Tuesday, January 08, 2008

Spartanburg>>Athens>>Birmingham

10月9日, Spartanburg、SC

会場は辺鄙な工業地帯にぽつんとある。中には2つのステージが設けられている。今回は小さい方のステージ。会場が小さいだけに多くの客で埋め尽くされている。前回のツアーで出会ったNorth Calorinaの人々も多く駆けつけている。BBの演奏中,Jaredがかなり疲れているのが分かった。でも自分はいい感じ。
Jaredは疲れからか,いつもはMelvinsの時キチンと着るムームー(女性が着るハワイの民族衣装)をマントみたいに羽織っていた。公演後,”マントみたいに着ていたのは良かった”と言おうとしたら、単語を間違えて”マント”を”カーテン”と言ってしまった。するとJaredは自分がわざと言ったと思ったのか、「両肩にレールを通して、そのレールの両端にカーテンがぶら下がっているところを想像すると面白い」となぜか将来的な案として気に入ったようだ。


10月10日, Athens, GA

AthensはUGAのカレッジタウンでREMやThe B-52'sを輩出した街として有名だ。ちなみに会場の40 Watt ClubのオーナーはREMのギター、Pete Buckの元夫人。学生街のレコード屋を探しに行き,2軒みつけ、数枚のCDを手に入れ会場に向かって歩いていると、REMのシンガー、Michael Stipeが道ばたで何気なく友人と思われる人たちと話している。その事を皆に話すとBuzzが「後ろから殴っておいたか?」ときつい冗談。しばらく会場でキャッチボールをしていると、Timが真面目な顔をして自分に話があるから楽屋へ来いと言ってくる。サウンドマンのKurtが今日の公演を最後に一身上の都合にてツアーを後にすると言う。今後の公演のハウス・エンジニアとの話し合い,音の確認(サウンドチェックではなく、ハウス・エンジニアが作るミックスの確認)、マイクの管理をして欲しいと頼んで来た。自分はそれを引き受け話し合いは終了。
会場まで時間があり、自分は食事をしていると楽屋には自分しか残っていなかった。食事を済ませると、Melvinsの公式サイトを作っているJとその婦人Aが楽屋にやって来た。自分は彼らとは初対面で,二人とも大人しめなので話しづらかった。しばらく話していると楽屋にもう一人現れた。前回のツアーのAtlanta公演で知り合ったMastodonのギターリスト,Brent Hindsであった。Brentはいつも”ハイ”な上、酔っぱらっている。話しだすと止まらない。案の定,JとAの会話を横切って自分に話しかけて来た。彼の携帯に電話が入り、電波が悪く、外に電話をしに行ったので救われた。戻って来る頃には楽屋には皆も戻っていたため、Brentは他の連中に話しかけていた。
公演の時間になると会場は満員。始まる前にBuzzからここがすばらしい会場である事,客も良いという事を聞かされていた。その通り、客の反応は非常に良くとても良いライブに思えた。公演後は多くの客に声をかけられるし、バーテンダーの対応も良く,酒を何杯かごちそうしてくれた。
片付けを終えた後,深夜に会場の駐車場に現れるホットドックの屋台でちょっぴり辛いホットドックを頬張る。最近はその屋台は会場の名物にもなっている。Jared, Daleと自分が今晩のバンドの人間と知ると、屋台のオーナーJDはTシャツと瓶に入ったタレをくれた。JDがTシャツのデザインにまつわる話を皆に話し始めたのだが,彼の南部なまりがきつくて自分には半分くらいしか理解できなかった。おしゃれな学生街の一角で客,店員に恵まれ良い夜になった。


