ヶ月前、初めてバーテンダーを経験したBuzzはカウンターでその気になっている。半分くらいになった自分のグラスを見て、コーラを注ぎ足しながら「なぁ、俺は良いバーテンダーだろ?」と言ってくる。「コーヒーの味が薄くなるじゃないか!」と言い返すと,忙しいふりをしてその意見を無視する。


10月16日, Houston, TX

ハウス・エンジニアはMelvinsの大ファンでやたらと興奮気味。それに加え、その男は良く喋る。自分がマイクの事など話すと「どうかな?」とか「ええ、マジで?」とか自分のやり方に納得の行かない様子。必要のないマイクなどを置いているのを見て、自分がその事を伝えてると”ああでもない、こうでもない”とうんちく(?)を披露し始める。自分の経験上、聞いてもいないのに機材の事などをべらべら喋るヤツに限ってたいした事がない。”俺は凄いんだ!”と言葉で納得しようとしているのがはっきり分かる。気がつくと,自分が意見を言えないくらい喋り続ける。Coadyがそれに気づき自分を見ながら笑っている。なんとか逃げ切り楽屋に戻る。
広い会場に多くの客が来ている。2曲目が終わると一人の客が自分の方を見て,何かを言ってくる。ギターピックをくれと言う。とは言えまだ始まったばかり。だがその客,曲が終わるごとに同じ事をしつこく言ってくる。演奏中も自分も見て,指を自分の方に指し”ピック、ピック”と口が動いている。5曲目あたりで諦めピックを手渡す。非常に嬉しそうだった。公演が終わり、バンにのど飴を取りに行き会場へ戻る。その際、喫煙所を通り会場に入ろうとした時、数人の客から大声で「トシ〜〜〜!」と叫ばれた。正直、まだバンドマンとしの自覚がない為,照れてしまう。急いで会場内へ戻る。
楽屋に戻るとMelvinsの面々が準備をしている。Cleveland Indiansが勝った事を知り,Buzzとハイ・ファイブをしようとすると,Buzzはその寸前で冷静になり、「トシは風邪引いているから、ハイ・ファイブはしない」と言ってくる。「そのかわりタマを蹴る!」と訳の分からない事を言い,自分の股間を蹴るフリをする。それを見て自分も蹴り返すフリをする。ばかばかしくなり大笑いする。と同時に咳込む自分。風邪は治りそうにない。
会場でサウンドをチェックする。やはり、あのエンジニア,口先だけだ。決して良い音とは言えなかった。ギターとボーカルをあげるように指示する。多少はましになったものの、言っても大して直ってはいなかったので、ヤツに指示する事は諦めた。片付けをし始めるとそのエンジニアは自分の所にやって来て,また”ああでもない、こうでもない”と言ってくる。終いには自分のギターサウンドへの指示が間違っているとも言い出す。自分は風邪を引いて,公演を疲れている上,その男は人が話すスキを与えてはくれない。その男の意見などどうでもよく思え、早くその場から逃げたかった。丁度その時、Timが楽屋に入って行くのが見えたので呼ばれたフリをして、「分かった。今、行く」と言い、その男から逃げ出す。とんでもない男であった。


10月17日、Austin, TX

ハウス・エンジニアは打って変わってもの静か。マイク等のセッティングが非常にスムーズに進む。Coadyは自分とエンジニアのやり取りを見ていたので、「昨日のエンジニアと正反対だ。出来るヤツは言葉数が少ないな」と言うと、ニッコリ笑って「本当だな」と頷く。
会場は超満員。700人は来ていたと言う。客のノリも最高。このツアーで最も良い公演の一つである事は間違えなかった。公演が終わり休んでいると、Kornのメンバーが来ていた事を知る。近くでライブをしていたらしい。いくら有名なバンドとは言え、バンドや会場の許可を取らずに来ていたので、会場の係員達は大慌て。ドラマー(だと思う)が自分の目の前をボディーガードを連れ、偉そうに横切る。”挨拶なしか...”などと思い、細い目をしてそれを見過ごす。
公演が全て終わると急いで片付け,楽屋やバーに残って飲まずにJohnの運転するトラックで会場を後にする。この時から咳がやたらと増えてくる。

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