10月11日, Birmingham, AL

街を発つ前,地元で老舗チェーン・ファースト・フード店、the Varsity(Atlanta店は1928年創業,http://www.thevarsity.com/index.php)で昼食を取る。店の中も外も50年代風の作り。昔のアメリカ青春映画の中で出てくるレストランのようだ。何種類かのホットドック、特にチリドックとハンバーガーがメイン。ともにサイズが小さい。でも値段も安い。自分はのGlorified Burger(ハンバーガー、レタスとトマトにマヨネーズがかかったもの)を2つ注文。あまりしつこくなく,小さいため腹が重くならない。店の雰囲気もあったのか、やたらと美味く感じた。
数時間で次の会場に着いた。着く直前に会場の目の前で交通事故。先に来ていた機材を運ぶトラック組のJohnとGarethは事故の音を聞いたと言う。今日はKurtがいなくなってからの初日。サウンドチェック等でも気合いが入る。会場のエンジニアの二人は非常に協力的でやり易い。Timも「トシはスタジオでMelvinsの作品を手がけている...」のような事を彼らに伝えてくれたようで彼らも自分の意見を真剣に聞いてくれる。音意外に気になる事がある。まずステージが狭いこと。ドラムセットを2つ置いたら、ベースアンプがその横には置けない。JaredはCoadyの後ろで演奏する事になった。もう一つはステージが低い事。観客が暴れれば自分の機材に被害が加わる可能性が高い。エンジニアの一人は「警備員がステージの両脇に一人づつ発つから大丈夫だ」と言うのでそれを聞いて少し安心した。
開演の時間になると会場は満員。一人ドラムの前に立ち、観客との距離の近さに驚く。自分の目の前には3人組の酔っぱらい。ただ酔っぱらっているのではなく、(何かの薬で)かなりハイになっているようだ。その3人組の直ぐ隣にはじっくりと観て聴いている小柄の男性がいた。その男性に数回その酔っぱらい達はぶつかって来て、その度に凄く嫌な顔をしていた。5回目くらいでその男は酔っぱらい達に文句を言っていた。酔っぱらい達の勢いは止まらない。そのうち一人はビールを持ち、両手で乾杯のポーズを取る。その腕が自分の機材の真上にあるので自分はその腕を演奏しながらはらい除ける。するとようやく警備員が酔っぱらい達に注意をし始めた。しばらくは収まったものの数分でまた暴れだし勢いは増し、とうとう自分の機材にぶつかって来た。警備員に目をやるとその警備員はBBの演奏で大興奮。自分と目が合いようやく仕事にもどる。後で知った事だが、その警備員はMelvins, BBの大ファン。協力的だが仕事を忘れ載りまくっていた。その曲終了後,機材を数十センチ観客から離しその場はなんとか乗り切った。
Melvinsの音をチェックするために観客の方に向かう。多くのものが声をかけてくれる。その中に例の小柄の男性がいた。自分は「大丈夫だったか?」と聞くと,実は酔っぱらい達は彼の知り合いだと言う。よく見ると酔っぱらいの一人が直ぐ隣に立っている。「ライブよかったよ〜」と嬉しそうに言って来たので、「貴様〜!」と言いながらヤツの首をしめる。しばらくして他の客と話していると、一人の女性がその話を割って来るように自分の所にやって来た。「トシでしょう?ライブ最高!ところでさ〜。私の胸、40-D(約100cmのDカップ)あると思う?」と聞いてくる。あまりにも突拍子だったので唖然としいると、もう一人の客が彼女の知り合いだったようで、彼女が豊胸手術した事を教えてくれた。彼女はそれを自慢したいらしい。自分は「服着ていたんじゃ分からない。脱ぐか触らなきゃ分からない(分かるはずがない)」と言うと、彼女は「んじゃ、触らせてあげる」と言って来た。触っても分かる訳がないが、せっかくなので...変な客ばかりだ。
その日,変な客はもう一人いた。自分が片付けをしていると一人の男性客が自分の所にやって来た。Johnから自分の事を聞いたと言う。「日本に先日行って来た。トシは日本から来たのだろう?」と言ってくる。忙しい時に”うっと〜しい野郎だな〜”と思っていたが,「そうだ,日本人だ。そうか、それは良かったな。面白かったか?」と取りあえず返事をする。「そうなんだよ。頼みがあるんだけど...」と言って来たので「悪い。後にしてくれるか?」と言うと、「いや、良いんだ。日本語で話してもらって勉強出来ればと思っただけ」と返事が返って来た。”他に日本語を勉強するやりかたはいくらでもあるだろう。日本に行った時友達作らなかったのか? くそ忙しい時に...”とぶつぶつ言いながらステージの片付けを続けた。

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